(11)『日本神話タロット』死神「黄泉比良坂」イザナミの優しさ
死神
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(11)『日本神話タロット』死神「黄泉比良坂」

➓までのあらすじ

イザナミ」は「カグツチ」を出産した時に火傷したせいで亡くなり「黄泉の国」に行ってしまいました。

イザナギ」は「イザナミ」を恋しく思い「黄泉の国」まで迎えに来ました。

しかし、「イザナミ」の変わり果てた姿を見てしまい、恐ろしくなった「イザナギ」は逃げ出します。

イザナギ」は追って来る黄泉醜女などをなんとか振り切り、黄泉比良坂まで逃げます。

写真は「黄泉比良坂」の近くにあり「イザナミ」を祀る「揖夜神社(イヤジンジャ)」

『日本神話タロット 極参』死神「黄泉比良坂」

「死神」のカードの意味

正位置

死と再生、破壊と創造、分岐点

逆位置
停滞、停止、無気力、怠惰

『日本神話タロット 極参』死神「黄泉比良坂」の解説文(写し)

黄泉比良坂 」は現世と黄泉をつなぐ坂道です。

イザナミは黄泉の国から逃げるイザナギを追い、黄泉比良坂まで辿り着きました。

イザナギはイザナミを現世に出してはならぬと、「千曳(チビキ)の岩」を置き、通れなくしました。

怒りが収まらないイザナミは
「あなたの国の人間を1日千人殺します。」

と言うと、(イザナギは)
「ならば千五百人生まれるようにしよう。」
と言います。

何故そこまで怒ったのかを考えると
「こちらに来てはいけない」
というイザナミの愛なのではないかとも思えます。

参考記事

「黄泉比良坂」とは

黄泉比良坂」は現世と「黄泉の国」の境にある坂です。

ただし必ずしも普通に思い浮かべるような坂ではなく、境界くらいの意味のようです。

邪気の侵入を食い止める役割を持つ場所か?

古事記」では逃げる「イザナギ」が「黄泉比良坂」のふもとに生えていた桃の実を取って迎え撃つと、追っ手が引き返していった、とあります。

そして「イザナギ」は桃の実に向かって
私を助けたように、葦原中国(アシハラノナカツクニ、地上のこと)の人々が苦しんでいる時に彼らを助けてくれ
と言ったと書かれています。

桃には古来から魔除けの呪力があるとされているので、坂に桃がなっていたということは、「黄泉比良坂」には邪気の侵入を食い止める 「塞の神」の役割を果たしているという解釈があります。

死との境の人が彷徨う場所

日本書紀」には「死(まか)るに臨みて」と言う表現があるので、「息が絶えそうになる際(きわ)を表すもの」かもしれないという解釈がされています。

世界各国の神話に出てくる生者と死者の境目で、「三途の川」などとも共通する物ということですね。

「千曳(チビキ)の岩」とは

千曳の岩」とは千人で引かなければ動かせないような重い岩石のことです。

黄泉比良坂」の入り口を塞ぐことで「イザナミ」からの追っ手が葦原中国に侵入できないようにしたとされています。

その他に「イザナミ」を弔うための墓石として「イザナギ」が置いた物という解釈もあります。

島根県松江市には実際に「黄泉比良坂」という場所があります。

そして入り口には「黄泉の国」への出口を塞いだとされる大きな岩があります。

私は去年訪れたのですが、もう暗くなっていたせいか主人も私も写真が撮れていないのです。

今回は「しまね観光ナビ」さんの写真をお借りしました。

「イザナミ」が「千人殺す」と言い「イザナギ」が「千五百人生まれるようにしよう」と言ったことが表す意味

この言葉によって「イザナミ」が「人を殺してやる!」と言っていると理解するのは間違いでしょう。

これは「黄泉の国の女王」である「イザナミ」と「生の国」の住人である「イザナギ」が和解したものと解釈すべきだと思います。

」という避けられない現実に対して、「死を超えた生」を創造することによって、この国が繁栄していくこと生きている私達が死によって支えられていることを示しているといえるでしょう。

はるさん的補足

命懸けで産んだ「カグツチ」を殺し、「姿を見ないでね」と言われていたのに見てしまった挙句、あまりの恐ろしさに逃げ出した「イザナギ」を最後は許した「イザナミ」。

日本の「生みの神」はとても愛情深い女神ですね。

冥界からの救出失敗の神話を「オルフェウス神話」と呼びますが ギリシャ神話に出てくるオルフェウス(こちらを参照ください)は妻を連れて帰れなかった絶望感でいっぱいになって悲劇的な死を迎えます。

しかし「イザナギ」は「イザナミ」との和解をすることにより、この後、日本神話で最重要な神々を産むことになります。

古事記」には出てきませんが、「イザナミ」に仲裁をアドバイスした巫女的な存在のヒメがいたようです。

そのヒメについては 次回書きますね。

古事記の他の記事

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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)

中巻(神武天皇から応神天皇)

下巻(仁徳天皇から推古天皇)

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