81までで「 古事記 上巻」に書かれている内容は終了しました。
「日本神話タロット」に「 コノハナサクヤ 」のカードがあるので、この記事では
・記紀に富士山の記載がないのは何故か、3つの説を紹介します。
上巻の記事一覧
「コノハナサクヤヒメ」についてのまとめ
・「古事記」一の美女
ちなみに、「桜」は、美しい「コノハナサクヤ(木花佐久夜)」のように美しい花を咲かせるので「桜」と名づけられたそうです。
・天孫「ニニギ(邇邇芸)」に笠沙の岬(鹿児島県薩摩半島の野間岬)で見初められ結婚。
しかし一夜で妊娠したため、「ニニギ」に「浮気をしたのだろう」と疑われてしまいます。
「ニニギ」の子であることを証明するために火の中で出産し、「ホオリ」「ホデリ」などを無事に産みました
この記事に出てくる神々の系譜
鏡ノ女王(カップのクイーン)の意味
・正位置
慈悲、直感、母性、博愛、協調性
・逆位置
過保護、嫌な予感、求めていない相手、不誠実
『日本神話タロット 極参』 鏡ノ女王(カップのクイーン)の解説文(写し)
「コノハナノサクヤ」は「ニニギ」と離縁し「オオヤマツミ」の元で3人の子を愛情かけて育てました。
火中出産をしたことで父の「オオヤマツミ」から富士山を譲り受けます。
「コノハナサクヤ」は「水の神」でもあり、火を鎮めることができるため、火山である富士山を鎮静するために、そこに宮を建て住まう事で、この国を富士山の噴火から守っています。
参考記事
「コノハナノサクヤヒメ」
と富士山
「コノハナサクヤヒメ」は富士山本宮浅間大社など、浅間神社の主祭神として祀られています。
詳しくは(77)鏡ノ捌「離縁」をご覧ください。
「古事記」や「日本書紀」に登場しない富士山
今は「コノハナノサクヤヒメ」といえば
「浅間大社」
「富士山の守り神」のイメージが定着しています。
けれども、「古事記」や「日本書紀」には「富士山」の記述がありません。
「ヤマトタケル」が「焼津」に行っているのですから、
「富士山」を見ているのだろうと思いますが、
何故か「富士山」という言葉も、
「富士山に相当すると思われる山」も出て来ないのです。
(780年ごろに編集された「万葉集」には山部赤人(700〜736)の富士山を神格化している歌があるので、
「古事記」や「日本書紀」を編纂した人たちが「富士山」を知らなかったということは考えられません。)
ではなぜ「古事記」に「富士山」が登場しないのでしょうか
3つの説を紹介します。
「富士山」の周辺に「富士王朝」があったという説
「富士山」の噴火や水害で跡形も無くなっていますが、
「富士王朝」があったという説があります。
それを、「記紀の編纂を命じた天皇家や当時の権力者である藤原氏が隠したかった」と推測する人もいます。
「富士山」こそ「高天原」だという説
「高天原」の地を巡っては、さまざまな説があります。
その一つが「富士山」です。
つまり「富士山」はすでに「高天原」として登場しているので、固有名詞として「富士山」を出せなかったというものです。
「富士山」は多くの山の一つに過ぎなかった説
紀元前の噴火を除けば、
「富士山」は781年以降200年間で10回、江戸時代になってからは2回(1627年、1707年)噴火をしています。(諸説あります)
記紀の編纂は712年と720年なので、
それまで「特別に意識される山ではなかった」という説です。
まして
東国に出向くことなどほとんどなかった大和朝廷の人々にとって、「富士山」は「未開の地」の象徴であったので、
書く必要がなかったのではないかという解釈です。
はるさん的考察
「富士山」を「高天原」とするのは不自然
「古事記」には多くの地名が登場します。
その中で「高天原」を日本のある特定の場所と設定するのは無理があると思います。
また「高天原」は天津神のいる場所なので、「富士山」が「高天原」であるとするのは
「神武天皇」の「東征」という言葉とも矛盾があるでしょう。
当時から「富士山」は特別な山だった
「富士山」は古事記編纂以降も噴火を繰り返しているので、現在の形状や高さではありません。
しかし、「富士山」の周りには古墳や貝塚が多く残されていること、海も近く温暖な気候であることから考えて、「富士山」周辺には多くの人が住んでいたと考えるのが自然でしょう。
そうした場合、王朝と呼べるかどうかはわかりませんが、相当のリーダーがいる集団を形成していたのではないでしょうか。
また、日本には古くから「山岳信仰」があるので、「富士山」を神と崇めていないとは考えにくいと思われます。
であれば「富士山」の存在をあえて隠したと考えるのが自然だと思います。
「古事記」にあまり記述がない神々
「古事記」には重要そうなポジションにも関わらず、殆ど記述のない神が存在します
・「アメノミナカヌシノカミ」
最初に出現した神
・「ツクヨミ」
「アマテラスオオミカミ」や「スサノオ」と一緒に産まれた夜を司る神
あまり都市伝説風にしたくはないのですが、これらの神々の記述があまりにも少ない事から、この中の誰かやその子孫が「富士山」を含む東国を統治していた可能性があると思います。
そして、その存在は歴史書に残したくなかった?
「古事記」に書かれていることも面白いですが、書かれていないことから考えるのも面白いですね。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)