(157)『古事記』安康天皇 暗殺される初めての天皇 大日下王事件

第20代 安康天皇 (穴穂命)

これまでのあらすじ

第19代允恭天皇が亡くなった後、皇位継承者と指名されていたのは

木梨之軽太子 (キナシノカルノヒツギノミコ) でした。

しかし、木梨之軽太子同母妹である衣通王(ソトオリノミコ)と恋に落ち、流刑になった後に心中しました。

第20代 安康天皇

この記事に登場する皇族方 (女性に赤線)

安康天皇 弟のために嫁を探す

允恭天皇の御子である安康天皇(穴穂御子)

石上穴穂宮( イソノカミノアナホノミヤ 現在の奈良県天理市田町)で

天下を統治なさいました。

天皇は、同母弟の大長谷王子( オオハツセノミコ 後の雄略天皇 )のために坂本臣らの祖である根臣(ネノオミ)大日下王オオクサカノミコ 仁徳天皇髪長比売の御子 )のところに遣わしました。

髪長比売は、応神天皇がとても美しいという評判を聞いて日向から呼び寄せ、結婚しようとした女性です。

しかし、髪長比売を迎えに行った仁徳天皇が一目で心を奪われてしまい、父親の応神天皇に頼んで、結婚しました。

(参考:息子(仁徳天皇)に美女を譲る応神天皇 )

その髪長比売の娘の若日下王も大変な美人だったと言われています。

そして、根臣大日下王

根臣
あなたの妹である若日下王 ( 仁徳天皇の娘 )を
大長谷王子 (仁徳天皇の孫 )と結婚させたいと思うので、
協力をしなさい。

と伝えると、大日下王はその仰せに、4度拝礼して言いました。

大日下王
そのような重要なご命令があればと思い、妹を外に出さずにおきました。

これは、畏れ多いことです。
ご命令のままに奉りましょう

そして、大日下は、言葉だけで申し上げるのは、無礼にあたると思い、妹の礼物( イヤシロ 敬意を表す贈り物 )として樹枝状の勾玉などで装飾した根臣に持たせて献上しました。

ところがそのがあまりにも美しかったので根臣は盗み取り、安康天皇には大日下王 (オトシ) めて、報告しました。

根臣
大日下王は、勅命を受けず、

『わたしの妹を同族の末席に置くわけにはいかない』

と言って、太刀の柄を握って怒ったのです。

これを聞いた安康天皇はたいそう大日下王をお恨みになって殺し、

王の正妻の長田大郎女(ナガタノオオイラツメ)と息子の目弱王 (マヨワオウ) を奪い取って、

長田大郎女皇后となさいました。

安康天皇、皇后の連れ子に殺害される

おぞましき惨劇

ある日、安康天皇神託を聞くためにお昼寝をなさることにしました。

その時、皇后長田大郎女

安康天皇
そなたは何か気掛かりなことがあるか?

と、お聞きしました。

すると皇后

長田大郎女
天皇である貴方さまにこんなに大切にされているのに、
気掛かりなことなどありません。

とお答えになりました。

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今城塚古墳(大阪府) から出土した家形古墳

ところで、長田大郎女と先夫の大日下王の子である目弱王は7歳でした。

その目弱王が御殿の床下(1階のことか?)で遊んでいました。

しかし、安康天皇はご存じなくて、皇后

安康天皇
私にはずっと気掛かりなことがある。
何かと言えば、あなたの子の目弱王が成人した時に、
私が彼の父親を殺したことを知ったなら、
謀反を起こすのではないだろうか。

と仰いました。

この時、下で遊んでいた目弱王安康天皇の言葉を聞いていたのです。

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目弱王天皇が眠るのを待ち、床の傍らの太刀を取るや否や、

天皇の首を打ち斬り、

都夫良意富美(ツブラオオミ 葛城氏) の家に逃げ入りました。

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安康天皇の御寿命は56歳。

御陵は菅原の伏見岡 (フシミノオカ 奈良県奈良市宝来町古城)にあります。

安康天皇陵と治定されている陵

安康天皇陵と治定される菅原伏見西陵

安康天皇陵と治定されている陵は菅原伏見西陵(スガワラフシミニシリョウ)と呼ばれています。

応神天皇以降の巨大な古墳と比べて余りにも小さい上、

陶器や埴輪など古墳と確認できるの遺物は発見されず、古墳ではなく山城ではないかと言われています。

元来、小領主の館だったところを大阪の陣徳川方が拠点として改修した城ではないかという見解が出ています。

したがって、今も宮内庁に安康天皇陵と治定されてはいますが、天皇陵ではなく城跡のではないかと思われています。

はるさん的補足 日本書紀に記される、その後の根臣

安康天皇は史上初の暗殺された天皇となりました。

ことの発端は家臣であった根臣の言葉を信じてしまったことです。

根臣のその後について「古事記」には書かれていませんが「日本書紀」には書かれています。

それによると、

雄略天皇の時代、根臣が金で飾ったを被っていました。

そのこそ、大日下王が礼物として根臣に持たせた物でした。

それを雄略天皇皇后となった若日下王がご覧になり、全てを察して泣き出してしまいます。

こうして根臣の悪事はバレ、処刑されたということです。

古事記の他の記事

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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)

中巻(神武天皇から応神天皇)

下巻(仁徳天皇から推古天皇 未完)

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