下巻に入りました
下巻に入りました。
下巻は第16代仁徳天皇から第33代推古天皇までです。
しかし、ほとんど記述の無い天皇も多いため、短い巻になっております。
下巻のヒーローは仁徳天皇と雄略天皇です。
「古事記」における仁徳天皇 皇妃と皇子女
まずは恒例のご家族紹介です。
仁徳天皇は難波の高津宮(タカツミヤ)で天下を治めました。
最初の皇后 石之日売
仁徳天皇が葛城之曾都毘古(カツラギノソツビコ)の娘の石之日売(イワノヒメ)と結婚してお生まれになった御子は
・大江之伊耶本和氣(オオエノイザホワケ 後の第17代履中天皇)
・墨江之中津王(スミノエノナカツミコ)
・蝮之水齒別命(タジヒノミズハワケノミコト 後の第18代反正天皇)
・男淺津間若子宿禰命(オアサツマワクゴノスクネノミコト 後の第19代允恭天皇)
の4人
髪長比売
日向の諸縣君牛諸(ムロアガタノキミウシモロ)の娘である
髪長比売(カミナガヒメ)
と結婚してお生まれになった御子は
・大日下王(オオクサカノミコ)
・波多毘能若郎女(ハラビノワカイラツメ 後の雄略天皇の皇妃)
の2人
八田若郎女(2番目の皇后)と宇遅能若郎女
異母妹の
八田若郎女(ヤチダノワカイラツメ)と
宇遅能若郎女(ウジノワカイラツメ 応神天皇の系譜では女鳥王)とも結婚します。
御子はいません。
八田若郎女は石之日売が亡くなったあと、皇后となります。
彼女たちの兄は応神天皇が後継者に指名していた宇遅能和気郎子(ウジノワケイラツコ)です。
仁徳天皇の御子は男王5人、女王1人の全部で6人です。
はるさん的補足 万葉集と石之日売
古代の天皇きっての女好きである仁徳天皇ですが、その割に妻も御子も多くありません。
それは「古事記」や「日本書紀」によると最初の皇后である石之日売が嫉妬深くて、怖かったからということになっています。
その真偽はさておき、石之日売は歌の才能があり、4首の和歌が「万葉集」に載っています。
石之日売は「万葉集」の歌人で最古の人物です。
🍃 君が行き 日長くなりぬ 山訪ね
迎へか行かむ 待ちに待たむ 🍃
現代語訳:
あなた(仁徳天皇)が旅立ってから随分長い日が経ってしまった。
あの山道を訪ねて迎えに行こうかな。
やっぱり待っていようかな。
「万葉集」巻2の巻頭のこの歌は、石之日売が詠んだというより、石之日売の歌として伝承されている歌のようです。
「古事記」でも石之日売が仁徳天皇を
椿の花ように輝いてらっしゃり
椿の葉のように寛(ユタ)かに大きくていらっしゃる
と詠む場面が出て来ます。
これらの歌から受けるイメージは嫉妬深くて怖い女性というよりは、夫のことが大好きな可愛らしい女性のような印象です。
これから、仁徳天皇の恋愛譚はたっぷりと出て来ますので、石之日売の描かれ方にも注目して頂けると幸いです。
「古事記」の他の記事
ここまでの記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)