『ヘリオドール』加熱処理をすると「アクアマリン」になるベリル
ヘリオドール

ヘリオドールベリルという珪酸塩鉱物の一つです。

ヘリオドールは「太陽の贈り物」と言われるように明るい色が特徴です。

💎ベリルについてはこちらをご覧ください

 

ヘリオドールについて

ヘリオドールエメラルドアクアマリンなどと同じベリルの一種です。

ベリルには多くの色がありますが、黄色や金色や黄緑色のベリルをまとめてヘリオドールと呼ぶこともあれば、黄緑色のものだけをヘリオドールという場合もあります。

ベリル・ヘリオドールの名前の由来と和名

ヘリオドールベリルという鉱物の一種です。

ベリルの名前は古代ギリシャ語で「海のような青緑色の高貴な石」を意味する「ベリロス beryllios」が語源となり命名されました。

今ではピンクのモルガナイトや赤いレッドベリルもベリルの仲間だということが分かりましが、鉱物名はベリルのままです。

ベリルの結晶が六角柱の形であることから和名は緑柱石です。

ヘリオドールはギリシャ語の太陽(helios)と贈り物(doron)を合わせて1910年に命名されました。

はる
ヘリオスギリシャ神話における太陽神で、
アポロンよりも古くから信仰されていました。

ヘリオドールと命名されたのは20世紀ですが、ヘリオドールの歴史は古く、古代ギリシャや古代エジプトではすでに珍重されていたようです。

ヘリオドール独自の和名は特になく緑柱石が用いられています。

ヘリオドールの成分

ヘリオドール

ベリルはベリリウムとアルミニウムを主成分とする珪酸塩鉱物です。

化学式は Be3Al2Si6O18

金属元素のベリリウムベリルから発見されました

少量のアルミニウムが他の原子に置き換わることがあり、置き換わった原子が何であるかによって様々な色のベリルになります。

ヘリオドールの発色原因は3価鉄イオンです。

ヘリオドールは加熱処理をするとアクアマリンに

ヘリオドールの発色原因は3価鉄イオンですが、加熱処理をすると青色のアクアマリンに変わります。

アクアマリンの発色原因は2価鉄イオンです。

アクアマリンヘリオドールは同じ鉱山で産出されます。

天然のアクアマリン加熱処理されたアクアマリンの区別はつかないそうです。

ヘリオドールの色 2つの場合があります

左からヘリオドール・イエローベリル・ゴールデンベリル

ベリルのうち、黄緑色のものだけをヘリオドールといい、イエローベリル・ゴールデンベリル区別する場合

・黄色や黄金のような色のものも含めてヘリオドールと総称する場合

があります。

ヘリオドールの硬度

モース硬度 7.5

💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度」 

ヘリオドールの光沢

ガラス光沢

💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」

大きな結晶も産出されるヘリオドール

ベリルの仲間のうち、

大きなヘリオドール

エメラルドレッドベリルは小さなものしか発見されていませんが、モルガナイトアクアマリンヘリオドールは大きな結晶が発見されています。

上の写真は上野の国立科学博物館に展示されていた225カラット(約45g)の大きなヘリオドールです。

カットを施されたヘリオドールで世界最大と言われるのはニューヨークのアメリカ自然史博物館に展示されているもので

なんと2054カラット(約410g)だそうです!

キャッツアイ(スター)効果をしめすヘリオドール

ヘリオドールの中にはキャッツアイ(スター)効果をしめす物があり、スター・ヘリオドールと呼ばれています。

通常、宝石でスター効果というのは下の写真のように宝石の表面に4本や6本の光の線が現れるものをいいますが、ヘリオドールの場合は一本のことが多いようです。

一本の線が入る宝石は通常キャッツアイと呼ばれています。

ですからヘリオドール・キャッツアイの方がイメージしやすいのですが、スター・ヘリオドールと呼ばれています。

ヘリオドールに限らずベリル管状のインクルージョンが発達しやすい特徴があり、カボションカットを施すとキャッツアイ効果をしめします。

ヘリオドールの石言葉

ヘリオドール

・希望

・喜び

・輝く日

ヘリオドール 誕生日石


ヘリオドール

7/30

💎参考記事

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

ヘリオドールの主な産地

・ブラジル🇧🇷

・ロシア🇷🇺

・マダガスカル🇲🇬

・スリランカ🇱🇰

・ウクライナ🇺🇦

・ナミビア🇳🇦

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コメント一覧
  1. 才色健躾 より:

    この度は前回お勉強しましたワード“2価鉄、3価鉄イオン”を踏まえて発色原因を学びました
    2価鉄イオンは水に溶けやすい、3価鉄は溶けにくいとの相違…
    溶解度の低い3価鉄は熱には弱いとの事。
    熱によりアルミニウムは他原子に置き換わり変色されるのですね
    その様であれば紫外線により変色される事も考えられるのでしょうか…

    • harusan0112 より:

      才色健躾さん
      ありがとうございます!
      人間も植物も鉄を吸収する時は2価鉄に変換されるようですね

      酸素が熱によってO3(オースリー)からO2(オーツー)に減ることに伴い3価鉄から2価鉄になるようです。
      ヘリオドールの紫外線によるアクアマリンへの変化(水色に変化する)という記事は見られないので、光線というより熱なのではないかと考えられます

    • 久子 より:

      一つ前のアイドクレースも、珪酸塩鉱物でしたね。珪酸塩鉱物って幅広いのかな。
      透明感があって、向日葵みたいな黄色ですから、身に付けると元気になりそうな石ですね

      • harusan0112 より:

        ありがとうございます♪
        珪酸塩鉱物は幅広いです!
        いわゆる水晶類(透明な物、アメジスト、シトリン、ローズクォーツなど)
        メノウ、ガーネット類、トルマリン、ヒスイ、タイガーアイ、、、、、は珪酸塩鉱物の宝石
        珪酸塩鉱物は地球の地殻の9割を占める鉱物です

        ヘリオドール、私も欲しいんです!夏の太陽の下でとっても元気にしてくれそうですね!

  2. さゆ より:

    ベリルは最初に命名された石が青緑色だったのでしょうね。アクアマリンの原石は黄みがかっているものがほとんどということですし、エメラルドは緑色。ヘリオドールは黄色ですから命名された石は、どれだったかしらと思います。
    和名は緑柱石と、実際の色とはちょっと違うのですね。
    黄色いヘリオドールよりも、青色のアクアマリンのほうが需要があるのですね。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪

      クレオパトラの時代、緑色の石はみんなエメラルドと呼ばれていたそうです。
      クレオパトラはエメラルドが大好きだったと伝えられますが、ほとんどはペリドットだったと聞いています。
      宝石の呼び名は世界共通でなかったと思いますが、ベリルという呼び名はアクアマリンや薄いエメラルド、グリーンエメラルドから命名されていたのかもしれませんね。
      19世紀頃までエメラルドとアクアマリンが同じ石だと思われていなかったようですし。
      ヘリオドールも美しいと思うので、熱加工してアクアマリンにするのも勿体無いように思いますが、熱加工は鮮やかな色にする時にも使われるので加工するのかしら。
      アメジストからシトリンを作ることもあるので一概に黄色が不人気というわけではないように思うのですが、アクアマリンは随分前から誕生石にも選ばれているのでヘリオドールより有名ですね。

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