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『日本神話タロット 極参』鏡ノ壱(カップのエース)
「カミムスビ」を簡単に説明すると ・日本に天と地の区別がつき始めた時、泥沼のような国土に3番目に現れた神。・「造化三神(ゾウカノサンシン)、別天津神(コトアマツカミ)」の1柱(右又は上の図参照)
・「ムスビ」は生産、生成を表す。
・性別のない「独り神」とされるが、「オオクニヌシ」が兄たちに殺された時、「カミムスビ」の乳汁を塗って治したという記述があることから、女神とされることが多い。
・食物の神から生じた五穀を撒き、地を豊かにした農耕神として祀られている。
・「一寸法師」のモデルではないかとされる「スクナビコナ」のお母さん。
・「古事記」にはそれほど登場しないが、地位の高い神だったと思われる。
参考記事
鏡ノ壱(カップのエース)の意味
・正位置愛、理解、喜び、ひらめき、至福、結婚
・逆位置
偽り、不誠実、報われない恋、不毛
『日本神話タロット 極参』鏡ノ壱(カップのエース)「創造神 カミムスビ」の解説文(写し)
「タカミムスビ」と対になる男女の「ムスビ」を神格化した神。「カミムスビ」は性別のない独神であるが、「勾玉ノ伍」の話の記述によれば女神ともされています。
鏡は感情を映すもので、このカードは鏡に溜めた水が溢れだしているため、心の外へ流れ出る感情を表しています。
「古事記」に「カミムスビ」が登場する場面
4箇所あります。本人は1回ですが、子供たちを遣わせ「オオクニヌシ」を助ける活躍をします。
①「スサノオ」が「オホケツヒメノカミ」を殺した場面
高天原から追われた「スサノオ」は穀物の神である「オホケツヒメノカミ」に食べ物をねだります。すると「オホケツヒメノカミ」は鼻や口や尻から食べ物を出して料理し、振るまいました。
「スサノオ」はその様子を見て「汚い!」と怒り「オホケツヒメノカミ」を殺してしまいます。
すると「オホケツヒメノカミ」の身体から、麦やあずきなど五穀が出てきました。
それらを集めて種としたのが「カミムスビ」です。
参考記事
②「キサガイヒメ」と「ウムギヒメ」
「オオクニヌシ」は兄たちである八十神に命を狙われ、焼き石をぶつけられて、亡くなってしまいます。その時に高天原にいる「カミムスビ」が「キサガイヒメ」と「ウムギヒメ」を地上に遣わせて傷の手当てをさせ、「オオクニヌシ」を蘇らせました。
「キサガイヒメ」と「ウムギヒメ」は「カミムスビ」の娘たちです。
「キサガイヒメ」は赤貝の化身、「ウムギヒメ」は蛤(ハマグリ)の化身とする神として登場します。
その時に「ウムギヒメ」が塗ったのが「カミムスビ」の乳汁と言われています。
③「スクナビコナ」
「スクナビコナ」は「カミムスビ」の息子で「一寸法師」のモデルではないかと言われる身体の小さな神様です。
国造りをしている「オオクニヌシ」と出雲で出会い、「オオクニヌシ」に知恵を授けながら一緒に国造りをします。
「古事記」にはあまり詳しい記述はありませんが、医学や稲作を教えたのではないかと考えられています。
④「オオクニヌシ」が望んだ神殿
「オオクニヌシ」が国造りを成功すると、「アマテラスオオミカミ」は国を譲るよう迫ります。こちらをご覧ください。
「オオクニヌシ」は葦原中国を譲る際に「アマテラスオオミカミ」の使者に「「国譲りをしますが、代わりにカミムスビ様の御殿のような神殿を建ててください。」と答えます。
こうしてできたのが出雲大社だと言われています。
出雲大社は今の形状と違い、高さ90メートル超の巨大な神殿だったと言われています。
巨大な柱が出雲大社の地下から発掘されたことで、そのような説が生まれました。
出雲大社のそばにある「島根県立古代出雲歴史博物館」には当時の本殿の模型が展示されています。
さいごに
「カミムスビ」は慈悲深い神です。「オホケツヒメ」を殺した「スサノオ」を罰することもなく、「オオクニヌシ」のことは蘇らせ、国造りを支えました。
国譲りをさせられた 「オオクニヌシ」が望んだのは「カミムスビ」の御殿のような神殿でした。
子供たちを遣わせて、自分のピンチを救ってくれた「カミムスビ」に憧れていたのかもしれません。
「カミムスビ」は「古事記」にはそれほど登場しませんが、かなりの地位のある神だったのでしょう。
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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