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「イザナミ」に先立たれた「イザナギ」は「黄泉の国」に「イザナミ」を迎えに行きましたが、連れ戻すことに失敗しました。
「黄泉比良坂」で「イザナミ」と決別した「イザナギ」は禊を行います。
禊をしている時にたくさんの神が生まれました。
左目を洗っている時に生まれたのが「アマテラス」で
右目を洗っている時に生まれたのが「ツクヨミ」です。
写真は「イザナギ」が禊をしたと言われる現在の阿波岐原森林公園(宮崎県)です。
新月として描いている男神のツクヨミです。
幼少の頃スサノオにより怪我をしたツクヨミは一定の周期でスサノオのように気が荒くなりました。
成長に伴い性格だけでなく、見た目も変化するようになり、このままではいけないとウケモチに預けられますが、そこでウケモチを斬り殺してしまい、高天原を追放され、夜蝕国を治めるようになりました。
というのは作者(ヤマモトナオキ氏)の創作です。
参考記事
にも関わらず「古事記」では
「イザナギ」に「夜の食国(夜の世界)を知らせ(統治せよ)と命じられた」
という記述以外には出てこない神です。
この記事では「日本書紀」に出てくる「ツクヨミ」について紹介します。
それは、「日本書紀」が中国の陰陽説を基調としているので「陰神」である「イザナミ」が死んでしまうと「陽神」である「イザナギ」とのバランスが崩れて世界が滅んでしまうからです。
「ツクヨミ」が「ウケモチ」の所に行くと、「ウケモチ」は口から米、魚、毛皮の動物を出し、それらで「ツクヨミ」をもてなしました。
それを見ていた「ツクヨミ」は
「汚らわしい」
と言って怒り「ウケモチ」を殺してしまいました。
「アマテラス」はそれを聞いて怒り 「ツクヨミ」に
「もう会いたくない」
と言います。
その後「アマテラス」は「ウケモチ」の所に使者を送ります。
すると「ウケモチ」の亡き骸の頭から馬、額から粟、眉から蚕、目から稗、腹から稲、陰部から麦、大豆、小豆が生まれました。
使者がこれらを全て持ち帰ると「アマテラス」は大喜びし、民が生きていくために必要なものだとしてこれらを田畑の種にしました。
エピソードは「ツクヨミ」とのこのシーンだけですが、これが日本の「食物起源神話」です。
全国にある稲荷神社に祀られる「ウガノミタマ」と同一視され、「食物神」とされています。
また「頭から馬が生まれた」ということから 「牛や馬の神」ともされます。
岩手県花巻市の「駒形神社」では「馬の神」として「ウケモチ」が祀られています。
高天原を追放された「スサノオ」が「オオゲツヒメ」に食物を求めます。
「オオゲツヒメ」が鼻や口や尻から食べ物を出していたのを見た「スサノオ」は怒って「オオゲツヒメ」を殺してしまいます。
すると「オオゲツヒメ」の死体から蚕や稲や大豆、小豆は生まれ、それらを回収したのが「カミムスビ」です。
「オオゲツヒメ」も「ウケモチ」や「ウガノミタマ」と同一視されることがある女神です。
殺害された神の屍から植物が生まれるという神話は世界各地にあります。
それを「ハイヌウェレ型神話」と呼びます。
インドネシアの神話に登場する女神の名前から命名されました。
屍から植物が生まれるというのは「芋類を切断して地中に埋めると再生し食糧が得られることが背景にある」と考えられています。
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参考記事
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(16)『日本神話タロット』月②「夜蝕国 ツクヨミ」
『日本神話タロット』には月のカードが2枚あります。
(15)の方で「ツクヨミ」の基本的なことは解説しています。
こちらでは、「日本書紀」に於ける「ツクヨミ」のエピソードを紹介します。
参考記事
これまでのあらすじ こちらでは、「日本書紀」に於ける「ツクヨミ」のエピソードを紹介します。
「イザナミ」に先立たれた「イザナギ」は「黄泉の国」に「イザナミ」を迎えに行きましたが、連れ戻すことに失敗しました。
「黄泉比良坂」で「イザナミ」と決別した「イザナギ」は禊を行います。
禊をしている時にたくさんの神が生まれました。
左目を洗っている時に生まれたのが「アマテラス」で
