参考記事ラピスラズリから作る顔料
鉱物をすり潰して作る顔料は 色々あります カルサイト →白 ルビー →赤 孔雀石 →緑 などです 詳しくはこちらの記事をご覧ください 鉱物からつくる岩絵具 (顔料) どんな鉱物が絵具として使えるか それらの中で、一番有名で 一番高価な顔料の材料は ラピスラズリでしょう
ラピスラズリを使った顔料の歴史
最初は「原産地」アフガニスタン
ラピスラズリを粉末にして顔料として最初に利用されたのは
6〜7世紀に出来たと言われる
アフガニスタンの寺院の洞窟画とされています
これは、すべての鉱物を顔料として使った物の
最初の物と言われています
現在も
バーミヤン石窟(アフガニスタン)の 天井画や
キジル石窟(中国ウイグル自治区)に
鮮やかな色彩が残っています
イタリアで人気に
14〜15世紀にかけて、イタリアの装飾写本や陶板画に
使用されるようになりました
「べリー公のいとも豪華なる時祷書」 が有名です
また、14、5世紀には壁画にも
多く使われました
この時期が使用量の最盛期だった
ようです
スクロヴェーニ礼拝堂 の壁画が有名です
海を渡って来たから
「ウルトラマリン」
14、5世紀にはラピスラズリの原石がアフガニスタンから海路で
イタリアのヴェネツィアまで
運ばれて来ていました
そのため
ヨーロッパではこの顔料は
「ウルトラマリン」
と呼ばれていました
金より貴重な
「ウルトラマリン」
「ウルトラマリン」はラピスラズリをただ砕いた物ではなく、
ラピスラズリから青の成分を抽出し、
濃縮させなくてはいけないなど、
手間のかかる顔料です
したがって、非常に高価な
顔料となり
「金より貴重な顔料」
と呼ばれるようになりました
「ウルトラマリン」を
手に入れた主な画家と
入れられなかった画家
手に入れた画家
フラ・アンジェリコ1425年頃、描かれたとされる
「受胎告知」(画面1番上参照)は初期ルネサンスの傑作と 言われています
修道士だったフラ・アンジェリコは
マリアさまの羽織る布に
ふんだんに「ウルトラマリン」を
使用しました
ラファエロ
若々しい聖母マリアと幼児キリスト
ひざまずくヨハネを描いた
「牧場の聖母」もマリアさまの
羽織る布に「ウルトラマリン」
を使っています
1506年、ラファエロが23歳の作品です
フェルメール オランダ人のフェルメールも
ラピスラズリの顔料に魅せられた
画家の1人です
「真珠の耳飾りの少女」は1665年の
作品です
フェルメールは、「真珠の耳飾りの少女」や
「牛乳を注ぐ女」など、身分の高くない人の
風俗画に「ウルトラマリン」を
使用しました
高価な「ウルトラマリン」を
たくさん使ったため、
家族は困窮してしまいます
しかし、後世、「ウルトラマリン」は
「フェルメールブルー」とも呼ばれるように
なりました
手に入れられなかった画家
ミケランジェロ高価な上に流通量も少なかった
「ウルトラマリン」を
手に入れられなかった画家は
たくさんいます
その1人がミケランジェロです
ミケランジェロが1500年頃製作した
「キリストの埋葬」は右下の部分が未完成です
そこに「ウルトラマリン」の
マントを羽織ったマリアさまを
描きたかったのではないかと推測されています
しかし手に入れることが出来なかった
だから、この絵は未完成で終わってしまったのだ
と、言われています
「ウルトラマリン」のその後
1828年にドイツ人の研究者クリスティアン・グメリン氏によって
「ウルトラマリン」の代わりの顔料が
開発されました
高品質で安価な代用品が出たことで
「ウルトラマリン」は徐々に
姿を消していくことになりました
でも、今でも、
天然「ウルトラマリン」に
こだわる画家はいるので
生産はしているそうです
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