【アイオライト】(コーディエライト) その種類と仮晶の【桜石】
アイオライト

アイオライトについて

アイオライトはスミレ色の美しい鉱物です。

・見る角度によって異なる多色性が顕著なこと

・2021年12月から「3月の誕生石」になったこと

・仮晶は断面が桜の花びらのように見える「桜石」になること


などで知られています。

アイオライト タンブル

宝石名「アイオライト」と鉱物名「コーディエライト」

アイオライトは宝石としての名前で、鉱物名はコーディエライトです。

北欧に多産されるこの鉱物は18世紀の終わりころまでは「青いクォーツ」や「(薄い色の)ウォーターサファイア」と呼ばれていました。

しかし、アユイなどフランスの鉱物学者が「クォーツでもサファイアでもないのではないか?」と言い、アイオライト(iolite)と命名しました。

ギリシャ語の ios (スミレ)にite (石)に由来します。

はる
鉱物学者のアユイ氏
元素クロムを命名した人物。
さらにアウイナイトを発見、名前の由来になりました。

💎参考記事

 

その後、透明なこの鉱物が異なる方向から見ると異なった色に見えること(多色性)をフランスの鉱物学者ピエール・ルイ・コルディエが発見しました。

そして1831年に鉱物名はコルディエ氏にちなんでコーディエライトに決まりました。

しかし、宝石名やパワーストーンの名称は今もアイオライトという名前が使われています。

和名はアイオライトを和訳した「菫青石(キンセイセキ)」です。

アイオライトの成分

アイオライトは珪酸塩鉱物の一種です。

化学組織はMg2Al3(AlSi5O18)

アイオライトの青い色は鉄を含むことによるものです。

アイオライトの多色性

アイオライト

アイオライトの特徴の一つは見る角度によって色が変わって見える多色性です。

青紫(すみれ色)、青灰色、黄褐色に見えます。

多色性も鉄がもたらしていると考えられています。

アイオライトの硬度

モース硬度 7〜7.5

💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度」

アイオライトの光沢

ガラス光沢

💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」

アイオライトの石言葉

アイオライト

・道を示す

・人生の道標

・貞操

・誠実

アイオライトの伝説

アイオライト

その昔、ノルウェーやフィンランドの船乗りたちが

「太陽が見えない時でも位置がわかる道具」

としてアイオライトを航海に持っていたという伝説があります。

そのため、アイオライトには

・バイキングのコンパス

・バイキングの太陽石

という愛称があります。

アイオライト

・北欧で量産されること

・多色性(光学異方光で、透過する光が偏光)があること

から生まれた伝説だと思われます。

しかし、

・本当にアイオライトを持って行ったか

・持って行ったとしたらどのように使ったか

はわかっていません。

アイオライトの種類と仮晶

アイオライトには見た目が異なる種類や色違いの物があります。

ゴールデンコーディエライト

ゴールデンコーディエライト

黄色〜茶色のコーディエライト(アイオライト)です。

宝石質のものは希少です。

アイオライトサンストーン (鉱物名: アベンチュリンアイオライト)

アイオライトサンストーン

サンストーンの特徴であるアベンチュレッセンス効果を持ったアイオライトです。

はる
アベンチュレッセンス効果とは
小さな、板状または葉状の金属インクルージョンに反射してキラキラ輝く、カラフルな動きです。
アイオライトサンストーンが入っているわけではありません。

光を当てると中のインクルージョンがキラキラ輝くアベンチュレッセンスが現れます。

板状または葉状の結晶はレピドクロサイト(鱗鉄鉱)です。

ブラッドショット・アイオライト

ブラッドショット・アイオライト

レピドクロサイトが赤く反射するものは、ブラッドショット・アイオライトと呼ばれます。

光を当てると血しぶきのような赤い点が見えます。

桜石 (アイオライトの仮晶)

桜石

桜石アイオライトの仮晶(カショウ)です。

仮晶とは

鉱物の結晶形が保たれたまま、中身が別の鉱物によって置き換わることで、本来はあり得ない外形をとる現象のことです。

桜石結晶となったアイオライトが分解され白雲母や緑泥石に変化して、風化したものです。

適度に風化すると、六角柱状の石に分離します。

その断面に、6枚の花びらが咲いたような紋様が現れます。

桜石が採れるのは現状では日本だけとされています。

そして特にはっきりとした模様が現れる

京都府亀岡市薭田野町の桜石は天然記念物に指定されています。

アイオライト 誕生石と誕生日石

アイオライト

アイオライトは2021年12月から3月の誕生石になりました!

