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『日本神話タロット 極参』棒ノ壱(ワンドのエース)
「ウマシアシカビヒコヂ」を簡単に説明すると
(「カミムスビ」の次)
「アメノトコタチ」の前
・「別天津神(コトアマツカミ)」の1柱(右又は上の図参照)
・「古事記」では「宇摩志阿斬訶備比古遅」と表記されている。
・「宇摩志阿斬訶備比古遅」とは「萌え出る葦の芽のような生命力を象徴する素晴らしい(男?)神」と意味。
・「現れた」後は「古事記」の文中に出てこない。
・独り神(性別を持たない神)とされるが、男神という解釈もある。
参考記事
棒ノ壱(ワンドのエース)の意味
・正位置新たな始まり、計画、誕生、大胆
・逆位置
自分本位、出遅れ、不信感、計画の失敗
『日本神話タロット 極参』棒ノ壱(ワンドのエース) 「ウマシアシカビヒコヂ」の解説文(写し)
別天津神の中で4番目に生まれた神で万物の生命力を神格化した神です。火には創造の力が宿っており、全てのものの成長を促します。
「ウマシアシカビヒコヂ」は「ヒノカグツチ」の炎を人間たちに与え、繁栄を促すとともに、危険だということも教えます。
「ウマシアシカビヒコヂ」の名前

「ウマシアシカビヒコヂ」もとても覚える気もしませんよね。
しかし、言葉ごとに分解して意味を考えると、どんな神さまなのか想像しやすいのです。
・「ウマシ」は素晴らしい、良い
・「アシ」は植物のアシ
・「カビ」はカビが生えるのカビですが悪い意味ではなく、「何もないところから生まれる」という意味
・「ヒコヂ」は男性を表しているとも、泥を表しているとも言われています。
つまり、「萌え出る葦の芽のような生命力を象徴する素晴らしい(男?)神」というお名前です。
まだこの国の形がない中、勢いよく現れた様子がわかりますね。
「古事記」の中での「アシ」という植物

成長が速く、加工しやすいことから、古くから親しまれてきたようです。
「古事記」にも度々登場します。
ここでは3つの例を紹介しましょう。
①「葦原中国(アシハラノナカツクニ)」
「葦原中国」は 「古事記」における地上世界のことです。正式には「豊葦原の千五百秋の瑞穂の国」といい「アシが生い茂り、永遠に穀物が豊かに実る国」という意味です。
ちなみに「ナカツクニ」というのは高天原と黄泉の国の中間という意味です。
②「アシ」で編んだ船
今と違って、身体の弱い子は亡くなってしまうことが多い時代です。「イザナミ」が最初に産んだ神は、「不具の子(ヒルコ)」でした。
そこで、「イザナギ」と「イザナミ」は「不具の子(ヒルコ)」をアシを編んで作った「葦船」に乗せて流します。
③「オオクニヌシ」の別称「葦原色許男」
「オオクニヌシ」には幾つかの名前があります。その一つが「葦原色許男(アシハラシコヲノカミ)」です。
「葦原中国の丈夫で強い男神」という解釈と「シコ」に「醜い」という字を当てて「葦原中国の醜い神」という解釈があるようです。
「オオクニヌシ」は美男で女好きな設定なので、私は個人的に「葦原中国の色男」と解釈しています。
さいごに
「アシ」は古代人にとって生活に欠かせない植物だったことがわかります。国の名前にも、神を乗せる船にも、「古事記」の主役の1人の名前にも「アシ」が使われていることから、神から与えられた恵みと考えられていたのかもしれません。
ですから「ウマシアシカビヒコヂ」は、その名前から日本の豊かさを象徴する神と言えるでしょう。
「ウマシアシカビヒコヂ」は出雲大社に祀られています。

古事記の他の記事
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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