(18)『日本神話タロット』愚者 「スサノオの高天原来訪」
愚者「スサノオの高天原来訪」
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(18)『日本神話タロット』愚者 「スサノオの高天原来訪」

これまでのあらすじ


イザナミ」に先立たれた「イザナギ」は「黄泉の国」に「イザナミ」を迎えに行きましたが、連れ戻すことに失敗しました。

黄泉比良坂」で「イザナミ」と決別した「イザナギ」は禊を行います。

禊をしている時にたくさんの神が生まれました。

最後に、左目から「アマテラス」右目から「ツクヨミ」そして鼻から生まれたのが「スサノオ」です。

アマテラス」「ツクヨミ」「スサノオ」を特に尊い神ということで「三貴子」と呼びます。

写真は「イザナギ」が禊をしたと言われる現在の阿波岐原森林公園(宮崎県)です。

イザナギ」は「三貴子」を生むと、

私は多くの神々を生み続けたが最後に尊い三柱を得た
と言って喜び

・「アマテラス」に首飾りを与え「高天原を治めよ
・「ツクヨミ」には「夜の食国(オスクニ)を治めよ
・「スサノオ」には「海原を治めよ
と命じます。

こうして「三貴子」による世界の統治が始まります。

ところが「スサノオ」だけは命じられた国を治めず、大人になってからも泣きわめいていました。

その鳴き声で地上には禍が満ちていました。

イザナギ」が
「なぜそんなに泣いているのか」
とたずねると
スサノオ」は
「母がいるところに行きたい」
と答えました。

これを聞いて「イザナギ」は激怒し、「スサノオ」を地上世界(海原国)から追い出すことにしました。

愚者「スサノオの高天原来訪」

『日本神話タロット極参』愚者の意味

正位置

自由、希望、夢、出発、無邪気、純粋、楽天的

逆位置
気まぐれ、中途半端、無知無謀

『日本神話タロット極参』愚者「スサノオの高天原来訪」の解説文(写し)

オダマキ
イザナミに会いに行く黄泉の国へ行く前に、姉(アマテラス)に挨拶をしようと高天原を訪れたスサノオは道端で見つけた「オダマキ」の花を片手に、悠々と天浮橋を渡ります。

花などに興味のないスサノオは綺麗だと思ったから摘みましたが、オダマキは「愚か者」「必ず手に入れる」という花言葉を持っていました。

その花を持ち高天原を訪れるスサノオに対しアマテラスは「高天原を奪いに来た」と勘違いをします。

このまま進むと矢を射られると、白い犬は吠えて忠告しましたが、スサノオは気づいていません。

オダマキの花や犬は作者(ヤマモトナオキ氏)による素敵な創作です。

参考記事

「古事記」におけるこの場面

父の「イザナギ」に地上世界から追放された「スサノオ」は高天原にいる「アマテラス」に挨拶してから「イザナミ」のいる「黄泉の国」に向かうことにしました。

スサノオ」が天に降りると山や川が轟き、国土が揺れ動きます。

アマテラス」はこれを聞いて驚き
「弟が上がって来たのはきっと我が国を奪おうとしているに違いない」
と言って髪をほどいて男装(武装)して待ち受けました。

アマテラス」は髪にも手にも大きな勾玉を連ねた玉飾りを巻きつけ、たくさんの弓矢を持ち雄叫びをあげて「スサノオ」に
「どうして高天原に上がってきたのだ」
と、尋ねました。

スサノオ」は
「あなたに背く気はありません。ただただご挨拶申し上げたかっただけです。」
と言うと、「アマテラス」は
「おまえの心が清らかなことを どうやって証明するのか」
と問いました。

スサノオ」は
「ではウケイをして子供を産みましょう」
と答えました。

「スサノオ」とは

オオクニヌシ」と並んで「古事記」上巻のヒーローです。

この後「スサノオ」についての記事がしばらく続くので「スサノオ」の基本的なことを整理しましょう。

「古事記」での名前の表記

全名:建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)

分解してみましょう。

、、、勢いのある
、、、速い
須佐、、すさぶる。激しい。荒々しい
、、、の
、、、男
、、、神

つまり「荒れすさぶ男神」という意味です。

しかし「古事記」に出てくる「スサノオ」は荒々しい所もありますが、母や姉を慕ったり、妻や娘を溺愛する側面もあります。

また、頭もよくヤマタノオロチの伝承ではヒーローとなります。

「スサノオ」の主なエピソード

スサノオを祀る熊野大社(島根県)
・「アマテラス」と「ウケイ」をして子を作る。

乱暴を働き「アマテラス」を怒らせ、岩戸に隠れる原因を作る。

・出雲でヤマタノオロチを成敗する。

三種の神器の一つ、草那藝の太刀(クサナギノタチ)を「アマテラス」に献上する。

・日本で最初の和歌を作る。

・兄たちに殺された「オオクニヌシ」に助言をし、娘との結婚を許す。

はるさん的補足

本居宣長 61歳 自画自賛像
スサノオ」は「天津神」として生まれたのですが「イザナギ」の怒りを買い「国津神」に降格されました。

しかし「スサノオ」は高天原での「荒ぶる神」から出雲の地では一転して「英雄的な神」として描かれていきます。

本居宣長は「イザナギ」が日向国で禊で清めた際に祓いきれずに残っていた所があったため「スサノオ」は若い頃荒れていたのであろうと書いています。

この後、地上の繁栄と秩序を作るキーマンとなる「スサノオ」の若かりし日の蛮行に対して、視点が優しい宣長らしい見解だと思います。

次回はタロットカードにはありませんが「ウケイ」について番外編として説明します。

古事記の他の記事

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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)

中巻(神武天皇から応神天皇)

下巻(仁徳天皇から推古天皇)

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