

目次
『日本神話タロット 極参』 鏡ノ拾 (カップの10)
「ワタツミの宮」
「ホデリ」(海幸彦)に釣り針を探すように言われ、海岸で泣いていた「ホオリ」(山幸彦)は「シオツチノカミ」の助言にしたがって竹籠に乗り、「ワタツミの宮」に着きます
そこで、「ワタツミノカミ」の娘「トヨタマビメ」と結婚し楽しく3年間過ごします
参考記事
この記事に出てくる神々の系譜

鏡ノ拾 (カップの10)の意味
・正位置幸福な暮らし、平和、家庭円満、休息
・逆位置
過度のストレス、家族間のトラブル、友情の喪失
『日本神話タロット 極参』 鏡ノ拾 (カップの10)の解説文(写し)
「ホオリ(山幸彦)」は「ワタツミの宮」で会った「トヨタマビメ」と恋に落ちましたそこでの生活があまりにも楽しかったため、気づけば3年もたってしまいました
「ホオリ(山幸彦)」はここに来た理由を思い出し、「ホデリ(海幸彦)」に釣り針を返しに行きます
散々責められたため仕返しをしてやろうと釣り針に呪いをかけて返します
呪いで不幸になった「ホデリ(海幸彦)」を助けると、「ホデリ(海幸彦)」は謝り、「ホオリ(山幸彦)」を昼夜問わず守ることを約束しました
(「鏡ノ小姓」(山幸彦 ホオリ) に続く)
「古事記」におけるこの場面
「ホオリ(山幸彦)」は「シオツチノカミ」の言葉にしたがって、「ワタツミの宮」を訪問しました(「ワタツミノカミ」は漁業の富をもたらす海の神です)

そして「ホオリ(山幸彦)」と「トヨタマビメ」は一目で恋に落ちます
「ワタツミノカミ」も「ホオリ(山幸彦)」を見るなり「虚空津日高(ソラツヒコ)が来た」と出迎えました
「虚空津日高(ソラツヒコ)」という名前は天(高天原)と地(葦原中国)を繋いでいる男という意味です
「ワタツミノカミ」も「シオツチノカミ」同様に、一目で「ホオリ(山幸彦)」が地の至尊者だと見抜き、「トヨタマビメ」との結婚を許しました

しかし3年たったある日、自分が「ワタツミの宮」に来た理由を思い出し、悲嘆に暮れます
「ワタツミノカミ」が心配して、「ホオリ(山幸彦)」に理由をたずね、「ワタツミの宮」の魚たちに釣り針を探すよう命じます
すると、鯛がノドに針がささっているため、食べられないでいることがわかりました
釣り針を取り出して帰郷しようとする「ホオリ(山幸彦)」に「ワタツミノカミ」は秘策を授けます
釣り針を返す時に呪文を唱えれば、「ホデリ(海幸彦)」は3年で困窮するというものです
また、「ホデリ(海幸彦)」が反撃してきた時のために、潮の干満を自在に操る珠を授けました
こうして「ホオリ(山幸彦)」は「ワタツミノカミ」が用意してくれた「ワニ(サメか?)」に乗って葦原中国に帰ります

そして困窮した 「ホデリ(海幸彦)」が反撃してきたので珠を使い、撃退しました
結局「ホデリ(海幸彦)」は「ホオリ(山幸彦)」に平伏し、守護人(マモリビト)になって、「ホオリ(山幸彦)」を昼夜支えるようになります
(「鏡ノ小姓」(山幸彦 ホオリ) に続く)
その後の「ホオリ(山幸彦)」
「トヨタマビメ」と結婚し、580年間生き抜き、陵墓は高千穂の山の西にあると、「古事記」に記されています
農耕畜産漁猟の道を指導し、民政安定の基礎を作ったとされています
その地とされている所に、「鹿児島神宮」が建てられていて、主祭神として祀られています

ワニについて
「古事記」には度々「ワニ」が登場します漢字で「和迩」と書かれているので「ワニ」と読みますが、「サメ」に近い架空の動物だろうという説が有力です
(実在する動物の他に、名前が同じ架空の動物がいる「麒麟」と同じような物ですね)
その後の「ホデリ(海幸彦)」
「ホオリ(山幸彦)」 に屈服した「ホデリ(海幸彦)」は「隼人の祖」となります隼人とは古代の南九州で長く大和政権に服さなかったけれど、7世紀後半になって代々朝廷の警護をするようになった人たちです
この物語が示すこと (はるさん的考察)
・「シオツチノカミ」や「ワタツミノカミ」が「ホオリ(山幸彦)」 を一目見て、「虚空津日高(ソラツヒコ)」であると言っていることで「ホオリ(山幸彦)」やその子孫が葦原中国を支配するに相応しい神であることを示していると思われます・大和朝廷になかなか服従しない隼人たちを、「ホデリ(海幸彦)」の子孫とすることで、服従をさせ、代々の朝廷の警護役をすることを納得させたのでしょう
・「ホデリ(海幸彦)」を服従させはしますが、完全な悪者にしないことで、この国の調和を保つよう配慮していると考えられます
・「ホオリ(山幸彦)」の子孫である天皇は天も山も海も支配していることを表していると言えるでしょう
・「ホオリ(山幸彦)」を祀る「鹿児島神宮」の最寄り駅は「隼人駅」、住所は「隼人町」です
権力争いでは仲違いした兄弟ですが、今も深い絆で結ばれていそうですね
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