とんぼ玉

とんぼ玉模様のついたガラス玉

穴のあいた物のことです。

とんぼ玉について

とんぼ玉の名前の由来と英名

とんぼ玉は模様の入ったガラス玉です。

模様のついたガラス玉をとんぼの複眼に見立てて江戸時代中期ごろから「とんぼ玉」と呼ぶようになりました。

カラフルな「とんぼ玉」が作られるようになる前は「玻璃珠(ハリス)」「琉璃珠(ルリダマ)」などと呼ばれていました。

英名は

Japanese Lamp Beads (日本の灯り玉?)

Glass Beads (ガラスの玉)

Dragonfly Ball (とんぼ玉)

などです。

はる
玻璃
水晶のことも指しますが、ガラスの古名でもあります。

琉璃
ラピスラズリなどの青い宝石を指しますが、ガラスの古名です。

とんぼ玉の成分

とんぼ玉はガラスに模様を着色した物です。

通常のガラスはザックリ言うと珪石珪砂(ケイシャ)をソーダ灰(炭酸ナトリウム)や石灰とともに高温で溶かしてドロドロの液体にした物を固めて作られます。

珪石、珪砂ともに成分は二酸化珪素なので化学式は

SiO2

になります。

化学式はクォーツ等と同じですが、

黒曜石(オブディシアン)モルダバイトのような天然のガラス以外のガラスは

人工的に作られた物です。

はる
とんぼ玉作り体験教室」などがたくさんあるようです。
また、自宅でできる「とんぼ玉作りキット」もあるようなのでやってみたいです!

とんぼ玉の硬度

ガラスのモース硬度は5です

💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度」

とんぼ玉の光沢

ガラス光沢

💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」

とんぼ玉(ガラス玉)の歴史

5世紀のガラス玉

とんぼ玉(ガラス玉) の歴史は古く、世界では今から3500年前のメソポタミアやエジプトで装飾品として作られていました。

日本でも5世紀の古墳時代の副葬品として複数の古墳から出土しています。

この写真は上野の博物館所蔵のガラス玉ですが、エジプトで作られた物だと思われています。

はる
神功皇后新羅親征の帰りに高麗から技術者を連れて来て、和泉国でガラスを作り始めたと言われています。

日本でガラス玉が作られるようになったのは奈良時代からです。

ガラス玉は仏像などの仏教美術に欠かせない物となりました。

「とんぼ玉」のような技巧を凝らしたガラス玉が作られるようになったのは江戸時代になってからです。

その行程は金太郎飴のような色ガラスの棒作りから始まり

ガラスを束ね溶かしたり、ガラスの上から別の色ガラスをかぶせたり、その他いろいろな行程を経て作ります。

この硝子棒を適当な大きさに切って「とんぼ玉」が完成します。

江戸時代中頃にはかんざしや玉すだれなどに用いられ、人気を博しました。

しかし江戸時代に度々「奢侈禁止令」が出され「とんぼ玉」の製法は途絶えたと言われています。

戦後になって江戸時代や海外の「とんぼ玉」を参考に復元されています。

自宅でも作れます


とんぼ玉の石言葉

多種多様

とんぼ玉 誕生日石

とんぼ玉

8/30 の誕生日石です

💎参考記事 

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

はるさん的補足 日本(本州)の国名だった「とんぼ」

「とんぼ玉」の歴史のところで神功皇后が出てきたので「古事記」に出てくるとんぼについて補足します。

雄略天皇が狩りをしていた時、アブが雄略天皇の腕を噛みました。

そこにとんぼ(アキズと呼ばれていました)が来て、アブを咥えて飛び去っていきました。

それを見て神が雄略天皇の口を借りて

「とんぼのような虫でさえ雄略天皇を讃えている。大和国を蜻蛉島(アキズシマ)と名付けよう。」

とおっしゃいました。

💎参考記事

(163)『古事記』吉野川の浜 阿岐豆野の御狩り 歌が多い理由

日本書紀」では初代天皇の神武天皇が「蜻蛉島」と命名したことになっています。

 

