![(84)『日本神話タロット』鏡ノ王「山神オオヤマツミと娘たちと孫」](https://i0.wp.com/harusantarott.com/wp-content/uploads/2021/11/6846A78B-3223-4D87-95EF-8CA49F439C51-scaled.jpeg?fit=2560%2C1788&ssl=1)
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81までで「 古事記 上巻」に書かれている内容は終了しました。
「日本神話タロット」に
「 山神 オオヤマツミ 」のカードがあるので、この記事では
・「オオヤマツミ(大山津見) 」の娘たちと孫を振り返ってみたいと思います。
上巻の記事一覧
「オオヤマツミ」についての
まとめ
・「イザナギ(伊耶那岐)」と「イザナミ(伊耶那美) 」の子
・「古事記」では大山津見神と表記される
・山の総元締といえる自然神
・美人の娘、孫たちがいる
・温厚な性格だが「ニニギ」に「イワナガヒメ」を返された時だけ怒る
・本人についての記述は少ない
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鏡ノ王(カップのキング)の意味
・正位置
温厚、寛容、支援、安定、精神的成熟
・逆位置
表裏一体、独りよがり
『日本神話タロット 極参』 鏡ノ王(カップのキング)の解説文(写し)
「イザナギ」と「イザナミ」の息子である「オオヤマツミ」は、
多くの経験を積み、落ち着いた眼差しで世界を見ています。
全てを包み込む大きな心を持った「オオヤマツミ」は全てを受け入れ、多くのものから愛されています。
「コノハナノサクヤヒメ(木花佐久夜比売)」の出産に喜んだ「オオヤマツミ」が酒を作り、神々に振る舞った事から、
酒造の神とされることもあります。
参考記事
「神」としての「オオヤマツミ」
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「山の神」
木や川も含む、山全体の神で、全国の山岳信仰の総元締です。
「海の神」
「オオヤマツミ」は「伊予風土記」では「ワタシノオオカミ」と呼ばれています。
「ワタ」は海の事です。
愛媛県の大山祇神社(オオヤマヅミジンジャ)では「山と海の神」として祀られています。
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「酒解神(サケトケノカミ)」
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「コノハナノサクヤヒメ」の結婚や出産の時に酒を振る舞ったことから、「酒の神」にもなりました。
「酒の神」というと「ギリシャ神話」の「バッカス」のような暴れん坊をイメージする人も多いでしょう。
しかし、日本では「酒は神事に使われる物」という捉え方をしているので、穏やかな性格とされる「オオヤマツミ」が「酒の神」となっています。
娘や孫が大活躍!
「オオヤマツミ」
「古事記」に「オオヤマツミ」本人の記述はあまりありません。
しかし、娘や孫が大変な活躍をします。
主な子孫を紹介しましょう。
(「古事記」に出てくる順番では孫が最初になります。)
「オオヤマツミ」を中心とした主要な神々の系譜
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赤線は女神
「クシナダヒメ」(孫)
「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」に食べられるところを
「スサノオ(須佐之男)」に助けてもらいます。
「クシナダヒメ(櫛名田比売)」はよほど美人だったんでしょうね。
その後「クシナダヒメ」は「スサノオ」と結婚します。
すると「スサノオ」はそれまでの暴れん坊ぶりが落ち着き、英雄となりました。
「クシナダヒメ」は「大和撫(ヤマトナデシコ)」の元祖と言われている女性です。
彼らには「ヤシマジヌミ(八嶋士奴美)」という神が産まれました。
「カムオオイチヒメ」(娘)
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「クシナダヒメ」が亡くなってから、「スサノオ」は「カムオオイチヒメ(神大市比売)」と再婚します。
「古事記」には名前しか出て来ませんが
「ウカノミタマ(宇迦之御魂神) 」や「オオトシノカミ(大年神) 」という子たちをもうけます。
・「ウカノミタマ(宇迦之御魂神)」は稲荷の神として全国に祀られる神です。
・「オオトシノカミ(大年神)」はお正月の神で、門松で迎え入れられる日本を代表する神の一柱となります。
「コノハナチルヒメ」(娘)
「コノハナチルヒメ(木花知流比売)」は
「クシナダヒメ」が産んだ「ヤシマジヌミ」と結婚します。
(「オオヤマツミ」にとって
ひ孫である「ヤシマジヌミ」と、
娘である「コノハナチルヒメ」が結婚することになります。)
その5代子孫が「オオクニヌシノカミ(大国主命)」です。
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「コノハナチルヒメ」は「イワナガヒメ(石長比売) 」と同一とする見方があります。
「コノハナノサクヤヒメ」(娘)
「古事記」1番の美人です。
「コノハナノサクヤヒメ(木花之佐久夜比売)」は天孫降臨した
「ニニギ(邇邇芸)」と結婚し「ホオリ(山幸彦)」などを産みます。
「ホオリ(山幸彦)」は「ワタツミ(綿津見神)」の娘
「トヨタマビメ(豊玉毗売命)」と結婚し、
孫が「神武天皇」となります。
なぜ重要な神の妃に「オオヤマツミ」の娘たちが選ばれたか
なぜこんなにも、「オオヤマツミ」の娘たちが重要な神々と結婚したのでしょうか。
それは「美人だったから」だけではありません。
3つの説を紹介します。
「オオヤマツミ」は「山の神」として、全国各地で普遍的だから
「山の神」に対しては、全国各地で民族的な信仰が認められます。
しかし「オオヤマツミ」は普遍的、総合的な性格をもった「山の神」と考えられています。
ですから日本全国で受け入れられやすいとされたのではないか、という説があります。
「オオヤマツミ」を
「農耕・出産・海の神」とする説
民族的な「山の神」に共通する「農耕・出産・海の神」という側面を「オオヤマツミ」が持っていたのではないか、という説もあります。
つまり「山の神」にとどまらず、地上を代表する神として特別な立場を与えたというものです。
天皇の支配を正当化するためという説
天津神である「ニニギ」が国津神である「コノハナノサクヤヒメ」(「オオヤマツミ」の娘)と結婚し、その子孫が天皇となっています。
そのことで、国土の支配や農耕を掌るといった統治の権限が天皇にあることを示したかったという説もあります。
はるさん的補足
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「古事記」のみならず、現在も日本全国における「オオヤマツミ」の存在感は本人、子孫ともにとても大きな物です。
それは、彼の穏やかで優しい性格による所が大きいのではないでしょうか。
孫である「クシナダヒメ」は大変気立てが良かったようで、あの「スサノオ」がすっかり大人しくなりました。
「コノハナノサクヤヒメ」が「ニニギ」と離縁した時は、「オオヤマツミ」の元で子育てをしています。
そして「オオヤマツミ」は日本の「山の神」の総元締であるにも関わらず、江戸時代には日本一の山「富士山」を「コノハナノサクヤヒメ」に与えています。
「オオヤマツミ」が唯一怒ったのは、「ニニギ」が「イワナガヒメ」を拒否して送り返した時です。
「イワナガヒメ」も「オオヤマツミ」にとってはかわいい娘だったに違いありません。
とても愛情深い神なのでしょう。
「オオヤマツミ」は今でも穏やかに日本の「山の神」としてこの国を見守ってくれていることでしょう。
これで上巻が終わります。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)