(25)『日本神話タロット』力(タヂカラオ)「豪腕」・戸隠神社
力「剛腕」タヂカラオ

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(25)『日本神話タロット』力(タヂカラオ)「豪腕」

これまでのあらすじ

ウケイ」によって高天原に残ることを許された「スサノオ」は、調子に乗って乱暴な振る舞いをしました。

アマテラス」は怒って天岩戸に閉じこもってしまいます。

すると高天原も地上も真っ暗になってしまい、災いも起きるようになりました。

そこで「アマテラス」を引っ張り出す大作戦「天岩屋祭り」が計画されます。

その時、「オモイカネ」が立てた計画でその豪腕を買われ「アマテラス」を思いっきり引っ張り出す役目を仰せつかったのが「タヂカラオ」です。

「天岩戸神話」はこちらをご覧ください

『日本神話タロット 極参』力(タヂカラオ)「豪腕」

伊藤龍涯 画 左上で岩戸を開けようとしているのが「タヂカラオ」

『日本神話タロット 極参』
力 カードの意味

正位置
力、理性、強固な意志、不屈、勇気、寛大、潜在意識

逆位置
自信喪失、人任せ、臆病、力の乱用

『日本神話タロット極参』力「豪腕」の解説文(写し)

天岩戸で大岩を退けた後、タヂカラオはその大岩を力一杯投げ飛ばしました。

その岩は高千穂から信濃国の戸隠山まで飛んだとされています。

タヂカラオは自身の力を戦うことには使いません。

彼が力を使う時は人のためになる時だけです。

天孫降臨の時には、オモイカネ、アメノウズメと共に地上に降りニニギの手助けをしました。

参考記事

「タヂカラオ」とは

タヂカラオ」はどんな神だったのでしょうか

天岩戸神社のタヂカラオ像 (宮崎県)

名前から考えてみましょう

古事記」での漢字表記

天手力男神

分解すると
アメ、、、、、天(高天原)
タヂカラ、、、手力
、、、、、、男神

つまり「高天原にいる、手に力を持った男神」という意味です。

「タヂカラオ」が登場する場面

古事記」では「タヂカラオ」が登場するのは2カ所です。

①天岩戸で「アマテラス」を引きずりだす

アマテラス」が岩戸に隠れた時は岩戸の脇に隠れていて、「アマテラス」が岩戸から顔を覗かせた時に豪腕で引きずり出しました。

②「天孫降臨」の際「ニニギ」に随伴

ニニギ」が高千穂の地に降臨した際、三種の神器に「オモイカネ」「タヂカラオ」を副えたと書かれています。

つまり三種の神器を持って「ニニギ」の随伴者として降臨したということです。

そしてその後「佐那那県(サナナガタ)に坐す」とあります。

(このことから、三重県の佐那付近に葬られたとも考えられますが詳細は不明です。)

神としての「タヂカラオ」

力持ちの神様なので、力、筋肉、スポーツの神とされています。

山岳信仰とも関係する「タヂカラオ」

地上に降り立ったアマノタヂカラオ 出典「古事記と日本の神々」吉田敦彦監修p,35

長野県「戸隠神社」

長野県にある戸隠神社は「タヂカラオ」を主祭神として祀っています。

古事記」では「タヂカラオ」は三重県に行ったとありますが、戸隠の伝承によると天岩戸を投げ飛ばして落としたのが長野県の戸隠山だったというのです。

そのため「天孫降臨」で「ニニギ」に随伴し地上に降り立った際、戸隠を自らの鎮座地と決め鎮座したと伝えられています。

なぜ戸隠か

なぜ戸隠でそのような伝承が生まれたのでしょうか。

戸隠山は古来、山岳信仰が盛んな地でした。

古代の人々は、山を神霊の宿る場所、この世とは異なる世界と考えてきました。

そして山自体を御神体として山麓に奉拝所を設け、崇めていました。

戸隠神社(長野県)

富山県の立山

立山

立山も昔から神が住む山と信じられてきた山です。

戸隠同様に山岳信仰が盛んな場所で、中世以降の修験の道場だったとされています。

立山でも「タヂカラオ」が信仰されています。

このようなことから「タヂカラオ」が山岳信仰と深く関係していたことがわかります。

おそらく古来から山岳信仰があり、その後「タヂカラオ」を神として
祀ったと考えるのが自然でしょう。

タヂカラオ」の投げた大きな岩が俗世と神霊が宿る山との境目を作ったと考え、山岳信仰の神となったのではないでしょうか。

はるさん的補足

天岩戸神社」がある宮崎県高千穂町には「高千穂神楽」という物があります。

天岩戸神社(宮崎県)

アメノウズメ」の舞が由来とされ国の重要無形文化財となっています。

高千穂神楽」は33番まであり、夜を徹して行われます。

高千穂神社では毎晩、その中から観光用に4つの神楽を公開しています。

その中の一つが「天手力男神(アメノタヂカラオ)の舞」です。

タヂカラオ」が八百万の神の中でも特に人気がある神であることがわかりますね。

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