(89)『古事記』八咫烏の先導 八咫烏とはどんな鳥?足は3本?
「国史画帳大和櫻」より「神武天皇御東征之図」

前回までのあらすじ

天下を治めるために東に向かっていた「イハレビコ(神武天皇)」一行は熊野に上陸しました。

そこでも困難が待ち構えていましたが、「タカクラジ(高倉下)」が夢のお告げにより得た太刀で難を逃れました。

「古事記」における八咫烏の先導

高天原の「タカミムスビ(高御産巣日神)」は(地上を見て)

タカミムスビ
天津神の子をこれ以上奥に進ませてはいけない。
そこには荒ぶる神が大勢いる。
これから天より八咫烏(ヤタガラス)を遣わす。
八咫烏が飛び立つ後を進みなさい。

と言いました。

そこで、言われた通りに八咫烏の後を進むと、

・吉野川の川上で魚を獲っていた「ニエモツノコ(贄持之子)

・光る井戸から出て来た国津神の「イヒカ(伊氷鹿)

・巌を押し分けて出て来た国津神の「イワオシワクノコ(石押分之子)」が

3人
天津神の御子がいらっしゃると聞いたので、お迎えに来たのです。

と言いました。

・「ニエモツノコ(贄持之子)」は阿陀の鵜飼の祖

・「イヒカ(伊氷鹿)」は吉野の首の祖

・「イワオシワクノコ(石押分之子)」は吉野の国巣(クズ)の祖

で、この部分は熊野の土豪たちの帰順を表していると言われています。

鵜  

一行はさらに道もない山を越えて宇陀に進みました。

宇陀では宇陀の豪族

エウカシ(兄宇迦斯)」「オトウカシ(弟宇迦斯)」兄弟に八咫烏を遣わせて尋ねさせました。

八咫烏
お前たちも天津神の御子にお仕えするか?

エウカシ」は聞くなり八咫烏を音の出る矢を射て追い返しました。

しかし「エウカシ」は十分な兵を集めることができず軍勢を進めることは出来なかったので、一旦仕えるふりをして、大きな御殿を作り、その中に押機(オシ)を作って騙し撃つことにしました。

押機とは踏むと撃たれて圧死する仕掛け道具です。

これを知った「オトウカシ」は「イハレビコ(神武天皇)」一行を迎えに来て「エウカシ」の罠を密告します。

そこへ「大伴連(オオトモムラジ)の祖」である「ミチノオミノミコト(道臣命)」と

久米直(クメノアタイ)らの祖」である「オオクメノミコト(大久米命)」の2人が

道臣命と大久米命
お仕えするためにつくったという御殿に、まずお前が入って忠誠を示せ。

と言い、「エウカシ」を追い入れると「エウカシ」は自分が作った押機に打たれて死んでしまいました。

ミチノオミノミコト(道臣命)」と「オオクメノミコト(大久米命)」はすぐに「エウカシ」を引きずり出して切り刻みました。

それ故にその地を血原といいます。

熊野宇陀の血原の位置

八咫烏とは?

八咫烏(ヤタガラス)とはどんな鳥でしょうか。

八咫烏の咫とは

八咫烏咫(アタ)というのは、手を広げた時の親指から中指の長さの単位で18cmくらいのことです。

八咫なので144cm?ということではなく「とても大きなカラス」という意味です。

何故、先導役がカラスか?

古来よりカラスは「神の遣いの霊鳥」とされていました。

中国でもカラスは「火の精」や「太陽の遣い」とされていたそうです。

そして熊野でカラスを「神の遣いの御先(ミサキ)神」として信仰されていたことが、この神話に反映されていると思われます。

八咫烏の脚は3本か?

