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高天原を追放された「スサノオ」は出雲国の鳥髪という地に降り立ちました。
『日本神話タロット 極参』棒ノ伍
スサノオが旅を続けていると、川の上流から箸が流れてきました。
上流に人がいることがわかったので、川を上っていきます。
すると美しい娘クシナダヒメと老夫婦が泣いているので話しを聞きました。
クシナダヒメは
「山のように大きく、鬼灯(ほおずき)のように真っ赤な目をしたヤマタノオロチの生贄にならなくてはいけません。」
と言いました。
スサノオはヤマタノオロチを退治することを、クシナダヒメと結婚することを条件に引き受けます。
参考記事
こうして「スサノオ」は「ヤマタノオロチ」を退治することになりました。
(つづく)
「クシナダヒメ」を「足を撫でるように」「手を撫でるように」大切に可愛がってきたと解釈されています。
その「オオヤマツミ」の息子「アシナヅチ」も立派な系譜(「イザナギ」「イザナミ」の孫)です。
しかし「スサノオ」は国津神とはいえ、三貴子の1人、身分がかなり高いのです。
ちなみに「古事記」では娘の父親が男神の身分を聞き、結婚を即許可するという場面が何度も出てきます。
「クシナダヒメ」については次回説明しましょう。
これらを考えると「ヤマタノオロチ」は出雲の斐伊川の象徴ではないかと考えられます。
斐伊川の源は「スサノオ」が降り立った鳥髪で、当時は最下流に位置するのが、神門郡(カンドノコオリ)の神門の水海であったと考えられています。
(現在は宍道湖へ流れていきます。)
神門の水海の付近に「古志郷(コシノサト)」という場所があります。
「古志郷(コシノサト)」はかつては「高志」であった可能性大ですね。
ですから「高志」の「ヤマタノオロチ」が鳥髪を訪れるということは斐伊川が下流から上流へと遡ってくるということであり、つまり川の氾濫と考えられます。
そして川には「川の神」いることが想像されます。(参照「神」の定義)
毎年訪れる川の氾濫を鎮めるために、「川の神」に生贄を捧げる風習がこの地にあったとも考えられます。
高天原に混乱をもたらせた「スサノオ」。
出雲では混沌をもたらす怪物(川の氾濫)を退治し、秩序をもたらせた英雄に成長します。
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(31) 『日本神話タロット』ワンド5「ヤマタノオロチ①」
これまでのあらすじ高天原を追放された「スサノオ」は出雲国の鳥髪という地に降り立ちました。
(31) 『日本神話タロット 極参』棒ノ伍「ヤマタノオロチ」
棒ノ伍(ワンド5)カードの意味
・正位置
競争、ライバル、対立、不和
・逆位置
悩み、不和、トラブル、協調性の必要
『日本神話タロット 極参』棒ノ伍
「ヤマタノオロチ」の解説文(写し)
スサノオが旅を続けていると、川の上流から箸が流れてきました。上流に人がいることがわかったので、川を上っていきます。
すると美しい娘クシナダヒメと老夫婦が泣いているので話しを聞きました。
クシナダヒメは
「山のように大きく、鬼灯(ほおずき)のように真っ赤な目をしたヤマタノオロチの生贄にならなくてはいけません。」
と言いました。
スサノオはヤマタノオロチを退治することを、クシナダヒメと結婚することを条件に引き受けます。
参考記事
「古事記」に記述されているこの場面
川にたまたま箸が流れてきたのを見た「スサノオ」は上流に人が住んでいるのだと思い行くと、老夫婦が娘を挟んで泣いていました。スサノオ
お前たちは誰だ
スサノオ
何で泣いているのだ。
アシナヅチ
私には8人の娘がいましたが、
高志(出雲市の地名か?)の
「ヤマタノオロチ」が毎年来て食べてしまいました。
今また、そいつが来るので泣いていたのです。
高志(出雲市の地名か?)の
「ヤマタノオロチ」が毎年来て食べてしまいました。
今また、そいつが来るので泣いていたのです。
スサノオ
そいつはどんな姿だ?
アシナヅチ
目は赤い鬼灯のようで身一つに八つの頭と八つの尾があり、
身には日陰蔓と檜、杉が生え、
長さは谷八つと山八つにわたり、
腹にはいつも血がしたたっています。
身には日陰蔓と檜、杉が生え、
長さは谷八つと山八つにわたり、
腹にはいつも血がしたたっています。
スサノオ
お前の娘を私にくれないか。
アシナヅチ
恐れ多いのですが、あなたの名を存じません。
スサノオ
私は「アマテラス大御神」の同母弟で今、天から降ってきたところです。
アシナヅチ
それは恐れ多いことです。
娘を差し上げます。
娘を差し上げます。
(つづく)
「アシナヅチ」と「テナヅチ」
「スサノオ」が出会った老夫婦「アシナヅチ」と「テナヅチ」とはどんな神なのでしょうか。この記事に出てくる神々のの系譜
「古事記」での表記
「古事記」では「足名椎」「手名椎」と表記されています。「クシナダヒメ」を「足を撫でるように」「手を撫でるように」大切に可愛がってきたと解釈されています。
「スサノオ」との結婚をすぐに許した理由
系譜を見ると「スサノオ」と「オオヤマツミ」は兄弟です。その「オオヤマツミ」の息子「アシナヅチ」も立派な系譜(「イザナギ」「イザナミ」の孫)です。
しかし「スサノオ」は国津神とはいえ、三貴子の1人、身分がかなり高いのです。
ちなみに「古事記」では娘の父親が男神の身分を聞き、結婚を即許可するという場面が何度も出てきます。
「クシナダヒメ」については次回説明しましょう。
はるさん的補足
「ヤマタノオロチ」の正体
「古事記」に記された「ヤマタノオロチ」の情報を整理すると①毎年訪れる
②腹には血がしたたっている
③「高志」の「ヤマタノオロチ」
②腹には血がしたたっている
③「高志」の「ヤマタノオロチ」
斐伊川の源は「スサノオ」が降り立った鳥髪で、当時は最下流に位置するのが、神門郡(カンドノコオリ)の神門の水海であったと考えられています。
(現在は宍道湖へ流れていきます。)
神門の水海の付近に「古志郷(コシノサト)」という場所があります。
「古志郷(コシノサト)」はかつては「高志」であった可能性大ですね。
ですから「高志」の「ヤマタノオロチ」が鳥髪を訪れるということは斐伊川が下流から上流へと遡ってくるということであり、つまり川の氾濫と考えられます。
そして川には「川の神」いることが想像されます。(参照「神」の定義)
毎年訪れる川の氾濫を鎮めるために、「川の神」に生贄を捧げる風習がこの地にあったとも考えられます。
高天原に混乱をもたらせた「スサノオ」。
出雲では混沌をもたらす怪物(川の氾濫)を退治し、秩序をもたらせた英雄に成長します。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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