ジェットは樹木が化石化したものです。
海辺に打ち上げられた物を採取し、研磨すると美しい黒の光沢を放ちます。
ビクトリア女王が夫の喪に服すために着用したことから19世紀に大流行しました。
ジェットとは
ジェットは松柏科の木が海底に沈み分解され泥化し長い年月を経て化石化した有機物です。
(ですから、鉱物ではありません)
真珠と並んで、人類が発見した最初の宝石の一つと言われています。
海辺に打ち上げられた石炭に似た流木を研磨すると黒やダークブラウンの光沢を放つため、
石器時代から魔除けとして身につけられ、
古代ローマ人にも「黒い琥珀」と呼ばれて珍重されました。
南ドイツやスイスの遺跡から「魔除け」として使われてきたジェットが発見されています。
ジェットは樹木そのものの化石
琥珀は樹木の樹脂の化石
です
木ですので、細工しやすく軽いことから広く装身具にも使われてきました。
磨かれたジェットは輝きを失うことはなく、遺跡から出土したジェットも美しさを保っています。
本来のジェットには木の木目が残っています。
ジェットの名前の由来と和名
ジェットは古代フランス語で褐炭を表す「 jyet」や「jaiet」
に由来していると言われています。
和名は黒玉(コクギョク)です。
ジェットの成分
ジェットは樹木なので有機物。
化学式は C (炭素)と不純物で C➕ と表されます。
(炭素だけだとダイヤモンドと同じですが、➕が付くので石炭と同じ成分になります。)
時々、金の粒子のような物を含むジェットを見かけますが、金ではなくパイライトだそうです。
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ジェットの硬度
モース硬度 2.5〜4
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ジェットの光沢
ガラス光沢
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ジェットの石言葉
・忘却
・魔除け
・闇の浄化
ジェット 誕生日石
8/21
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モーニングジュエリーとして愛されるジェット
モーニングジュエリー(mourning jewelers) とは
服喪中に着ける、故人を悼むためのジュエリーのことです。
故人の遺髪を編み込んだブローチや指輪もありますが、
夫を亡くしたビクトリア女王がジェットを身に着けたことからモーニングジュエリーにはジェットを使う伝統が生まれました。
それまでのジェットはロザリオなどの材料に使用されてきましたが、
1861年に夫のアルバート公を亡くされたビクトリア女王が25年間もジェットを愛用し、謁見する女性たちにもジェットを身に着けることを奨励したことから大流行しました。
ネックレス、指輪、ブローチだけでなく王冠まで作られています。
ビクトリア女王にとって、オニキスやオブシディアンよりもずっと軽いのも魅力だった事でしょう。
ビクトリアン・ジュエリー展ではイギリス王室のジェットも見ることができました。
写真を撮れなかったのが残念です。
エリザベス女王の葬儀(2022年9月19日)の際、
雅子さまはジェットのイヤリングとネックレスを着けて参列され
イギリスへの「細やかな気遣い」をなさったと、話題になりました。
ジェットの主な産地
多くの海岸でジェットの流木は見つかりますが、
ジェットを商業的に製造しているのは
・イギリス🇬🇧
・スペイン🇪🇸
です。