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(40) 『日本神話タロット』ワンドのキング「嵐神スサノオ」
これまでのあらすじ高天原では乱暴な行いをして追放された「スサノオ」ですが、地上に降りた後は「クシナダヒメ」と出会い、「ヤマタノオロチ」を成敗して英雄となりました。
そして須賀の地に宮を構えました。
『日本神話タロット 極参』棒ノ王「嵐神スサノオ」
カードの意味
・正位置
信念、忍耐、カリスマ性、展望
・逆位置
孤独、厳格、計画の遅延、孤軍奮闘
『日本神話タロット 極参』棒ノ王
「嵐神スサノオ」の解説文(写し)
成長したスサノオは自身を貫いた結果、多くの犠牲を出してきました。反省するとともに、さらなる成長を見据えて準備をしています。
クシナダヒメの死後、娘のスセリヒメと根の国へ行き、宮を建てて、そこに住みました。
スセリヒメを溺愛しており娘を娶りにきた6代先の孫オオクニヌシに度重なる嫌がらせをしましたが、オオクニヌシを認め嫁に出しました。
後妻の「カムオオイチヒメ」との間に、「ウカノミタマ」をもうけます。
参考記事
「古事記」におけるこの部分
「スサノオ」が「須賀宮」を造った後、「古事記」では「スサノオの系譜」が書かれ「アマテラスとスサノオ」の章が終わります。系譜にはたくさんの神が出てきますが主な神をまとめてみましたので参考にしてください。
この中で有名な神々
「スサノオ」の系譜が表すこと
皇室の祖
「スサノオ」は高天原で「ウケイ」によって「アマテラス」と子を作っています。つまり皇室の祖である可能性があります。
地上世界の支配者の祖
6代先の子孫に「オオクニヌシ」がいます。「オオクニヌシ」は天孫降臨まで地上世界を支配していました。
「稲作、豊穣の神」の祖
「オオトシノカミ」は稲「ウカノミタマ」は食べ物の神です。
このことから考えても「スサノオ」は天地双方の系譜に関わっており、また日本人の食生活に最重要だった稲の神の親という多様性のある神だといえますね。
はるさん的補足 「根の堅洲国」
「スサノオ」はどこに行ったのでしょう。
「古事記」ではこの後「オオクニヌシ」が「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」にいる「スサノオ」を訪ねて行く場面が出てきます。
死者の国だと考えられますが「イザナミ」が女王として君臨している「黄泉の国」とどのような関係があるのでしょうか。
同一視する説、違う場所だという説を紹介します。
「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」は「黄泉の国」と同じという説
「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」は「古事記」では「ハハノクニ」とも表されています。「スサノオ」が「お母さんに会いたい」と言って泣いて行こうとした所です。
「古事記」では「スサノオ」は「イザナギ」の禊によって生まれたのでお母さんはいません。
しかし「イザナギ」と「イザナミ」がたくさんの子を成したことを考えると「スサノオ」は「イザナミ」を母だと思っていたと考えられます。
「イザナミ」は「黄泉の国」にいたので「黄泉の国」と「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」は同じ「死者の国」だと考えることができます。
「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」は「黄泉の国」とは別という説
「スサノオ」のいう「ハハ」が「イザナミ」とは限りません。「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」の場面に「イザナミ」が登場しないのも不自然です。
また「黄泉の国」は地下とも山にあるとも考えられています。
参考記事 しかし「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」は地下 あるいは神道の儀式である「大祓」の祝詞には「根の堅洲国(ネノカタスクニ)」は海の彼方にあるとされています。
ですから別の場所だという説もあります。
いずれにしても「スサノオ」は高天原から追放されましたが、「ヤマタノオロチ」を成敗するなど自身の多様な神格とともに多様な子孫を残しました。
本人と子孫まで合わせると、日本人の精神面、食糧面の祖であると言えるでしょう。
写真は出雲国一之宮である「熊野大社」です。
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中巻(神武天皇から応神天皇)
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