『タルク』(滑石) 化粧品や漢方薬でお馴染み「最も軟らかい無機鉱物」
タルク

タルクモース硬度1(とても傷がつきやすい)の標準鉱物で粉砕しやすいことから彫刻などのインテリアやベビーパウダーの主原料として使われる珪酸塩鉱物です。

モース硬度の標準鉱物とは

鉱物のかたさを図る尺度の一つとして「傷のつきやすさ」を10段階で考えられたのがモース硬度です。

その10段階をイメージしやすいように下の表のように代表的な鉱物が標準鉱物として定められています。

モース硬度の標準鉱物

タルクとは

タルク

タルクの名前の由来と和名

タルクはアラビア語で「滑る石」という意味の「talq」に由来して命名されました。

滑るような質感からソープストーン石鹸石とも呼ばれます。

和名は滑石(カッセキ)です。

タルクの成分

タルクは水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなるケイ酸塩鉱物です。

層状の鉱物で化学名は含水珪酸マグネシウム

化学式は

Mg3Si4O10(OH)2)

と表されます。

タルクは耐熱性に優れている特徴があります。

タルクの光沢

真珠光沢

💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」 

タルクの硬度

滑石で勾玉作り

モース硬度 1

人間の爪の硬度は2です。

触る時も爪を立てないように注意しましょう。

はる
タルクは(サンドペーパーで簡単に削ることができるくらい)無機鉱物の中で最も軟らかいので、
紀元前5000年以上前からアクセサリーとして利用されてきました。

💎参考記事 

石の硬度を表す「モース硬度」 

6世紀の滑石勾玉

タルクの石言葉

・優しさ

・恋愛成就

タルク 誕生日石

誕生日石には選ばれていません。

💎参考記事 

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石 

タルクの主な用途

ベビーパウダー

タルクは柔らかく削りやすいために古代からアクセサリー印材として使われていました。

今では軟らかさと耐熱性を活かしてさまざまな方面に使われています。

タルクの主な用途を紹介します。

プラスチック

充填剤 (剛性、耐熱性、寸法安定性を向上させます)

結晶核剤

製紙

填料

ピッチコントロール剤

塗工剤

塗料

体質顔料(粘度・光沢の調整)、

粉体塗料

電子部品

積層板

成形品、

レジストインキ

接着剤

セラミックス

陶磁器の釉薬

ハニカムセラミックス原料

ゴム

充填材(耐熱性、補強性等の向上)

離型剤

化粧品

ファンデーション

ボディーパウダー

アイシャドウ

口紅

医薬品

錠剤の賦形剤

滑沢剤

漢方薬(利尿作用、消炎作用)

食品

ガムベース

製造助剤(くっつき防止)

農業

肥料の固結防止剤

農薬のキャリアー

タルクの安全性

純粋なタルクは滑らかで柔らかい粒子の微粉体なので吸い込んでも容易に排出されます

しかし、タルクとアスベストは鉱脈が近いことからアスベストが混入し精製後も取りきれていなかった時期がありました。

アスベストとは

天然の繊維鉱物で和名は石綿

熱や摩擦や酸にも強く、丈夫で変化しにくいことから建材摩擦剤(ブレーキライニングなど)さまざまな工業製品に使用されてきました。

しかし肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となり現在は原則として製造・使用などが禁止されています。

ベビーパウダーやクレヨン、化粧品に使われていたタルクの中にアスベストが含まれていたために健康被害が起きたとして商品のリコールや裁判が行われました。

ベビーパウダー大手のジョンソンandジョンソンは2020年にタルクによるベビーパウダーの製造を中止し、コーンスターチを原料とするベビーパウダーのラインアップに移行しました。

タルクを配合しているコスメは現在10000種を超えていると言われています。

タルクに含まれるアスベストについて国内で流通している商品については徹底した品質管理が行われていてアスベスト混入の可能性はかなり低いそうなので安心して使いましょう。

タルクの主な産地

タルクは日本を含む世界各地で産出されますが、純度の高いものは

・ジンバブエ🇿🇼

・インド🇮🇳

・中国🇨🇳

・パキスタン🇵🇰

などで産出されています。

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コメント一覧
  1. タルクは、つなぎの役、形を整える役が多いのですね。傷つきやすくてもインテリアに使われているのですね。いろいろな用途が学べました。ありがとうございます。
    今もジョンソンアンドジョンソン以外の多くの化粧品会社で使われているということですが、コーンスターチよりも、コストが安いのでしょうか?

    • ありがとうございます♪
      私が息子たちを育てた時に使ったベビーパウダーは年代的にタルク入りだったようです。
      タルクとコーンスターチは吸水性は違います。
      肌に乗せてベタつきを抑えたい場合は吸水性があるコーンスターチがいいようです。
      タルクのほうが肌に密着する効果は高いようなので、粉落ちが気になる人にはタルクがいいようです。
      今はタルクにアスベストが混入することはほとんどないとのことで、ピジョンさんのような大きなメーカーもタルクを原料としたベビーパウダーを出しています。
      いずれも廉価のようです。

  2. この度はモース硬度の標準好物更には鉛筆の硬度まで記されとても分かり易いです
    鉱石の成分に“水酸化”を含む鉱石を初めて伺いました様に思えます…
    水に溶ける要素を成分に含みます鉱石は全てモース硬度は1ないし2なのでしょうか
    タルクの用途は全般的に補強材若しくは塗料…
    古代人は祭祀の顔料として用いられましたのかも知れませんね…

    • ありがとうございます♪
      水酸化鉱物は珍しいですね。
      前に出した
      「鉱物の分類」にも載らないレアな鉱物です。
      水酸化鉱物にはゲーサイト(針鉄鉱)があります。
      ゲーテから名前をとったゲーサイトは褐鉄鉱の主成分でモース硬度は5.5です。
      祭祀の顔料に使われていた!
      言われてみたら気づきましたがきっとそうですね。
      簡単に汗疹対策してのベビーパウダーができますから、水で溶いて白いペイントとして使っていたでしょう。
      さすがです!

  3. 暑い日が続くと、ベビーパウダーを叩きたくなりますね〜タルクによるベビーパウダーは確かに肌によく密着してました。独特の滑るような質感と、柔らかく削りやすい事から本当に用途が豊富なんですね。モース硬度の標準鉱物と鉛筆の硬度の表が分かりやすくて助かります。タルクは、うっかり爪も立てられない軟らかさなんですね(笑)

    • ありがとうございます♪
      タルクは爪より軟らかいのにアクセサリーとしてどうだったんだろう?と思いました。
      実際見たことがないです。
      勾玉キットはありますけど出来た暁には鑑賞用ですね?
      自分自身も息子たちもJ &J社のベビーパウダーを愛用していたので時代的にアスベスト入りでしたね。
      もっとも、私たちの小学校は壁にも天井にもアスベストが使われていたと思いますが。笑
      時代と共に建材も変化しますね。

  4. タルク・・やわらかいというよりは、もろい物質なのですね。
    モロいからこそ逆に、鉱石・装飾品というよりは普通に工業的に使われてしまう感じなのでしょうか。
    乳白色で美しく、柔らかい、その柔らかさゆえに装飾品としても古来より使われて来たのですね(^◇^)
    耐熱性に優れているということは・・超高速飛行の戦闘機やスペースシャトルなんかの塗装やタイルに使われたりもしうるのでしょうか(そこまで耐熱性無い?)
    名古屋の科学館だかで、スペースシャトルのタイルの現物とやらが触れる形で展示されていたことがあったのですが、なんだか普通にウレタンの板という感じだった、そんな事も思い出したりしました(^^)

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