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『日本神話タロット』勾玉ノ伍「オオクニヌシの死と再生」
これまでのあらすじ兄の八十神達にいじめられていた「オオクニヌシ」ですが「ヤガミヒメ」は「オオクニヌシ」と結婚したいと言いました。
すると八十神達は「オオクニヌシ」に燃えた岩を落として殺してしまいました。
『日本神話タロット』勾玉ノ伍「オオクニヌシの死と再生」
カードの意味
・正位置
執着、所有欲、現状維持
・逆位置
私利私欲、野心、強欲
『日本神話タロット 極参』勾玉ノ伍
「死と再生」の解説文(写し)
死んでしまったオオナムチ(オオクニヌシ)を復活させるために、赤貝と蛤の神が現れ復活の儀式を行います。するとオオナムチは復活し、少し大人の顔つきになりました。
生き返ったことに腹を立てた八十神は、木を二つに割いてその真ん中にオオナムチを連れて行き、木で挟んで殺してしまいます。
さらに復活したオオナムチは完全に大人に成長しました。
このままだと何度も殺されてしまうため、オオナムチはスサノオに保護してもらうため、根の国へ向かいました。
参考記事
「古事記」におけるこの場面
八十神に殺された「オオクニヌシ」を見て母神は悲しみました。
そして高天原に行って「カミムスビ」に頼み「キサガイヒメ」と「ウムギヒメ」を遣わせてもらいました。
(「カミムスビ」は高天原にいる造化三神の1柱、つまり偉い女神です。詳しくは↓をご覧下さい。)
治療薬を「オオクニヌシ」の体に塗ると
「オオクニヌシ」は元気になりました。
しかし八十神はそれを怒り「オオクニヌシ」を山に連れ込み、木の割れ目にはめ込み再び殺してしまいました。
母神はこれを嘆いて今度は自分で生き返らせます。
そして「オオクニヌシ」の身を案じた母神は紀伊國(キイノクニ)の「オオヤビコ」のもとに「オオクニヌシ」を行かせました。
ところが八十神たちはそこにも追いかけて来たので「オオヤビコ」は「オオクニヌシ」に
「スサノオがいる根の堅洲国に行きなさい。きっとスサノオが取り計らってくれるでしょう。」と言いました。
登場する神々
キサガイヒメとウムギヒメ
「キサガイヒメ」と「ウムギヒメ」はいずれも「カミムスビ」の娘達と言われています。・キサガイは赤貝のこと
・ウムギとは蛤のこと
・ウムギとは蛤のこと
貝にも薬効はありますが、「古事記」編纂期にはまだわかっていなかったという説もあり「オオクニヌシ」の体に塗ったのは
・「カミムスビ」の乳汁であるという説
母乳の持つ生命力を表している
・2柱が調合したという説
母乳の持つ生命力を表している
・2柱が調合したという説
「オオヤビコ」
「オオヤビコ」は「イザナギ」と「イザナミ」の子とされる 家屋や木を司る神です。助けを求めてわざわざ紀伊國まできた「オオクニヌシ」に「スサノオ」に助けてもらうようアドバイスをするのですから、あまり強くない神だと思われます。
はるさん的補足 紀伊國
なぜ「オオクニヌシ」の母神は「オオクニヌシ」を紀伊國に行かせたのでしょうか。紀伊國は「木の国」とも呼ばれていました。
紀伊山地は1000メートルを超える山々が多く、豊富な雨に育まれた深い森林が生い茂る山岳地帯です。
古来から神々が鎮まる場所と考えられていたことから「オオクニヌシ」の再生を示したり、神としての格を上げたりするために行かせたのかもしれません。
古事記の他の記事
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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