(79)『日本神話タロット』鏡ノ拾「ワタツミの宮」・ワニとは何か
「鏡ノ拾」 カップの10
前の記事(78)ホデリ(海幸彦)とホオリ(山幸彦) 「古事記」上巻の記事一覧

これまでのあらすじ

コノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜比売) 」が
火中出産して産んだ
「ホデリ(海幸彦)」と「ホオリ(山幸彦)」は、それぞれ神から与えられた道具を使い、漁と猟が得意でした。

ホオリ(山幸彦)」は「ホデリ(海幸彦)」に道具を交換してくれと何度も頼み、ようやく釣り針を貸して貰います。

そして「ホオリ(山幸彦)」は釣りに出かけましたが全く釣れず、しかも釣り針を失くしてしまいました。

ホオリ(山幸彦)」は謝り、別の針を作りますが「ホデリ(海幸彦)」はどうしても元の針でないとダメだと言って許しません。

ホオリ(山幸彦)」が困っていると「シオツチノカミ(塩椎神)」が来て船を作り「ワタツミの宮」に行くように勧めました。

『日本神話タロット 極参』 鏡ノ拾 (カップの10)

鏡ノ拾 (カップの10)の意味

正位置
幸福な暮らし、平和、家庭円満、休息

逆位置
過度のストレス、家族間のトラブル、友情の喪失

『日本神話タロット 極参』 鏡ノ拾 (カップの10)の解説文(写し)

「ホオリ(山幸彦)」「ワタツミの宮」で会った「トヨタマビメ」と恋に落ちました。

そこでの生活があまりにも楽しかったため、気づけば3年もたってしまいました。

「ホオリ(山幸彦)」はここに来た理由を思い出し、「ホデリ(海幸彦)」に釣り針を返しに行きます。

散々責められたため仕返しをしてやろうと釣り針に呪いをかけて返します。

呪いで不幸になった「ホデリ(海幸彦)」を助けると、「ホデリ(海幸彦)」は謝り、「ホオリ(山幸彦)」を昼夜問わず守ることを約束しました。

参考記事

「古事記」におけるこの場面

「ホオリ(山幸彦)」は「シオツチノカミ」の言葉にしたがって、「ワタツミの宮」を訪問しました。

ワタツミノカミ」は漁業の富をもたらす海の神です。


「ワタツミノカミ」を祀る 青龍神社(栃木県日光市)
「ホオリ(山幸彦)」が香木の木に座っていると、「ワタツミノカミ」の娘「トヨタマビメ」が出てきました。

そして「ホオリ(山幸彦)」と「トヨタマビメ」は一目で恋に落ちます。

ワタツミノカミ」も「ホオリ(山幸彦)」を見るなり「虚空津日高(ソラツヒコ)が来た」と出迎えました。

「虚空津日高(ソラツヒコ)」という名前は天(高天原)と地(葦原中国)を繋いでいる男という意味です。
ワタツミノカミ」も「シオツチノカミ」同様に、一目で「ホオリ(山幸彦)」が地の至尊者だと見抜き、「トヨタマビメ」との結婚を許しました。

『古事記絵詞』「ワタツミノカミ」「ホオリ」「トヨタマビメ」
ホオリ(山幸彦)」は「トヨタマビメ」と結婚し、「ワタツミの宮」で幸せに暮らします。

しかし3年たったある日、自分が「ワタツミの宮」に来た理由を思い出し、悲嘆に暮れます。

ワタツミノカミ」が心配して、「ホオリ(山幸彦)」に理由をたずね、「ワタツミの宮」の魚たちに釣り針を探すよう命じます。

すると、鯛がノドに針がささっているため、
(3年も?)食べられないでいることがわかりました。

釣り針を取り出して帰郷しようとする「ホオリ(山幸彦)」に「ワタツミノカミ」は秘策を授けます。

釣り針を返す時に呪文を唱えれば、「ホデリ(海幸彦)」は3年で困窮するというものです。

また、「ホデリ(海幸彦)」が反撃してきた時のために、潮の干満を自在に操るを授けました。

こうして「ホオリ(山幸彦)」は「ワタツミノカミ」が用意してくれた「ワニ(サメか?)」に乗って葦原中国に帰ります。

葦原中国に帰ると、言われた通りに呪文を唱えながら「ホデリ(海幸彦)」に針を返しました。

そして困窮した 「ホデリ(海幸彦)」が反撃してきたのでを使い、撃退しました。

結局「ホデリ(海幸彦)」は「ホオリ(山幸彦)」に平伏し、守護人(マモリビト)になって、「ホオリ(山幸彦)」を昼夜支えるようになります。

その後の「ホオリ(山幸彦)」

古事記」には「ホオリ(山幸彦)」は「トヨタマビメ」と結婚し、やがて神武天皇の祖父となります。

そして580年間生き抜き、陵墓は高千穂の山の西にある
と記されています。

伝承では農耕畜産漁猟の道を指導し、民政安定の基礎を作ったとされています。

活動していたとされている所に、現在は「鹿児島神宮」が建てられており、その主祭神として祀られています

鹿児島神宮

その後の「ホデリ(海幸彦)」

ホオリ(山幸彦)」 に屈服した「ホデリ(海幸彦)」は「隼人の祖」となります。

隼人とは古代の南九州で長く大和政権に服さなかったけれど、7世紀後半になって代々朝廷の警護をするようになった人たちです。

ワニについて

古事記」には度々「ワニ」が登場します。

漢字で「和迩」と書かれているので「ワニ」と読みますが、「サメ」に近い架空の動物だろうという説が有力です。

実在する動物の他に、名前が同じ架空の動物がいる「麒麟」と同じような物ですね 。

はるさん的考察
この物語が示すこと

・「シオツチノカミ」や「ワタツミノカミ」が「ホオリ(山幸彦)」 を一目見て
虚空津日高(ソラツヒコ)」であると言っていることから
ホオリ(山幸彦)やその子孫が葦原中国を支配するに相応しい神であることを示している。


