『黒水晶』(モリオン・カンゴーム) 魔除けに使われてきた水晶
黒水晶

茶色いクォーツをスモーキークォーツ (煙水晶)といいますが、スモーキークォーツの色が濃い物が黒水晶です。

昔からシャーマンたちによって悪霊退散や悪魔払いに使われてきました。

黒水晶のよび方は「モリオン」が一般的だと思っておりましたが、最近は「カンゴーム」という表記を見かけることが多くなりました。

この記事ではわかりやすい「黒水晶」という和名を使っていきたいと思います。

黒水晶について

黒水晶

黒水晶(モリオン・カンゴーム)の名前の由来と別名・和名

モリオンという名前は

・ギリシャ語で「チョウセンアサガオの種」を意味する「morion」

・ラテン語で「不機嫌」を表す「morrusos」

などから由来するのではないか?と言われていますが、はっきりとはわかっていません。

黒水晶には「モリオン」の他に「カンゴーム (ケアンゴーム)」という名称もあります。

カンゴームはモリオンより少し色が明るいと解釈する人もいます。

スモーキークォーツ、カンゴーム、モリオンの明確な基準はありません。

上の写真からも、同じ石でも部分によって少し色が違うことがわかりますね。

いずれも鉱物名は「石英 クォーツ」で、スモーキークォーツ、カンゴーム、モリオンは流通名になります。

宝石の国」というアニメに「カンゴーム」という子が登場するので、最近はカンゴームの方が有名かもしれません。

カンゴームの名前はスコットランドのCaitngorm山脈で採れたことに由来します。

和名は黒水晶です。

黒水晶の成分

黒水晶は水晶なので、成分は二酸化珪素。

化学式は

SiO2

と表されます。

黒水晶は水晶に微量のアルミニウムイオンが入り放射能の影響で黒くなったものです。

スモーキークォーツも同じ成分ですが、色が濃く出た物が黒水晶です。

黒水晶とスモーキークォーツの間の明確な基準はありません。

天然に黒い物は少ないので、多くの黒水晶は人工的に放射線照射をして作られているそうです。

黒水晶

上の写真のように、根元が透明に近いような物は人工照射の可能性が高いようです。

宝石の放射線照射について

宝石は

・色を美しく見せる(変える)

・外観上の欠陥を目立たなくする

ために人工的に放射線照射を行うことがあります。

放射線を照射することによって宝石結晶の原子構造を変化させ、宝石内部の光学的特性を変化させることができるからです。

黒水晶の場合はコバルト60を使用したガンマ線施設で照射が行われます。

放射線照射と聞くと「ドキ!」っとしてしまう方もいらっしゃると思いますが、日本ではジャガイモの発芽を止めるためにコバルト60が使用されています。

はる黒
東京都保健医療局のhpによると
「照射した食品を食べることによる健康への影響については、日本をはじめ各国や国際機関でも長年に渡り研究されていますが、特に悪影響は認められていません。」
とのことです。

食べても大丈夫とのことなので、宝石として持つ分には気にしなくて良さそうですね。

人工的に黒く加工された物と天然の物を見分けることはカットされてしまうと殆ど不可能のようです。

黒水晶の硬度

モース硬度 7


💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度」 

黒水晶の光沢

ガラス光沢


💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」 

黒水晶の劈開

劈開性 不明瞭 (なし)