とんぼは稲が実る豊かな国土の象徴でした。

神武天皇

勝ち戦の象徴「とんぼ」

また、前田利家公など戦国時代の武将たちにとっては後ろに飛ぶことができないとんぼ勝ち戦の証でした。

空中で虫を素早く捕獲して食べることから「勇敢で攻撃力がある」とされ、武具や刀装にとんぼの柄が描かれた物もあります。

このようにとんぼは古来から縁起がいい虫として親しまれていたので「とんぼ玉」も愛されているのかもしれませんね。

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コメント一覧
  1. ガラスに模様を着色するという事で、工芸品みたいに楽しめますね。「蜻蛉島」はトンボを意味するアキズの島だったんですね!江戸時代の風流が感じられる日本にゆかりのある品ですね。石言葉は「多種多様」で、夏休みの終わり8/30 の誕生日石なのも頷けます。

    • ありがとうございます♪
      まさに多種多様に模様を描いて楽しめるのが魅力ですね。
      神武天皇または雄略天皇がアキズシマと命名した割に浸透した形跡が無いような気がするのですがどうなんでしょう。
      今年もとんぼが飛ぶ季節になってきました。
      贅沢禁止令がない現代に生まれたことに感謝して季節感を楽しみたいですね。

  2. トンボ玉(^_^)つまり多くはガラス玉なんですね。
    結構、というかかなり昔から作られていたんだなと。
    瑠璃は昔はガラスを指していたんだ、とかトンボが縁起の良い虫なのだということとか、本当に勉強になります。
    また水晶といいガラスといい、天然ものと人工もので価値が全く違うわけですね。
    ガラスは昔実験で溶かして形を整えたりしたことがありましたが、比較的低い温度でぐにゃぐにゃになって、なんだか面白かった思い出があります。

    • ありがとうございます
      今は模様があってありがとう穴のあいているガラス玉のことをとんぼ玉といいます。
      琉璃も青いラピスラズリやソーダライトのこともガラスのことも指したようです。
      今も窓などにつかわれるソーダガラスって側面は青緑色ですよね。
      ちなみにバカラやスワロのような綺麗なガラスの多くは鉛が入っている鉛ガラス。
      綺麗ですが丈夫さが劣るようです。
      石英の粒子で作る石英ガラスもありますね。
      レンズなどに使われています。
      とても透明で美しいですが割れやすいです。

  3. この度のトンボ玉のご紹介は夏らしい趣きにて女子児童の工作宿題におススメですね
    私も童子の頃にトンボ玉の簪を作りました…
    戦後に復元!も驚きます…さらに江戸時代、海外へ流出されましたトンボ玉を参考にとは全く途絶えていたこと分かりますね
    モース硬度は5これはガラスは全てこの値なのでしょうか?
    そしてふと気付きましたことは硬度と耐熱は比例しますのでしょうか…
    この度もSio2。二酸化珪素は真に多いですね。

    • ありがとうございます♪
      さすが才色健躾さん、とんぼ玉の簪は美しかったでしょうね。
      息子も「夏休みの科学教室」に参加したことがあります。
      私もやってみたくて友達と教室に一度参加することを企画してます。笑
      ガラスは基本的にモース硬度5のようです。
      ご質問の硬度と耐熱ですが、比例はしないようです。
      融点を調べてみたところ、あくまでインクルージョンのない場合ですが
      例を挙げると
      モース硬度の低い真珠が825℃
      硬度7の石英が577℃
      同じ硬度7でもアクアマリンは1410℃
      硬度10のダイヤモンドが800℃
      になっていました。
      二酸化珪素は地殻の75%を占めています
      宝石も多いですね!

  4. いつもながらトンボ玉からさらりと日本書紀まで繋がり本当に感心します。ガラスって2000年くらい経っていたとは思えないくらい普通に残っていて驚きます。

    • ありがとうございます♪
      完全に自分の趣味で話してますね。笑
      お付き合いくださってありがとうございます。
      ガラスは褪色もしませんし、成分を閉じ込めることもできますね。
      放射性物質のガラス固化体の技術も進むといいですね!

  5. とんぼ玉は、穴のあいたガラスなのですね。
    きれいなとんぼ玉もありますが、体験教室で、ガラスについて学びながら、自分でとんぼ玉を作るのもいいですね。
    雄略天皇又は神武天皇がとんぼを国名にしたということですが、とんぼは全国にいるし、動きが素早くて、姿がピンとしていて勇敢そうで、こんな面からも、国名にふさわしいと思います。

    • ありがとうございます♪
      体験教室に一度行ってみたいですね!
      検索したらいくつかありました。
      神武天皇も雄略天皇も古代における大王の割にアキズシマという名前は普及してないように思います。
      とんぼの姿、確かにピンとしていますね。
      今も剣道の道具などにとんぼのマークが使われているようです。

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