[吊るされた男] AFTER TAROT『アフタータロット』
「吊るされた男」のカード 左がウェイト版 右がアフタータロット

『アフタータロット』とは

「アフタータロット」は「ウェイト版タロットカード」の少し後を想像して描いたカードです。
(2016年 イタリア・LO SCARABEO社製)

詳しくはこちらをご覧ください

[吊るされた男]の『アフタータロット』

添付の解説書

[吊るされた男]の
『アフタータロット』の解説書
*はるさん的和訳*

「吊るされた男」は忍耐、犠牲、根気と希望のカードです。

彼は、右の足首を紐で巻かれ、逆さまに吊る下げられています。

彼は1人ではありません。

また、彼は苦しんでいません。

女性が地面に跪き、陶器製の水差しから彼に水をあげようとしています。

参考記事

[吊るされた男]の『アフタータロット』
*はるさん的見解*

背景の色
背景の色が灰色から黄色みがかった色に変わりました

この男性は「ウェイト版タロット 吊るされた男の絵」にも書いたように、北欧神話の最高神オーディンの若い頃と言われています。
オーディン
彼は、ルーン文字の秘密を得るために、9日間ユグドラシルの木に自らを犠牲にして捧げたと言われています。
詳しくはこちらをご覧ください。

「吊るされた男」が完全にオーディンとは限りませんが、「ウェイト版タロット」では、知識を得る光明は見えたものの、まだ俗世界にいる状態だから背景は灰色、「アフタータロット」では修行を終え、一段上がって、神の知識に近づいたから背景は黄色みを帯びたのかもしれません。

ユグドラシルの木
水を飲ませる女性登場
「アフタータロット」には女性が登場します。

彼女は水を優しく飲ませ、男性も飲んでいます。
(この体勢で飲めるかはわかりませんが)

知識を得るためのミーミルの泉の水かもしれませんね。

大地が描かれる
「アフタータロット」には、大地が描かれています。

水のモデルが「ミーミルの泉」であれば、ユグドラシルの根の根元に泉があるので、地面を描く必要が出てきたのでしょう。

男性の服の色
「ウェイト版タロット」では(神聖な)水色でしたが、「アフタータロット」では、(やや下がった天国の色である)黄緑色になりました。

この男性は神の子として生まれたのですが、知識を求めるあまり自分のみならず、他の人を犠牲にすることを 厭わなかったようです。

もしかしたら水を差し出した女性の好意を利用したのかもしれません。

そのことで、「知識は得たけれど、中身は俗っぽくなった」と捉えることもできるでしょう。

モデルとなったオーディンは、(ゼウスや大国主命もそうですが)相当な数の愛人がいたようなので、この女性も幸せにはなれなかったと思います。

足の形

これは変化ではなく、足が4の字のようになったままです。

これは、「4ではなく卍の形だ」とウェイト氏がおっしゃっています。

西洋で卍というと、ハーケンクロイツを思い浮かべる方も多いのではないかと思いますが、卍がナチスのシンボルになったのは1920年、 ウェイト版タロットは1909年に発売されていますから、全く別の思想です。

この模様自体は旧石器時代から使われており、古代ギリシャでは「ギリシャ雷文」といって、太陽の光の象徴として描かれました。
ブカレスト(ルーマニア)の装飾文様 「ギリシャ雷文」
男性の頭の後ろに光っているのは太陽の光でしょうか。

知識を得ても、「太陽を崇める気持ちは変わらない」のでしょう。

数字から「吊るされた男」のカードを考える

「吊るされた男」は12番のカードです。
1+2=3
なので、このカードは3の系列に属します。

3は「創造性や果てしない生産性」を示しますが、偶数である12は「内向き」を表すので、数字から見ても「吊るされた男」は、自分自身の知識欲のために勝手にぶら下り、知識は得たものの、あまり外に働きかけたり、この女性に感謝したりはしないように思います。

[吊るされた男]のカードの運勢とクリスタル

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コメント一覧
  1. ザックリとした感覚になってしまいますが…ウェイト版に比べ、アフタータロットの方が人間臭いというか、黄色味がかった優しい感じが出ていて、好感持てます❣️

    • ありがとうございます!
      柔らかい印象というか、親しみやすいですよね。

  2. 小鳥遊さんコメント(はるさん代筆)
    最後の「自分自身の知識欲〜この女性に感謝したりしない」のくだりはすごく受けて、「厳しい!」と爆笑してしまいました。

    水が出るのは、
    ・カードが対応する四大元素は水
    ・秘教哲学では「全能の水の神」
    なのかなと思いましたが「知識を得るためのミーミルの泉の水」から汲んだ水を与えているというのはすごく的を得ていると思いました。面白いです!