右目を洗っている時に生まれたのが「ツクヨミ」です。
写真は「イザナギ」が禊をしたと言われる現在の阿波岐原森林公園(宮崎県)です。
『日本神話タロット 極参』月「夜蝕国 ツクヨミ」
「月」のカードの意味
・正位置
不安定、偽り、幻惑、現実逃避、猶予ない選択
・逆位置
好転、直感、軽度の過ち、過去からの脱却
『日本神話タロット 極参』月②「夜蝕国 ツクヨミ」の解説文(写し)
イザナギの禊で生まれた三貴子の一人。新月として描いている男神のツクヨミです。
幼少の頃スサノオにより怪我をしたツクヨミは一定の周期でスサノオのように気が荒くなりました。
成長に伴い性格だけでなく、見た目も変化するようになり、このままではいけないとウケモチに預けられますが、そこでウケモチを斬り殺してしまい、高天原を追放され、夜蝕国を治めるようになりました。
というのは作者(ヤマモトナオキ氏)の創作です。
参考記事
「ツクヨミ」について
「ツクヨミ」は「アマテラス」「スサノオ」と並んで「イザナギ」の禊の時に生まれた三貴子の一人です。にも関わらず「古事記」では
「イザナギ」に「夜の食国(夜の世界)を知らせ(統治せよ)と命じられた」
という記述以外には出てこない神です。
この記事では「日本書紀」に出てくる「ツクヨミ」について紹介します。
「日本書紀」では「イザナギ」と「イザナミ」の子供
「イザナミ」が生んだ三貴子
「古事記」では「カグツチ」を生んだ時に火傷をしてしまい「イザナミ」は亡くなってしまうことになっていますが、「日本書紀」では亡くならず、三貴子は「イザナミ」が生んだことになっています。それは、「日本書紀」が中国の陰陽説を基調としているので「陰神」である「イザナミ」が死んでしまうと「陽神」である「イザナギ」とのバランスが崩れて世界が滅んでしまうからです。
「ウケモチ」を殺してしまった「ツクヨミ」
「日本書紀」の一書(異伝を集めたもの)によると「月夜見尊(ツクヨミ)」は「アマテラス」に「保食神(ウケモチ)」という女神を見てくるよう命じられました。「ツクヨミ」が「ウケモチ」の所に行くと、「ウケモチ」は口から米、魚、毛皮の動物を出し、それらで「ツクヨミ」をもてなしました。
それを見ていた「ツクヨミ」は
「汚らわしい」
と言って怒り「ウケモチ」を殺してしまいました。
「アマテラス」はそれを聞いて怒り 「ツクヨミ」に
「もう会いたくない」
と言います。
その後「アマテラス」は「ウケモチ」の所に使者を送ります。
すると「ウケモチ」の亡き骸の頭から馬、額から粟、眉から蚕、目から稗、腹から稲、陰部から麦、大豆、小豆が生まれました。
使者がこれらを全て持ち帰ると「アマテラス」は大喜びし、民が生きていくために必要なものだとしてこれらを田畑の種にしました。
「ウケモチ」とはどんな神か
「古事記」には登場せず「日本書紀」の一書にのみ登場する女神さまです。エピソードは「ツクヨミ」とのこのシーンだけですが、これが日本の「食物起源神話」です。
全国にある稲荷神社に祀られる「ウガノミタマ」と同一視され、「食物神」とされています。
また「頭から馬が生まれた」ということから 「牛や馬の神」ともされます。
岩手県花巻市の「駒形神社」では「馬の神」として「ウケモチ」が祀られています。
はるさん的補足
「食物起源神話」は「古事記」では「オオゲツヒメ」と「スサノオ」の物語として登場します。高天原を追放された「スサノオ」が「オオゲツヒメ」に食物を求めます。
「オオゲツヒメ」が鼻や口や尻から食べ物を出していたのを見た「スサノオ」は怒って「オオゲツヒメ」を殺してしまいます。
すると「オオゲツヒメ」の死体から蚕や稲や大豆、小豆は生まれ、それらを回収したのが「カミムスビ」です。
「オオゲツヒメ」も「ウケモチ」や「ウガノミタマ」と同一視されることがある女神です。
殺害された神の屍から植物が生まれるという神話は世界各地にあります。
それを「ハイヌウェレ型神話」と呼びます。
インドネシアの神話に登場する女神の名前から命名されました。
屍から植物が生まれるというのは「芋類を切断して地中に埋めると再生し食糧が得られることが背景にある」と考えられています。
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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