キャシテライト(錫石) 錫の鉱石・ダイヤモンド以上のファイアを見せる石
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キャシテライト

キャシテライトは成分の80%近くが錫(スズ)で錫の最も重要な鉱石鉱物です。

キャシテライトは宝石質のものは少ないのであまり知られていませんが、強い輝きを持つ宝石です。

鉱石鉱物とは

人間の経済活動にとって有用な資源となる鉱物やそれを含有する岩石のことです。

キャシテライトとは

キャシテライト

キャシテライトの名前の由来と和名

キャシテライトは青銅器時代にはすでに錫の原料として使われていました。

ギリシャ語で錫を意味するkassiteros(カシテロス)に石(ite)をつけてキャシテライトと命名されたと言われています。

英語だと錫はtinなので、ティンストーンと呼ばれることもあります。

和名はそのまま錫石です。

錫製品
はる
錫は日本には遣唐使によって伝わったと言われています。
錫は割れない上に錆びにくく、中にいれた水が腐りにくいことから、よく花器や徳利に用いられてきました。

キャシテライトの成分

キャシテライトは酸化錫です。(錫の酸化鉱物)

化学式はSnO2

と表されます。

キャシテライトの色

キャシテライトは採掘場によって色が異なります。

純粋なキャシテライトは無色透明ですが、鉄などが微量に含まれることによって色合いが変わってきます。

茶色や黒が最も一般的ですが、黄色、赤、緑、青、稀に透明のものもあります。

キャシテライトは透明度が高く、殆どの場合インクルージョン(内包物)がありません。

キャシテライトの硬度

モース硬度 6〜7

💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度」

キャシテライトの光沢

ダイヤモンド光沢~金属光沢

💎参考記事

 金属や石の印象を左右する7つの「光沢」

キャシテライトの特徴①ダイヤモンドより高い分散率

キャシテライトはダイヤモンドより高い分散率を持つので強いファイア(虹色の輝き)を放ちます。

分散率とは簡単に言うと赤の光の屈折率と紫の光の屈折率がどれだけ違うかです。

キャシテライトの分散率は 0.071

ダイヤモンドの分散率は 0.044

なのでダイヤモンド以上のファイアが放たれます。

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分散率が高い石は他に
スファレライト(0.156)
デマントイドガーネット (0.057)
スフェーン (0.051)
などです。

キャシテライトの特徴②多色性

キャシテライトは多色性を持っているので、角度によって色が変わって見えます。

宝石の多色性とは

光源とは関係なく、異なる角度から見たときに色が変化して見える性質です。

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多色性がある宝石は他に
タンザナイト
アイオライト
アンダリュサイト
ズルタナイト
ベニトアイト

など多数あります。

キャシテライトの石言葉

石言葉は特に無いようです。

キャシテライト 誕生日石

現在は誕生日石にはなっておりません。

💎参考記事

 12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

キャシテライトの主な産地

キャシテライト

錫鉱石としてのキャシテライトは

・ボリビア🇧🇴

・ルワンダ🇷🇼

・中国🇨🇳

・イギリス🇬🇧

・マレーシア🇲🇾

など

はる
もかつては日本の大分県や岐阜県で産出されていました。

宝石質のキャシテライトは

・イタリア🇮🇹

・ポルトガル🇵🇹

・フランス🇫🇷

・ブラジル🇧🇷

・ミャンマー🇲🇲

・チェコ🇨🇿

から産出されることが多いそうです。

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コメント一覧
  1. この度の宝飾キャシテライトは溶解により液体“錫”と為り得るのでしょうか…
    宝飾キャシテライトは鉱石を磨き施しました姿…なのですね
    (私の解釈の乏しさにて申し訳ありません…)
    酸化鉱物の特性は酸素と結合されている事。されど錆びやすいとお勉強させて頂きました
    然りながら花器、徳利に用いられることに不思議を感じます
    日本に於いて錫製品の最たる鹿児島県の鉱山は如何なのでしょうね…

    • ありがとうございます♪
      酸化錫といっても、鉱物は不純物も含まれるので、純度の高い錫を作るには溶解してから硝酸をいれるそうです。
      宝石は磨けば輝くわけではなく、透明度が高い部分を見つけることが大切です。(ルビーなども透明でない物は宝石質と言えず、研磨剤になったり、パワーストーン屋さんで安く売られています)
      錆びは酸化することで起きますが、「金属元素が何か」によります。
      酸化鉄は鉱物で言うとヘマタイトですが、鉄は錆びやすいのでヘマタイトは黒いですね。そして細かく切ると赤い粉が出てきます。
      酸化銅はマラカイト。緑色です。
      でもアルミニウムや錫は錆びにくいので酸化アルミであるコランダムや酸化錫であるキャシテライトは不純物が入らなければ無色透明です。
      錫鉱山は日本にも明延(兵庫県)など幾つかありましたが、今は閉山しているようです。
      鹿児島には錫山鉱山という鉱山がありました。
      鹿児島は切子や薩摩焼など、食器や花器を作るのが得意ですね。

  2. 錫の原料とは思えない程きらきらしてる♥️
    今日のような暑い日に見ると癒やされます。
    素敵な石のご紹介、ありがとうございます✨

    • ありがとうございます♪
      酸化錫だけど純粋なものは無色透明なんです。
      そしてこのキラキラ涼しげでいいですよね!

  3. キャシテライトは、古くから鉱石鉱物だったのですね。
    熱伝導が、良かったり、割れにくかったりして、道具として優れているのですね。
    その上、透明で色の幅が広くて、インクルージョンが無くて、ファイアがあるなら、宝石質の錫石は持ちたい人が多いでしょうね。私も手にとってよく見てみたいです。

    • ありがとうございま!
      錫は加工のし易さもあってキャシテライトは重要な鉱石鉱物でした。
      キャシテライトは大きな宝石屋さんとか、ミネラルマルシェで探すのがいいと思います。
      色も豊富で楽しいですよ。

  4. キャシテライトはダイヤモンド以上のファイアが放たれ、多色性も有してるなら、宝石質のは本当に魅力的ですね❣️酸化錫だとすると、錫石の良さも錫製品に生かされ錫鉱石としても有用な石なんですねー

    • ありがとうございます♪
      錫は融点が低いため、古代から人間にとって重要な金属だったそうです。
      キャシテライトが錫の主な原料ということですが、日本に伝わったのは7世紀頃のようです。
      でも、その後日本にも錫鉱山が見つかり、錫を使った食器など作られるようになりました。
      宝石質のキャシテライトの輝きはとても美しいです。
      重みもあるので存在感がありますね!

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