誕生日石は

・4/9 桜石

・8/10 アイオライト

です。

💎参考記事

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石」  

アイオライトの主な産地

・インド 🇮🇳

・ブラジル 🇧🇷

・ミャンマー 🇲🇲

・スリランカ 🇱🇰

・マダガスカル 🇲🇬

・タンザニア 🇹🇿

・カナダ 🇨🇦

・イギリス 🇬🇧

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コメント一覧
  1. アイオライト、きれいですね。
    どのようにして太陽の位置を読み取るのか、調べてみました。
    日光に向けて回転させると黄色や褐色に変わる性質を利用するのだそうです。
    他にカルサイト、トルマリンなど、複屈折がある結晶はどれも太陽の位置を読み取ることに利用できるそうです。
    桜石、六角柱状で上から見ると花びらなのですね。厚みはどのくらいなんでしょうね。

    • アイオライト、、ずーっとアオイライトと記憶してましたありがとうございます。アウイライトと、同じ方が発見したから命名が似て、混乱したようで…正しい名称がわかり、良かったです

      • ありがとうございます♪
        アウイナイトのことですね!
        アウイ氏が発見命名しました。
        この方の表記がアウイだったりアユイだったりアウィーンだったりして紛らわしいんですが、コルディエ氏の師匠でもあるそうです。
        アウイナイトとアイオライト名前も見た目も少し似てますが、アウイナイトは希少性もあってめちゃくちゃ高価です。1カラット100万以上と言われ、ダイヤモンドより高い石とされています。
        一方アイオライトは1カラット数千円で買えるお手頃な石。
        私はアイオライトサンストーンだけ持っています。笑
        好きな石を楽しめば良いというのが私の持論です。

    • さゆ様への返信です

      ありがとうございます♪
      複屈折の利用ですね!
      2022年の宝石展にあった桜石は直径1センチくらいでした。(写真の物)

  2. この度はとてもオシャレな外観、呼称と為りますね。
    ギリシャ語のios iteにてiolite。菫石…全く相応しいです
    鉄(Fe)を含むとはアルミニウム(Al)ですね
    仮晶状態とは別鉱石に変わる様子。主成分も変異するのでしょうか…
    産出国は非常に暑い、際立つ寒さに偏る割には日本も…
    桜石ともなれば京都亀岡のみ…不思議ですね。

    • ありがとうございます♪
      素敵な石アンドネーミングですね。
      コーディエライトという鉱物名が一般化しないのがよくわかります。笑
      産出石というのは埋蔵されている国ではなく、あくまで現在採掘している国ということなので、アイオライトの場合はもしかすると日本などでも見つかるかもしれない?と私は夢をみています。
      だって仮晶だけがあるって不思議すぎませんか?

  3. 航海に持って行ったというアイオライト≡石言葉でも「道を示す」のですね。仮晶という現象を初めて知りました。桜石とは風流ですね〜菫青石とは全く違う石ですね!アイオライトサンストーンも天然のブローチといった感じで素敵です❤️

    • ありがとうございます♪
      バイキングが航海に持って行ったと言われる石の一つですが、お守りというだけでなく、きちんと役立てていたのではないかとされているので、石言葉に結びついたのでしょうね。
      バイキングはすぐれた航海技術があったとされてますが、使える物は何でも使ったのかもしれません。
      アイオライトサンストーン、魅力的ですよね。
      実は私物です!
      でも思いっきり光を当てた状態の写真なのです。
      置いてしまうと紺色のアイオライトです。

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