(22)『日本神話タロット』魔術師「天岩戸の祭り」
魔術師「天岩戸」
前のページ(21)「大暴れしたスサノオ」
次のページ(23)「アメノウズメ」

(22)『日本神話タロット』魔術師「天岩戸の祭り」

これまでのあらすじ

アマテラス」が治める高天原に挨拶に訪れた「スサノオ」は高天原を奪いに来たと疑われましたが「ウケイ」によって「宗像三神」を生みます。

女神を生んだことで心が綺麗だと証明され、高天原に残ることを許された「スサノオ」は調子に乗って暴れ回ってしまいました。

最初は「スサノオ」を庇っていた「アマテラス」ですが、とうとう怒って天岩戸に身を隠してしまいました。

『日本神話タロット 極参』魔術師 「天岩戸の祭り」

春斎年昌画(1887年)

『日本神話タロット 極参』
魔術師 カードの意味

正位置

知識、可能性、創造、活力、積極的

逆位置
知識不足、無気力、優柔不断、消極的

『日本神話タロット極参』魔術師「天岩戸の祭り」の解説文(写し)

スサノオの横行により天岩戸に隠れてしまったアマテラスを、再び外へ出すために、八百万の神の前でアメノウズメは一心不乱に踊ります。

祭りが最大に盛り上がった時、天岩戸が少し開きアマテラスが
「私がいないのに、こんなに楽しそうなのはなぜ?」
と聞きました。

「あなたより美しく立派な神が現れたのでみんなでお祝いをしているのです。
ご覧になられますか。」

とアマテラスの前に八咫鏡(ヤタノカガミ)を差し出しました。

参考記事

天岩戸に隠れた「アマテラス」を外に出す作戦準備

天岩戸神社(宮崎県)

「アマテラス」が天岩戸に隠れると困ること

アマテラス」が隠れると、高天原も地上も暗闇になり夜が続きました。

そして悪い神々の声が満ち、あらゆる災いが起きました。

「アマテラス」を外に出す作戦

主な登場神

・「オモイカネ
作戦を考える神 (「タカミムスビ」の子)

・「アメノコヤネ」「フトダマ
占いをし、祝詞をあげる神

・「アメノタジカラオ
力持ちの神

・「アメノウズメ
半裸で踊る巫女



「オモイカネ」の作戦の準備

①高天原の神々を集める。

②雄鶏を集めて鳴かせる。

③ヤタノカガミと勾玉を数多くつけた緒を作らせる。

④「アメノコヤネ」と「フトダマ」に玉串を作る木を選ばせ、鹿の骨のヒビから吉凶を占わせる。

⑤榊の木の上段に勾玉を連ねた緒を、中段にヤタノカガミを、下段に白と青の布を垂らして大きな御幣を作る。

伊勢神楽堂の素敵な包装紙

「天岩戸の祭り」

① 「フトダマ」が持った御幣の下に八百万の神が集合。

②「アメノコヤネ」が祝詞をあげる。

③「アメノタジカラオ」が岩戸のそばに隠れて立つ。

④「アメノウズメ」が笹の葉を持ち、まさきを頭に飾り伏せた桶を踏み鳴らして踊る。

⑤踊っているうちに服がはだけ、神々が大笑いする。

気になって岩戸を開けた「アマテラス」を引っぱり出す

アマテラス
私が隠れて高天原も地上も暗闇になっているはずなのに、どうして神々は笑っているの?
アメノウズメ
あなたより貴い神がいらっしゃるので喜んでいるのです。
①気になった「アマテラス」が岩屋の戸を少し開ける。

②「アメノコヤネ」と「フトダマ」が御幣のヤタノカガミを岩戸に向ける。

③ ヤタノカガミに「アマテラス」が反射する。

④「アマテラス」は何の光かと思い、岩戸から身を少し出す。

⑤「アメノタジカラオ」が「アマテラス」の手を取って引き出す。

⑥「フトダマ」が岩戸に注連縄(シメナワ)を張って閉じる。
(もう岩屋に入ることができなくなったことを意味します。)

伊藤龍涯画1933年
こうして高天原と地上は光を取り戻しました。

はるさん的補足

古事記」の中で最も有名なエピソードである「天岩戸神話」はどんな意味を持っているのでしょうか。

2つの説を紹介します。

①「アマテラス」は仮死し復活したという説

スサノオ」が機屋に馬を投げ入れた時に「アマテラス」は亡くなった、または瀕死の状態になったという説です。

そこからの復活と再生というのは、世界の神話によくあるパターンですね。

②「アマテラス」が最高神であることを認めさせるためという説

岩屋にこもる前の「アマテラス」は「イザナギ」に高天原を治めるように言われてはいましたが、乱暴な「スサノオ」を諌めることもできず、他の神々も「アマテラス」を助けません。

しかし岩屋こもりによって、神々は「アマテラス」の重要性に気づき最高神であることを認めるようなったという説です。


2つの説を紹介しましたが、いずれも「アマテラス」の別格さを示すものであり、今後「アマテラス」の命令が絶対のものになる根拠として「天岩戸」は必要な神話だと言えるでしょう。

前回の(21)「スサノオ」の大暴れは、「天岩戸神話」のために作られた話しなのかもしれませんね。

古事記の他の記事

古事記の他の記事はこちらからご覧ください。

上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)

中巻(神武天皇から応神天皇)

下巻(仁徳天皇から推古天皇)

にほんブログ村

前のページ(21)「大暴れしたスサノオ」
次のページ(23)「アメノウズメ」

おすすめの記事