これまでのあらすじ
第26代継体天皇が崩御しました。
そして安閑・宣化天皇が短い期間、帝位に就きました。
「古事記」の欽明天皇の記述全文
宣化天皇の弟の
天国押波流岐広庭天皇(アメクニオシハルキヒリニワノスメラミコト)は、
師木島の大宮(現在の奈良県桜井市)で天下を治め、
第29代 欽明天皇となりました。
皇后 石比売命
欽明天皇が、宣化天皇の御子の
石比売命(イワヒメノミコト)を娶り生んだ御子は、
・八田王(ヤタノミコ)
・沼名倉太玉敷命(ヌナクラフトタマシキノキコト:後の第30代 敏達天皇)
・笠縫王(カサヌイノミコト)
の3人です。
小石比売命
また、その石比売の妹の
小石比売命(オイワヒメノミコト)を娶り生んだ御子は、
・上王(かみのみこ)お1人です。
春日の糠子郎女
また、春日之日爪臣(カスガノヒツメノオミ)の娘の
糠子郎女(ヌカゴノイラツメ)を娶り生んだ御子は、
・春日山田郎女(カスガノヤマダノイラツメ)
・麻呂子王(マロコノミコ)
・宗賀倉王(ソガノクラノミコ)
の3人です。
宗賀(蘇我)の岐多斯比売
また、宗賀稲目宿禰大臣(蘇我稲目:ソガノイナメノスクネのオオオミ)の娘の
岐多斯比売(キタシヒメ)を娶り生んだ御子は、
・橘豊之日命(タチバナノトヨヒメノミコト後の第31代 用明天皇)
・石坰王(イワクマノミコ)
・足取王(アトリノミコ)
・豊御気炊屋比売命(トヨミケカシキヤヒメノミコト 後の第33代 推古天皇)
・麻呂古王(マロコノミコ)
・伊美賀古王(イミガコノミコ)
・山代王(ヤマシロノミコ)
・大伴王(オオトモノミコ)
・桜井之玄王(サクライノユミハリノミコ)
・麻怒王(マノノミコ)
・橘本若子王(タチバナモトノワクゴノミコ)
・泥杼王(ネドノミコ)
の合わせて13人です。
宗賀(蘇我)の小兄比売
また、岐多斯毘売命(キタシヒメノミコト)の叔母(姉?)の
小兄比売(ヲエヒメ)を娶り生んだ御子は、
・馬木王(ウマキノミコ)
・葛城王(カツラギノミコ)
・間人穴太部王(ハシヒトノアナホベノミコ:後の用明天皇の后)
・三枝部穴太部王(サキクサベノアナホベノミコ)またの名は須売伊呂杼(スメイロド)
・長谷部若雀命(ハツセベノワカサギノミコ:後の第32代 崇峻天皇)
の5人です。
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欽明天皇の御子等すべて合計25人になります。
この中で、
沼名倉太玉敷命 (敏達天皇) が次に天下を治め、
次に橘豊之日命(用明天皇) が天下を治め、
その次に長谷部若雀命 (崇峻天皇) が天下を治め、
次に豊御気炊屋比売命 (推古天皇) が天下を治め、
併せて4人の王が後に天下を治めました。
「古事記」における欽明天皇の記述は以上となります。
欽明天皇陵
欽明天皇陵の
陵名は檜隈坂合陵(ヒノクマサカアイノミササギ:奈良県高市郡明日香村)で、
墳名は平田梅山古墳(ヒラタウメヤマコフン)です。
はるさん的補足 辛亥の変
前回 (176)安閑・宣化天皇の記事にも書きましたが、継体天皇の崩御から欽明天皇の即位に関して、
文献や資料によって異なり、不自然な点が存在します。
前回紹介した「古事記」「日本書紀」「元興寺縁起」では時期がずれるものの、全て
継体天皇→安閑天皇→宣化天皇→欽明天皇
の順番で(スムーズに)即位したことになっていました。
辛亥の変とは
「辛亥の変」とは仮説上の内乱です。
継体天皇の崩御の後、皇位継承を巡って争いが発生したのではないかという仮説に基づき、
「日本書紀」における継体天皇崩御の年 (辛亥 531年)に起こったと具体的に定めて命名されました。
「辛亥の変」が起きたという主張の背景
安閑天皇と宣化天皇は継体天皇が即位する前に生まれたとされる御子です。
彼らは応神天皇の6世孫という立場です。
したがって、彼らには皇位継承の権利はなかったのではないかという説が昭和に入ってから論議されるようになりました。
また、(辛亥🟰531年) のころは、朝鮮半島情勢を巡る対立 (「磐井の乱」など) もあり、全国的に内乱が多かったことが考えられます。
そこで生まれたのが「二朝並立説」です。
「二朝並立説」とは
継体天皇が崩御した後すぐに
・欽明天皇が即位
・安閑天皇・宣化天皇も即位
したという説です。
この説を唱える根拠としては
・欽明天皇は、この頃新しく頭角を表した蘇我稲目に支えられ
・安閑天皇・宣化天皇は大伴金村によって支えれられていた
という背景があります。
このため
蘇我氏vs 大伴氏 の対立とも考えられます。
そして「二朝並立」は539年 欽明天皇に統一されることによって
終焉したという説です。
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文献により皇位継承の記述が異なることから、さまざまな憶測が拡がる場面ですね。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)