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『日本神話タロット』勾玉ノ参 「因幡の白兎②ガマの穂」
これまでのあらすじ「オオクニヌシ」は「ヤガミヒメ」に求婚する兄たちの荷物持ちとして因幡の辺りを歩いています。
『日本神話タロット 極参』
勾玉ノ参「ガマの穂」
カードの意味
・正位置
才能の発揮、昇進、成長、名声を得る
・逆位置
出し惜しみ、中途半端、手抜き
『日本神話タロット 極参』勾玉ノ参
「ガマの穂」の解説文(写し)
旅の途中でオオナムチ(オオクニヌシ)は皮が剥がれたウサギに出会いました。 泣いているウサギに尋ねると
「和邇(ワニ)を騙して海を渡ってきたが、途中で嘘が発覚し、皮を剥がされた後に、先を進んでいた八十神達に嘘の治療法を教えられ、全身が痛いのだ」
と言いました。
オオナムチは持っていたガマの穂でウサギを治療してあげました。
ウサギはみるみる良くなり
「八十神達はヤガミヒメと結婚できません。
娶るのはあなたです。」
とオオナムチに伝えました。
参考記事
「古事記」におけるこの部分
気多(ケタ)の岬(上の地図、左上)までやってくると1匹のウサギが伏せっていました。
八十神
海水を浴びて山に登り、風に当たって寝ているといい。
すると「オオクニヌシ」が通りかかり
オオクニヌシ
何故泣いているのだ
白うさぎ
私は隠岐島にいてこの地に渡ろうとしたのですが、そのとき海の和邇を騙して
「仲間の数を競いませんか。
あなたは仲間をいるだけ集めてこの島から気多の岬まで、一列になって並びなさい。
私がその上を走りながら数えるので、私とあなたの仲間のどちらが多いかわかるでしょう。」
と、言ったのです。
そして和邇の列の上を渡って、岸に降りようとした時
「お前は騙されていたんだよ。」
と言うと、一番端にいた和邇が私を捕らえて皮を剥いでしまったのです。
それで嘆き悲しんでいると、通りかかった八十神が
「海水を浴びて風に当たって伏せっているといい」
と教えてくれ、その通りにしてみると私の体は傷だらけになってしまったのです。」
「仲間の数を競いませんか。
あなたは仲間をいるだけ集めてこの島から気多の岬まで、一列になって並びなさい。
私がその上を走りながら数えるので、私とあなたの仲間のどちらが多いかわかるでしょう。」
と、言ったのです。
そして和邇の列の上を渡って、岸に降りようとした時
「お前は騙されていたんだよ。」
と言うと、一番端にいた和邇が私を捕らえて皮を剥いでしまったのです。
それで嘆き悲しんでいると、通りかかった八十神が
「海水を浴びて風に当たって伏せっているといい」
と教えてくれ、その通りにしてみると私の体は傷だらけになってしまったのです。」
オオクニヌシ
すぐに河口まで行って真水で体を洗いなさい。
そしてガマの花粉を取ってきて敷散らし、その上を転がり回りなさい。
そうすれば皮膚は治るだろう。
そしてガマの花粉を取ってきて敷散らし、その上を転がり回りなさい。
そうすれば皮膚は治るだろう。
白うさぎ
あなたは袋を背負って卑しい役目を負っていますが、きっとヤガミヒメを得ることができるでしょう。
「ガマの穂」とは
ガマは日本全国の湖や沼に生える植物です。
「ガマの穂」と「古事記」には書かれていますが、正確には「蒲黄(ホオウ)」と呼ばれる花粉だと思われます。
「蒲黄」には止血や火傷を治す働きがあります。
花粉があった時期ということから、「因幡の白兎」は6〜7月の出来事だったことがわかります。
そしてこの物語から「オオクニヌシ」は「医薬の神」となりました。
はるさん的補足 和邇とは?
「古事記」には度々「ワニ」が登場します。
漢字で「和邇」と書かれているので「ワニ」と読みますが、「サメ」に近い架空の動物だろうという説が有力です。
爬虫類のワニは日本には生息しないので「恐ろしい生き物」というイメージで輸入された言葉だと思われます。
(実在する動物の他に、名前が同じ架空の動物がいる「麒麟」と同じような物ですね。)
世界に散らばる類似神話
世界各地に神話があり多くの類似点が指摘されています。「ワニ」が出てくる神話もあります。
これは偶然でしょうか?
インド
ワニの令嬢をおだててジャッカルが川を渡らせてもらう
ニューギニア
猿が海岸で寝ていたワニを騙して一列に並ばせる
インドネシア
子鹿がワニを騙して一列に並ばせると、その背中を歩いて対岸へ渡る
ワニの令嬢をおだててジャッカルが川を渡らせてもらう
ニューギニア
猿が海岸で寝ていたワニを騙して一列に並ばせる
インドネシア
子鹿がワニを騙して一列に並ばせると、その背中を歩いて対岸へ渡る
真相はわかりませんが、偶然にしては似過ぎているような気がしませんか。
古事記の他の記事
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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