前のページ(27)「アマテラスの岩戸隠れ」
次のページ(29)「古事記」の五穀誕生神話・神の定義
(28)『日本神話タロット』ワンド4 「太陽の帰還」
これまでのあらすじ「スサノオ」の度重なる蛮行に怒り岩屋にこもってしまった「アマテラス」を
「オモイカネ」「アメノウズメ」「アメノコヤネ」「タヂカラオ」などの活躍により引っ張り出すことに成功しました。
参考:天岩戸神話
『日本神話タロット 極参』
棒ノ肆「太陽の帰還」
『日本神話タロット 極参』棒ノ肆「太陽の帰還」 カードの意味
・正位置
安堵、安心、繁栄、歓喜、祝祭、パートナーを得る
・逆位置
不安定、落ち着かない、不十分な幸福
『日本神話タロット 極参』棒ノ肆「太陽の帰還」の解説文(写し)
アメノウズメが「あなたより美しく立派な神が現れたのでみんなでお祝いをしているのです。
ご覧になられますか?」
とアマテラスの前に八咫(ヤタ)の鏡を差し出し、
それを覗こうと大岩を少し開けたところを、タヂカラオが力一杯動かしアマテラスを表に出させます。
これにより世界には太陽が戻り、全てのものが太陽の帰還を祝福します。
参考記事
名実ともに最高神となった「アマテラス」
岩屋にこもる前の「アマテラス」は「イザナギ」に高天原を治めるように言われてはいたものの乱暴な「スサノオ」を諌めることもできず、他の神々も「アマテラス」を助けませんでした。しかし岩屋こもりによって、神々は「アマテラス」の重要性に気づき最高神であることを認めるようなります。
こうして高天原も葦原中国も日に照らされて明るくなったのです。
はるさん的補足
「古事記」における「神」の称号
今回で「天岩戸神話」は最終回となります。「アマテラス」が最高神であるという説明をしてきたので「古事記」における神さまの称号を紹介します。
「古事記」における神さまの表記
「古事記」の主要な神々の称号は以下の4つです。①大御神
大御神(オオミカミ)は最高神に与えられる称号です。
「イザナギ」の左目から誕生した瞬間から「アマテラス」には大御神という称号がついています。
②大神
大神(オオノカミ)は「黄泉の国」の「ヨモツオオカミ」「チシキノオオカミ」など、「黄泉の国」関連で多くみられる表記です。
③命
命(ミコト)は「スサノオ」「ニニギ」「イザナミ」「ヤマトタケル」「アメノウズメ」「オモイカネ」などについている称号です。
神からの命令は命をかけて果たすべきものであるという考え方から「○○命(○○のミコト)」という称号が生まれたと思われます。
(「アメノウズメ」「オモイカネ」などとともに「天岩戸」で活躍した「タヂカラオ」には神の称号がついています。)
④神
神は「古事記」に登場する殆どの神の称号です。
けれどもその他大勢というわけではありません。
最初に誕生した「アメノミナカヌシ」や2番目に誕生して「アマテラス」と共に高天原の権力者となった 「タカミムスビ」も神という称号で表記されています。
したがって、この称号が八百万の神の中で上か下かを示すものではないことがわかります。
称号が変化する「イザナギ」
一方、称号が次々と変わる神もいます。「イザナギ」です。
①誕生した時
「イザナギ」がこの世に生まれた時は「伊耶那岐神(イザナギノカミ)」でした。
②「国生み」を命じられた時
「イザナギ」は「イザナミ」と共に天津神たちから「国生み」を命じられます。
国生みをする「イザナギ」の表記は「伊耶那岐命(イザナギノミコト)」になります。
③「黄泉の国」から戻り禊を行う時
「イザナギ」は亡くなった「イザナミ」を迎えに「黄泉の国」に行きますが失敗し、穢れを落とすために禊を行います。
禊で洗い流す前の表記は「伊耶那伎大神(イザナギオオカミ)」です。
(伎の字が変わっている理由は不明です。)
④「禊」の最後に「三貴子」を生んだ時
「イザナギ」は禊の最中にたくさんの神を生みます。
その最後に「アマテラス」「ツクヨミ」「スサノオ」という三貴子が生まれます。
その時の「イザナギ」は「伊耶那岐大御神(イザナギノオオミカミ)」になっています。
まとめ
神さまの表記を見ると「アマテラス」と「イザナギ」の位が上に見えますね。そして「黄泉の国」関連は大神。
ですが「神」「命」に関してはそれ程厳密に区別したわけでは無さそうですね。
日本には多くの神さまがいますが、厳密な階級世界ではないようです。
次回は「悪い神」について書こうと思います。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
前のページ(27)「アマテラスの岩戸隠れ」次のページ(29)「古事記」の五穀誕生神話・神の定義