クリソベリルという鉱物
クリソベリルという鉱物をご存知の方はもしかすると少ないかもしれません。
でも、キャッツアイやアレキサンドライトなら聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらはクリソベリルの変種なのです。
2つの変種の人気があまりにも高いので、オリジナルの方が影が薄いのがクリソベリルの特徴かもしれません。
クリソベリルの成分
クリソベリルはアルミニウムとベリリウムの酸化鉱物で
花崗岩ペグマタイトや変成岩中から産出されます。
化学組織はBeAl2O4
ちなみに
・見た目が似ていると言われるコランダム(ルビーやサファイア)は
Al2O3
・名前が似ているので混乱されがちなベリル(エメラルドやアクアマリン)は
Be3Al2Si6O18
成分が違う別の石なのです。
💎参考記事
クリソベリルという名前
クリソベリル(Chrysoberyl)という名前は
・ギリシャ語で黄金を意味する「Chrysos(クリソス)」
・宝石のベリル(beryl)
を合わせて付けられたと言われています。
ベリルというのはエメラルドやアクアマリン、モルガナイトなどの鉱物名です。
クリソベリルはその昔、ベリルの仲間だと思われていたのです。
その後成分を調べた結果ベリルとは違う石だと判明しましたが、
クリソベリルという名前はすでに定着していたので変更されることがなく現在に至っています。
和名は金緑石です。
クリソベリルの色
純粋なクリソベリルは無色透明です。
そこに元素が混入することにより色が変わります。
鉄が含まれると量によって薄い黄色から濃い黄色、オレンジ色、褐色、茶色などに変化します。
また、クロムが含まれると緑色になります。
そしてクロムの量が多い物がアレキサンドライトです。
クリソベリルの硬度
モース硬度 8.5
ダイヤモンドやコランダム(ルビーやサファイア)に次いで硬い鉱物です。
💎参考記事
クリソベリルの光沢
ガラス光沢
💎参考記事
クリソベリルの主な産地
・ロシア 🇷🇺
・ミャンマー 🇲🇲
・ブラジル 🇧🇷
・ジンバブエ 🇿🇼
・タンザニア 🇹🇿
クリソベリル 誕生日石
7/13
💎参考記事
クリソベリルの石言葉
・自然体
・和
・マイペース
クリソベリルの変種① キャッツアイ
クリソベリルは針状のルチル結晶を内包することがあります。
ルチル結晶が束になって無色透明・繊維状のチューブインクルージョンを形成します。
そこに光が入射するとインクルージョン方向とは別の方向に一本の光の帯を描いて反射します。
その効果を「猫目効果」「シャトヤンシー」「シャトヤントバンド」といいます。
これらの効果を示す宝石は他にもありますが、
単に「キャッツアイ」と呼ばれるのはクリソベリルキャッツアイです。
下の写真をご覧になると(宝石展に展示されていた物の写真)
他の宝石のキャッツアイにはサンストーン・キャッツアイなど、
キャッツアイの前に宝石名が付くことがわかりますね。
いいキャッツアイは日本にある
クリソベリルのキャッツアイは明るい金褐色で「ハニー&ミルク」と表されて、戦後の日本で大人気となりました。
「国際相場を引き上げた」と言われるくらい日本人はキャッツアイが大好きで、
「いいキャッツアイは日本にある(日本人が買ってしまった)」と言われています。
キャッツアイの産地
ブラジルやスリランカのキャッツアイはすでに枯渇しており、
現在はマダガスカル🇲🇬 が最大の供給地です。
キャッツアイ 誕生石
キャッツアイは2月の誕生石で
・8/3
・10/5
の誕生日石です。
💎参考記事
キャッツアイの石言葉
・守護
・慈愛
クリソベリルの変種② アレキサンドライト
こちらも大人気の宝石ですね!
アレキサンドライトはクリソベリルにクロムが多く含まれた物で、光源によって見え方が違うのが特徴です。
「昼はエメラルド、夜はルビーに変わる石」
とも表す人もいます。(もちろん違いますけど!)
アレキサンドライトの発見と命名
アレキサンドライトは1830年代にロシアのウラル山脈で発見されました。
最初はエメラルドと間違われていましたが、変色することや硬度が違うことから別の石であることがわかりました。
ちなみにエメラルド(ベリル)の硬度は7.5です。
そして当時のロシア皇帝ニコライ1世に捧げられたのですが、
その日は次期皇帝のアレキサンドル2世の12歳のお誕生日だったことから
アレキサンドライトと命名されました。
また、当時のロシアの軍服が赤と緑色だったことから、ロシア国内で大変持てはやされました。
アレキサンドライトが光源によって色が違って見えるわけ
アレキサンドライトが光源によって違う色に見えることは書きました。
何故そのようなことが起きるのでしょうか。
(当然ですが私たちの目に赤や緑に映るのであって、石の色が変わるわけではありません!)
アレキサンドライトは緑色と赤を大体同じ割合で反射します。
太陽光は青から緑色を多く反射します。
すると私たちは赤より緑を強く感じ、
逆に白熱灯〜赤い光が当たると
光の中で赤系の色を多く反射するため赤や紫色に見えるのです。
ちなみにロウソクの光の下でも赤く見えます。
アレキサンドライトがニコライ1世に捧げられた時はロウソクの光の下で赤くなることに驚いたようです。
アレキサンドライトの主な産地
・ロシア 🇷🇺
・スリランカ 🇱🇰
・タンザニア 🇹🇿
・マダガスカル 🇲🇬
アレキサンドライト 誕生石
アレキサンドライトは6月の誕生石です。
💎参考記事
アレキサンドライトの石言葉
・秘めた思い
・情熱
・誕生
・高貴
・独立
クリソベリルの変種③ アレキサンドライトキャッツアイ
さらに珍しいアレキサンドライトキャッツアイという石もあります。
アレキサンドライトにルチルが入り、猫目効果(シャトヤンシー効果)が見られる物です。
つまり、アレキサンドライトキャッツアイはカラーチェンジと猫目効果両方を備えた珍しい石です。
アレキサンドライト自体が産出量が少ないのですが、キャッツアイが表れている物はその1%にも満たないと言われています。
したがって最も高価な石の一つです。
アレキサンドライトキャッツアイの主な産地
・ロシア 🇷🇺
・ブラジル 🇧🇷
・スリランカ 🇱🇰
アレキサンドライトキャッツアイ 誕生日石
1/31
💎参考記事
アレキサンドライトキャッツアイの石言葉
迷い選択と変身