    彼の後ろにはニンプス(光輝く雲=仰るように太陽の光の象徴です)で輝き、それは神への従順の印ですから、かれは神に「服従」していると。
    そして栄光と栄誉の印でもあるので、死を前にして彼はすでにみとめたれている存在。つまり、精神的には潤った存在。

    そこに女性が現れ、肉体へも水を与えてられることで彼は肉体も満たされていく。
    死を直前に、心身の潤いを得て、心象風景も変わっていったのかなと思いました。

    • 「吊るされた男」は、もうすぐ死んでしまうと考えるのが普通ですか。
      次のカードが「死神」だと、肉体的には死ぬと考えるべきでしょうか。
      「知の旅」には行けないのかしら、せっかく水をもらったのに。

      でも、認められて精神的に潤った存在になれたのはよかったです。

      • 小鳥遊さんの回答(はるさん代筆)

        キリスト教的な影響を深く受けるカードの流れになっていますので、死は神(主)のもとに召されるという捉え方をしています。
        最後の審判を受けるために復活の日まで神とともに過ごすので、すでに神に認められた彼にとっては宗教者としては幸せなのかもしれませんね。

  3. よしちゃんコメント(はるさん代筆)

    タロットは0から10までが天の意思が地上に降り、行き渡る話、
    11〜21が地上の魂が天上に上がっていく話との説も見たことが。
    0のフールで表される無限の勢いのエネルギーがマジシャン、何かをする〜女教皇の間を経て女帝で増殖し、11の正義で選別された、あるいは力(マルセイユ版準拠)で生まれた魂が1213と早々に肉体を捨てて行って紆余曲折を経て完成の世界、かくも賢き域への昇天を目指す、というお話。
    死は悲劇や脅威ですが、同時に肉体というものはそもそも制限があるものなので、ありえるかな。

    きつい制限があると更に燃えるし、だからこそ良いもの、時にぶっ飛んだものが生まれる、なんてこともありますよね

    • 小鳥遊さん返信(はるさん代筆)
      まさによしちゃんの仰る通りで、かれの吊るされているタウ十字、この交差している枝(すでに根は切られている)にさえ新たな芽吹きを起こさせる奇跡を起こしています。
      死は彼にとって主の元への帰還でもあり、復活の日を迎えることを知っていますので、命の終わりでも悲しみはないのかと思います。

      • たしかに、新しい芽が、奇跡とかれの復活を象徴していそうですね!
        宗教が絡むと難しいですね。

        今回も大変ありがとうございます!!

  4. このカードは、忍耐、犠牲、根気、希望のカードなので、この男性はそれらを持っているんですね。仰るように、心身も満たされている、、、。いいですね。問題は、自己を高めつつあっても、他人の厚意やいたわりに気付かないこと。せっかくの修行がもったいないと思います。
    修行するなら、民衆のためにも行って、尊ばれる神になってほしいな。
    ただ、オーディンだとすると、オーディンは世界を造り、知識を得たということですが、功績は才能ある詩人に蜜酒を与えたぐらいなような、、、。傲慢、気まぐれ、浮気者で、すぐ開き直る性格であまり好かれていなかったということでしたね。『こちら=神話ログより』
    ですから、この男性は、識者にオーディンと言われていますが、オーディンでないといいなと思います。
    苦行をする姿に感銘を受けた民衆に忍耐の大切さを伝え、元気づける、得た知識を民衆に役立てようとして修行する為政者であってほしいです。願望ですけど。
    リンクでさらに詳細がわかるようセッティングしてくれているので、とても参考になります。

    • オーディンではないといいですね。木に自らぶら下がったなどのエピソードがオーディンということではないかと思います。
      神話って、昔の人間が考え出した物なわけですけど、各地、何故そのような主人公になったか考えると、共通点あり相違点ありで面白いですね。ゼウスも大国主命も女好き。笑
      それで平和に国を統一するというのがいいですね。

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