・大和朝廷になかなか服従しない隼人たちを
「ホデリ(海幸彦)」の子孫とすることで服従させ、
代々の朝廷の警護役をすることを納得させた。

・「ホデリ(海幸彦)」を服従させはしますが、完全な悪者にしないことで、この国の調和を保つよう配慮している。

ホオリ(山幸彦)」の子孫である天皇は天も山も海も支配していることを表している。

終わりに

ホオリ(山幸彦)」を祀る「鹿児島神宮」の最寄り駅は「隼人町」にある「隼人駅」です。

権力争いでは仲違いした兄弟ですが、今も深い絆で結ばれていそうですね。

これまでに完成している記事

これまでの記事はこちらからご覧ください。

上巻中巻



にほんブログ村

コメント一覧
  1. みな より:

    初めて知る興味深いお話が続きますね❣️
    この壮大なお話と、それに付随するもっといろいろなお話が知りたいです♡

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      面白いと感じていただけるよう、これからも頑張りますね❣️

  2. みゆき より:

    ホデリ(海幸彦)が兄で、ホオリ(山幸彦)が弟なんですよね結果的に、弟ホオリの子孫が天皇になったところが面白いね。よく知らなかった『古事記』ワールドは、なかなか興味深いです❗️

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      日本書紀では、兄弟が逆のものもあるの
      でも、神武天皇は4番目だし、、、色々問題行動をしている天皇いらっしゃいますね

      • まいこ より:

        やっと馴染みのある神さまが出ていらした。拝読して今更ながら鹿児島神宮に行っておけばよかったと思ってます。

        • harusan0112 より:

          海彦さんも隼人として名前が残ってよかったですね

          鹿児島神宮も宮崎神宮もとにかく静かでした

  3. さゆ より:

    山彦は、泣いていたのにすごい展開!
    面白い物語ですね。
    質問ですが、ワタツミノカミは、天津神?国津神?
    地上はすべて葦原中国というのですか?
    神にとっても、隼人にとっても身分=格=家系は大事だったのですね。それで仕えようという意志が固まるのですから。
    主祭神が、解説してくれた神の神社がだんだん増えて嬉しいです。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます
      ワタツミもイザナギの子ですが天津神ではありません。
      海の神は独自に竜宮城のような楽しいところの神様のようですが、天津神の流れであるホオリを見てすぐ娘を差し出すほどの格の違いはあります。

  4. harusan0112 より:

    キヨさんコメント
    古事記は代々に繋がりのある神様や人のお話しなのに、シチュエーション毎にガラリと舞台が変わるし、個性的な登場人物、神様が多くてとても面白いです。

    はるさんのお話しの説明がまた興味を持たざるを得ないほど詳しく、お上手なので本当に楽しくお勉強させて貰えてます。

  5. harusan0112 より:

    ありがとうございます♪♪

    とても嬉しいです。
    神様なのにこんなことしていいの?
    ていう方々が多くて面白いですよね。
    これからも面白さをお伝えできるよう頑張りますね!

  6. さゆ より:

    ワタツミの宮は、どこにあったのかしら?
    もし、青龍神社の近くだったとすると、ホオリは、宮崎県でシオツチノカミにアドバイスされ、竹で編んだ小舟にのって、関東、東北まで行き、戻ってから、鹿児島に移って農耕漁猟の指導を、と長い距離を移動したことになりますね。
    ホオリとホデリは争ったあとは、忠実な家来と為政者という立場ですが、仲良くなって良かったです。
    青龍神社の祭神のオオワタツミとワタツミとイザナギイザナミの子のワタツミ三神は、同一人物でしょうか?

    • harusan0112 より:

      ワタツミは海の宮なのですが、海の向こうにある土地とも、海の中に宮殿があるとも言われますね。
      宮崎県や鹿児島県の島とも、竜宮城のようなものかも知れませんね。

      シオツチが宮城県に行ったのは、おそらく山幸彦に会った後の話だと思います。
      大国主命の国譲り神話でタケミカヅチが活躍してからタケミカヅチが関東や東北に行くには何年もかかりそうですから。

      ワタツミ三神は同じ神さまだと思います。
      が、大国主命や武内宿禰など多くの登場人物は複数人を合わせた神と言われていますので、ワタツミノカミも複数人の可能性はありますね。

  7. 才色健躾 より:

    この度もカップのイラストと意味を確認しながら拝見させて頂きました。
    全くその様ですね。
    総括しますとグループないし友情間には”成もあれば否もある”
    互いに補い信頼し合う事の大切さを意味するお話しとお見受けしました。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      ウエイト版、日本神話タロットともに美しく、絵から学べることがいっぱいありますね。
      成も否もありますね。
      海幸彦はそれほど悪くないと思いますが、もう少し寛大な気持ちがあればよかったのでしょうか。
      兄弟の権力争いが熾烈なのは、、、才色健躾さんが詳しいですね!

コメントを残す

古事記の関連記事
おすすめの記事