「鏡ノ陸」 カップの6

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これまでのあらすじ

地上を治めるために降臨した「ニニギ(邇邇芸)」は「コノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜比売)」と恋に落ちます。

コノハナサクヤヒメ」の父「オオヤマツミ(大山津見)」は姉の「イワナガヒメ(石長比売)」も嫁にもらってもらおうとしましたが、
ニニギ」に容姿を気に入られず、送り返されました。

『日本神話タロット 極参』
 鏡ノ陸 (カップの6)
「幼き頃」

この記事には「コノハナサクヤヒメ」と「コノハナチルヒメ」が出てきます。
名前が大変似ているので「コノハナサクヤヒメ🌸」「コノハナチルヒメ🥀」と表記する事にします。

鏡ノ陸 (カップの6)の意味

正位置
原点回帰、再出発、過去を懐かしむ、子供らしさ

逆位置
過去の執着、辛い記憶の解消、新たな出会い

『日本神話タロット 極参』
 鏡ノ陸 (カップの6)
解説文(写し)

帰路で「イワナガヒメ」は美しく生まれて来た「コノハナノサクヤヒメ🌸」を恨みそうになりました。

コノハナノサクヤヒメ🌸」のことを考えていると、幼き頃を思い出しました。

コノハナノサクヤヒメ🌸」と遊んでいたことや、楽しい思い出が溢れてきました。

後に「イワナガヒメ」は、「スサノオ(須佐之男命)」の息子の「ヤシマジヌミノカミ(八嶋士奴美神)」と結婚しました。

 (「イワナガヒメ」を「コノハナチルヒメ🥀」と同一視して「ヤシマジヌミノカミ」と結婚したという説もあります)

参考記事

「古事記」におけるこの場面

「コノハナチルヒメ🥀」は「イワナガヒメ」か?

古事記」に「イワナガヒメ」としての記述はありませんが、
「スサノオ」の系譜の場面に登場する、
スサノオ」と「クシナダヒメ(櫛名田比売)」の息子「ヤシマジヌミノカミ」が
オオヤマツミ」の娘「コノハナチルヒメ(木花知流比売)🥀」と結婚したという記述があります。

そして「コノハナチルヒメ🥀」を「イワナガヒメ」と同一視する説があります。

参考記事「スサノオの系譜」

「イワナガヒメ」と「コノハナチルヒメ🥀」が同一視されることがある理由

同一視されるのは主に3つの理由が考えられます。

・共に「オオヤマツミ」の娘である

・「コノハナサクヤヒメ🌸」の「咲く」に対して

コノハナチルヒメ🥀」の「散る」という名前が対になっているから同じ時期に生まれ育った姉妹かもしれないと想像させる

・「イワナガヒメ」にも幸せになってもらいたいという後世の人の願い

「コノハナチルヒメ」=「イワナガヒメ」は無理があるか

時系列で考えると

・「コノハナチルヒメ🥀」は「オオクニヌシ」の5代先祖

・「オオクニヌシ」が国を平定して国譲りをしてから、「ニニギ」が天孫降臨した

・「ニニギ」が「イワナガヒメ」を拒否した

という順序です。

こうして見ると
「イワナガヒメ」=「コノハナチルヒメ🥀」説は若干無理があるような気もしますが、神話ですから優しさと夢のある解釈でもいいですね。

「イワナガヒメ」が妬んだという伝説

一方「イワナガヒメ」は「コノハナサクヤヒメ🌸」を妬んで憎み合う仲になってしまったという伝説もあります。

イワナガヒメ」は烏帽子山の雲見浅間神社に祀られ、「コノハナサクヤヒメ🌸」は富士山の浅間大社に祀られます。

烏帽子山

本居宣長の「古事記伝」には

「美人の妹(富士山)に嫉妬した姉(烏帽子山)が、雲見に逃れて小さな岩山に祀られ、優しい妹は心配して背伸びして探したので、ますます背が高くなって美しくなった」

と書かれています。、、、

イワナガヒメ」を祀る雲見浅間神社と「サクヤヒメ」祀る「浅間神社」(富士山)

地元には
烏帽子山に登って富士山を褒め讃えると海中に振り落とされる
などの伝説もあったようです。

「イワナガヒメ」の現在

イワナガヒメ」だけを祀っている神社は少ないですが、

全国の浅間神社で「コノハナノサクヤヒメ🌸」と共に仲良く祀られ

皆の縁結び長寿を見守って
くれています。

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