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真珠の分類① 養殖と天然
流通している殆どの真珠は養殖
天然の真珠は「1万個のアコヤガイを探して1粒採れるかどうか」と言われています。
養殖真珠は「いわゆる偽物ではない」と認定されているので、天然真珠の価値は暴落し、
現在流通している殆どの真珠は養殖真珠です。
養殖技術は日本で発明されましたが、現在ではタヒチやインドネシアで盛んに行われています。
ただし
・世界的に真珠の需要が減っていること
・アコヤガイの病気
・真珠摘出後の貝殻の廃棄問題
などの理由から日本の真珠生産量は低下し、真珠取引の中心市場は香港に移りつつあります。
養殖できない真珠
真珠の分類①のすぐ下の写真左側は二枚貝 (貝が閉じるタイプ)です。
けれどもメロパールやコンクパール(写真右)は巻貝で生成されます。
二枚貝には「核」を入れて養殖をすることができますが
巻貝には挿入できないので、メロパールとコンクパールは養殖ができません。
メロパールはハルカゼヤシ貝から採れる優しいオレンジ色が特徴で火炎模様が見られるものもあります。
南シナ海で生息しますが希少です。
コンクパールはピンク貝(またはコンク貝)から採れる薄いピンクから赤っぽい色の真珠です。
バミューダ諸島、西インド諸島などで生息しますが、貝そのものの数も少ないので希少です。
火焔模様が出る物があります。
真珠の分類② 海水真珠と淡水真珠
養殖真珠は大きく二つに分類されます。
海で養殖される海水真珠と湖で養殖される淡水真珠です。
世界的な生産量は淡水真珠が海水真珠の20倍くらいになっています。
海水真珠と淡水真珠の主な違いを見てみましょう。
飼育環境
①海水真珠
波があり安定しない海の中で育てられます。
季節や天候によって養殖中の貝を移動させたり、海藻などをとったりして育てます。
②淡水真珠
穏やかな湖で育てられます。
季節による貝の移動などは基本的にはなく手間があまりかからないで作ることができます。
母貝のサイズのちがい
①海水真珠
海水真珠はアコヤガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、マベなどから作られます。
写真だと分かりにくいのですが、貝の大きさが長いところで15センチほどで小さいのです。
ですから1つの貝に
「核」とよばれる貝殻でできた球体と
「ピース」とよばれる外殻幕の破片を丁寧に1つずつ挿入し
真珠が1粒できます。
「核」はアメリカのミシシッピー川に生息している、二枚貝の貝がらを原料に真円に形を整え作られます。
②淡水真珠
日本のイケチョウガイや中国のヒレイケチョウガイは横幅が4、50センチほどもあります。
淡水真珠は「核」を入れず「ピース」だけを挿入して作ることが多く、その場合1つの真珠貝から30〜50個ほどの真珠が採れます。
「核」を入れないので大きさや形はバラツキがあります。
しかし、1990年代に入り中国では
「核」を入れて真円真珠も作られるようになり、14ミリの大玉もできるようになりました。
養殖地のちがい
①海水真珠
アコヤガイ 日本が90% 、中国など
白蝶貝・黒蝶貝 タヒチ・オーストラリアなど
白蝶貝・黒蝶貝から採れる真珠を南洋パールとよびます。
日本人が発明した養殖技術を使ってます。
②淡水真珠
中国が90%以上 (ヒレイケチョウガイ)
日本は琵琶湖や霞ヶ浦で (イケチョウガイ) 養殖をしています。
その他フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、インドでも養殖が行われています。
テリ
①海水真珠
物によって大きく違いますが、品のいい硬質なテリ(ツヤ)がある物が好まれます。
②淡水真珠
良質なものはミラー調になります。
テリは海水真珠には劣るものが多いようです。
強度のちがい
①海水真珠
経年変化しやすい
②淡水真珠
割れにくい
核がない物は経年劣化しにくい
大きさ
①海水真珠
・アコヤガイ 6〜9ミリ 10ミリ以上は珍しい
・南洋パール 9〜15ミリ
②淡水真珠
2ミリ〜20ミリ
色
①海水真珠
・アコヤガイ
白・クリーム・イエロー・ピンク
・南洋パール
白・ゴールド・黒真珠の種類
②淡水真珠
白・ピンク・イエロー・オレンジ・パープルなど
海水よりも淡水真珠の方が色のバリエーションが多いのはイケチョウガイ・ヒレイケチョウガイの個体差、水温、水質などの条件によるためと言われています。
殆どの白い淡水真珠は漂白されているそうです。
色鮮やかなオレンジ色やパープルの物は真珠そのものに染色を施している物、遺伝子操作をして作る色鮮やかなドブガイパールなどもあります。
養殖にかかる期間 (8ミリ位の真珠ができるまで)
①海水真珠
「核」入れから取り出すまで1〜3年
長い期間養殖をしていると真珠層が厚くなり耐久性が増します。
しかし、ムラが出やすく、真円でなくなってしまったり途中で貝が病気になって真珠が使い物にならなくなるリスクもあります。
②淡水真珠
7〜8年
殆どの淡水真珠は「核」がないため、大きくなるために長い期間が必要です。
形
①海水真珠
真円の「核」を入れるため真円の物が多いです。
(ハート型の「核」を入れて養殖したハート型アコヤガイ真珠などもあります。)
②淡水真珠
「核」を入れない物はドロップ型、ライス型、バロック型、ケシパールが自然にできます。
また、ファンシーパールといって、ハート型やクロス型や星型、雪だるま型の「核」を入れて作る場合もあります。
お値段
真珠の価格は母貝の種類、カラー、テリ、巻き、大きさ、形、エクボ(くぼみ)で決まります。
海水真珠のゴールデンパールやアコヤガイのピンクがかった真珠が高く、
淡水真珠は希少性が低いのでお安いものが多くなっています。
淡水真珠の需要が増えるのは理解できます。
アコヤガイの真珠が好きだけれど日常には淡水が使いやすいかもしれませんね。