八咫烏は「3本足のカラス」のイメージが定着しています。

しかし「古事記」にも「日本書紀」にも3本足とは書かれていません。

それが何故3本足で描かれるようになったかは不明ですが

中国には3本足のカラスが太陽の中に住んでいるという言い伝えがあり、それが太陽の黒点を表しているとされてきました。

この伝承が日本に伝えられて太陽神「アマテラス」が遣わせたとされる八咫烏に影響を与えたのかも知れないと言われています。

キトラ古墳の壁画や法隆寺の玉虫厨子にも太陽と3本足のカラスの絵が描かれているので、日本にも太陽と3本足のカラスを結びつける考えが古くからあったことがわかります。

はるさん的補足 八咫烏と日本代表

日本代表のエンブレム

八咫烏といえばサッカーフットサル日本代表エンブレムですね!

これは「日本サッカーの生みの親」と言われる中村覚之助氏が、熊野那智勝浦出身だったので、中村氏に敬意を表して「熊野那智大社」の眷属である八咫烏が1931年に日本サッカー協会によって採用されたそうです。

神武天皇」を導いてくれたように、日本代表を勝利に導いてくれるといいですね!

これまでに完成している記事

これまでの記事はこちらからご覧ください。

上巻中巻(未完)

コメント一覧
  1. 才色 より:

    先ずは”神武天皇御東征の図”について神武天皇の手腕は4本ある様に見えます
    カラスは太陽の遣いなのですね。知能をも持ち警戒心も強く納得できます
    えうかし様はお気の毒でありました
    兄弟のおとうかし様に密告され
    古の時代の兄弟とは”共生”ではないのですね。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪♪
      確かにどなたかの足が見えるような気がしますね。
      カラスが黒点とされていたのは知りませんでしたが、素敵な物語ですよね。
      太陽の遣い、アマテラスの遣い、だから足も3本なんですね!
      兄弟の裏切りはこれからいっぱい出てくるんですよね。泣

  2. さゆ より:

    豪族たちは、飛んできたヤタガラスの話を聞き入れ、自らイワレビコを迎えに行ったのですね。ヤタガラスのおかげで豪族たちと戦わずにすみ、良かったです。
    熊野三山では、ヤタガラスが至るところで見られると思い、調べてみたら、本宮大社には、大のぼりや、ヤタガラスの置物(球体でしょうか?平べったいのでしょうか?)があり、那智大社には、柱と像があり、速玉大社では、シンボルマークは境内には見当たらないないようてすが、八咫烏神社があって、神紋がヤタガラスなようです。
    中でも速玉大社の特別授与品である、環境と平和のためのヤタガラステッカーはキラキラしていて綺麗でした。

    • harusan0112 より:

      八咫烏の飛行は、無駄な殺生を防ぎましたね。
      先導だけでなく素晴らしい働きです。

      熊野三山、調べてくださってありがとうございます♪
      八咫烏神社にサッカーの選手たちはお参りに行かれているようですね。
      速玉大社という名前も、サッカーにピッタリですね!

  3. 久子 より:

    血原という地名を知っていましたが、
    由来は初めて知りました。。
    想像以上におどろおどろしいですね。
    そして八咫烏。
    足の指は3本ではないんですね!
    びっくり!学びが深くなりました!

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます
      血原をご存知だったんですね。
      かなりおどろおどろしいです、弟に密告されるとは、、。泣
      記紀には3本とは書いてないです。
      太陽の黒点からの太陽神とは、、、なのに何今ではすっかり嫌われてしまいましたね。

  4. harusan0112 より:

    キヨさんコメント
    カラスはネイティブアメリカンの文化では世界を作ったとされていますね。
    物語の中でも空に太陽や星々を導き世の中に光を与えたとか、、、。
    ワタリカラスの導きで生物が初めての魂を持ったとか。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪♪
      存じ上げませんでした!
      カラスの賢さや強さから、人間はそのような共通認識を持つのか、神話が意外に世界的に伝わっているのか。

      いずれにしても、カラスを見る目が変わりそうです。

      • harusan0112 より:

        キヨさんコメント

        調べてみたら、ギリシャ神話にもアポロンの従者としてワタリガラスが登場していたり、北欧神話にも名前まで付けてもらっているカラスが登場したり、ブータンの仏教では大黒天様がカラスの姿で表されていたり、、、
        なんだろね、不思議。
        全世界的にカラスに重要な地位を与えてるんだよね。
        ノアの方舟のお話にも登場するしね。

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