![(104)『古事記』垂仁天皇③言葉を発しないホムチワケ 白鳥とは](https://i0.wp.com/harusantarott.com/wp-content/uploads/2022/07/72B2C34C-A9CA-4152-8A11-5A2C7C971B49-edited.jpeg?fit=1000%2C562&ssl=1)
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これまでのあらすじ
垂仁天皇の愛后「サホビメ(沙本毗売)」の兄
「サホビコ(沙本毗古)」は謀反を計画します。
「サホビメ」から計画を聞いた垂仁天皇は軍を率いて
「サホビコ」を征伐に行きます。
妊娠していた「サホビメ」は「サホビコ」の砦に入り、
「ホムチワケ」を出産し「サホビコ」と共に炎の中で亡くなりました。
「古事記」における「ホムチワケ」
「サホビメ」が遺した「ホムチワケ」を垂仁天皇は愛情をかけ、一生懸命に育てます。
珍しい小舟を地方から取り寄せ、池に浮かべて一緒に乗り、遊んだりもしました。
舟遊びをさせたのは、舟を揺らして御子の魂を揺さぶり、活力を奮い起こすためだと言われています。
ところが「ホムチワケ」は髭が胸元に届くようになっても、話すことができませんでした。
母親「サボヒメ」が垂仁天皇を裏切った罪が息子に及んだのではないかと噂をされていたようです。
しかし、空高く飛び行く白鳥の声を聞いて初めて、何かを言いたそうにしました。
そこで垂仁天皇は「ヤマベノオオタカ(山辺大鶙)」という人物に、
その白鳥を獲りに行くよう命じました。
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「ヤマベノオオタカ(山辺大鶙)」は白鳥を追いかけて紀伊国から播磨国に行き、
また因幡国に超えて行き、丹波国、但馬国に行き東の方に追い回り、
近江国に追っていきました。
そこから美濃国に渡り尾張国を通過して信濃国に越えて行きついに越国まで追って行き、
和那美(ワナミ)の港で罠網(ワナアミ)を張り、白鳥を捕獲して都に行って献上しました。
そこで、その港を和那美の港というのです。
和那美が何処だかは、わかっていません。
垂仁天皇は「ホムチワケ」がその白鳥を見たら、何か言うのではないかとお思いになりましたが御子が何かを言うことはありませんでした。
「ホムチワケ」のお話しは次回に続きます。
はるさん的補足 白鳥が表すもの
「古事記」「日本書紀」「万葉集」には白鳥がたびたび登場します。
しかし、それはいわゆる白鳥=スワンではなく、白い鳥全般を指すようです。
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鳥信仰
銅鐸や土器に鳥の絵がたくさん描かれていることや、古墳から鳥の埴輪が出土されていることから
弥生時代に「鳥信仰」は全国に広がったのではないかと言われています。
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鳥は田畑を荒らす害虫から穀物を守る穀神であったり、
魂を海の彼方や、遠い空の向こうまで運んでくれる存在だとされていたようです。
白という色
古代、白は特別な色とされてきました。
「古事記」には鳥だけでなく、白鹿・白猪・白犬・白い石が登場します。
これらの物は天皇に献上または貢ぐような、貴重で神聖な存在とされてきました。
白鳥が表すもの
以上を踏まえると「古事記」において白鳥は
身分の高い人物の御霊が宿る存在だと考えられていたと思われます。
この場面、垂仁天皇がその白鳥は(「ホムチワケ」の母)「サホビメ」の御霊を宿す存在だと信じていたので、
長い行程を追いかけさせたのだろうと推測されます。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)