(35)  『日本神話タロット』ワンド10「天叢雲剣(アメノムラクモ)」
棒ノ拾(ワンド10)「天叢雲剣」
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(35) 『日本神話タロット』 ワンド10「天叢雲剣(アメノムラクモ)」

これまでのあらすじ

スサノオ」は「ヤマタノオロチ」に「八塩折ノ酒」を飲ませて戦い勝利しました。

スサノオ」が「ヤマタノオロチ」の中程の尾を切っている時に「アメノムラクモ」が出て来ました。

『日本神話タロット 極参』ワンド10「天叢雲剣(アメノムラクモ)」

オロチを切り刻むスサノオ「神代正語常盤草」

棒ノ拾(ワンド10)の意味

正位置
成功の代償、プレッシャー、重圧

逆位置
責任を押し付けられる、アテが外れる

『日本神話タロット 極参』棒ノ拾
「天叢雲剣」の解説文(写し)

宮を作り幸せな生活をしていましたが、スサノオには気になる事が一つありました。

それは自分のせいで傷つけてしまった姉のことです。

今度は正装し、高天原に向かいました。

そしてアマテラスの元へ行き、天叢雲剣を献上したことによりアマテラスと和解しました。

古事記」では「ヤマタノオロチ」と戦い終わった「スサノオ」が「草薙の太刀」を「アマテラス」に献上してから、宮殿を探す流れです。
宮殿については次回説明することにします。
参考記事

「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)について」

吉野ヶ里遺跡から出土した剣

三種の神器の一つ

天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」は
八咫の鏡(ヤタノカガミ)
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)
と共に三種の神器と呼ばれています。

八咫の鏡(ヤタノカガミ)
    、、、「知」を表す

八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)
    、、、「仁」を表す

天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)
    、、、「勇」を表す
とも言われ、遺跡から数多く出土していることから、古代では皇室特有のものではなく権力者、豪族、支配者の象徴であったと思われます。

「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」の形状

はっきりした形状はわかりませんが、吉野ヶ里遺跡から発掘された剣などから、一般的には上の写真のような形状の物と考えられています。

しかし言い伝えによると、熱田神宮に納められている「天叢雲剣」を盗み見た神官がいて
武器のような物ではなく、見たことのないような物だった
と伝えられています。

そこで考えられるのが「蛇行剣」です。

蛇行剣
蛇行剣」は古墳から僅かですが出土されており、「蛇行」という言葉も「ヤマタノオロチ」を連想させますし、見た目ものようなので「アメノムラクモ」という名前にふさわしいような気がしませんか。

確かめる術はない(天皇さえも見てはいけないそうです)ので想像するしかありませんね。

「古事記」で「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」が登場する他の場面

古事記」に登場するのは2カ所です。

①天孫降臨の場面

天孫降臨
天孫「ニニギ」が天下りをした時に、祖母「アマテラス」が三種の神器を持たせます。

その後三種の神器がどのように扱われたかの記述はありません。

②「ヤマトタケル」の東国遠征の場面

父の景行天皇に東国遠征を命じられた「ヤマトタケル」が伊勢神宮にいる叔母のところに行き、叔母から「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」を授かります。

その後、相模国の焼津で火に囲まれた時「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」で草を刈り、向火によって助かったという記述があります。

(「古事記」の「草薙」という表現はこの場面から来ています。)

しかし、それから東国を平定した後、伊吹山の戦いの際は「おごる気持ち」からか、「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」を置いて行き、瀕死の状態となってしまったとあります。

(「ヤマトタケル」については後日別記事で紹介します。)
熱田神宮(愛知県)写真提供:よしちゃん

はるさん的補足

古事記」には書かれていませんが、「尾張熱田太神宮縁起」によると「ヤマトタケル」は妻の「ミヤズヒメ」に
剣を我が床の守りとせよ」と告げて出陣したそうです。

ヤマトタケル」が亡くなると「ミヤズヒメ」は夫と「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」を祀りました。

これがのちの熱田神宮です。

その後1185年の壇ノ浦の戦いの時、安徳天皇と共にこの「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」は関門海峡に沈められ見つかりませんでした。

朝廷は伊勢神宮から剣を献上させ「天叢雲剣(アメノムラクモ)(草薙の太刀)」の形代としました。

何度か盗まれたこともありましたが都度発見され、第二次世界大戦中も守られ、現在「熱田神宮」に大切に保管されています。

熱田神宮(愛知県)写真提供:よしちゃん

古事記の他の記事

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