割れにくい鉱物です。 

💎参考記事

鉱物の割れ方「劈開」

石英グループの黒い石「オニキス」との違い

黒水晶もオニキスも石英グループに属し、鉱物名はいずれも「石英」です。

鉱物学的には黒水晶は上の図の「水晶」に属し一つの結晶が成長し、構造が目に見える大きさで結晶しています。

オニキスは「カルセドニーグループ」の「アゲート(めのう)」に属します。

目に見えない小さな結晶が集まった物になります。

💎参考記事

複雑でわかりにくくて曖昧な『石英グループ』の宝石の種類と分類

オニキス

このようにビーズなどにカットされてしまうと一見すると見分けるのが難しいのですが、

蛍光灯にかざすと、

・黒水晶はうっすら光を通しますが

・オニキスは通さない

ことで見分けるそうです。

黒水晶の石言葉

黒水晶

・お守り

・平和

・変革と進化

黒水晶 誕生日石

現在の誕生日石には選ばれていません。



💎参考記事

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

黒水晶の主な産地

黒水晶の主な産地は

・チベット

・ロシア

・中国

・ブラジル

などです。

日本でも岐阜県中津川市などから見つかっています。




にほんブログ村

コメント一覧
  1. この度は前回の石英グループに関する復習ですね
    前回の解説にて今回、スラスラと理解しながら拝読いたしました
    3種の呼称は全て流通名とのこと。されど呼称により似通う宝飾に加工されても同一単価にて流通されるのでしょうか…
    確かに放射線照射は天然と相違し“色むら”はあり判別しやすいのでしょうね
    ここで一つ疑問を…カットされてしまうことにて判別しにくくなるというのは何か大きな要因もありますのでしょうか…
    外観は色づきやすく内部までの浸透は困難なのでしょうか
    日本に於いて中津川も産出地…私の知り得ます限り当地は岩山は多く土も赤土です
    他国の産出地も同じような土壌なのかも知れませんね。

    • ありがとうございます♪
      黒水晶は独特の力強さを感じますね。
      黒水晶、カンゴーム、モリオンは宝石としては高いものではありませんので、宝飾に加工された物も雑貨屋さんで売られるような手頃な物が多いと思います。
      (廉価だと思っていたパープルカルセドニーやマラカイトがハイジュエリーで使われるようになっているので今後は分かりませんが)
      見た目がそっくりなオニキスの方が高価ですから、黒水晶をオニキスと言って加工してしまっていればわからないかもしれません。
      黒水晶に限らず、アメジストやピンククオーツも内部や根元の色が薄いことは、よくあります。
      黒水晶などが作られている途中で人間が取り出しているのが原因だと思います。
      それを時短で行うのが放射線照射など、トリートメントです。

      黒水晶に入った元素はアルミニウムイオンですが、地殻中に酸素、ケイ素に次いで多い元素です。
      (アルミニウムイオンは植物に悪いようですね。)
      だから日本の土にも沢山のアルミニウムイオンが含まれているはずですが、水晶に入り込んで
      スモーキークォーツや黒水晶ができる場所となると、今のところ限られています。
      赤土の原因は主に鉄イオン(というか酸化鉄)によるものだそうです。

  2. 放射線照射食品については日本は海外よりも厳格な基準を設けているのですね。
    カットされると天然か人工的か区別がつかない黒水晶ですが、原石のお値段は希少な天然物がずっと高いのでしょうね。
    石言葉は邪気払いのお守り、平和への願いや祈り、スモーキークォーツが進化したので進化と、わかる気がします。

    • ありがとうございます♪
      ジャガイモに放射線照射をしていると書くとショックを受ける方がいらっしゃるかと思い、東京都のページを載せましたが、本当に必要なんでしょうかね?
      普通に生活をしていても、ある程度の放射能を浴びているのですが、ジャガイモに照射する技師さんの健康も心配ですね。
      放射線科で働く方々と同様のケアなのでしょうか?
      疑問が残ります。

      黒水晶はそれほど高価な宝石ではないので、「天然」と書かれていてもそれほど高くありません。
      大きなクラスターとなると数万円程度すると思います。
      石屋さんも仕入れ先から天然だと言われれば天然と信じて売っているのでしょうから、真偽のほどは判別不可能ですね。
      もし私が何も知らなくて黒水晶を見たとしても、魔除けのお守りにしてしまうだろうなと思う力強さを感じます。

  3. 黒水晶もオニキスも魔除けの黒で、お守りになりそうな力強さを感じます。とは言え、天然物で黒いのは少ないので多くは人工的に放射線照射をしている、それがジャガイモの発芽を止めるコバルト60とは…知らない事ばかりで驚いています 長く放ったらかしにしてるジャガイモが発芽しなかったら逆にどれだけの放射線を当てているのか?やはり少し怖い気がします。黒水晶の黒色は美しく見えるのでしょうけどね。

    • ありがとうございます♪
      黒水晶をより黒くするためにスモーキークォーツに照射するのは人間が「本来黒くなる物を早く採ってしまったから」という理由ですが、コバルト60ができることの幅の広さに驚きます。
      大気中にも漂っているものですが、食べ物に放射線照射か、、、と改めて思うと別の方法はないか考えてみることが必要かもしれませないと思ってしまいます。

コメントを残す

クリスタルの関連記事
おすすめの記事