『北海道石』2023年に「新鉱物」として登録された蛍光する有機鉱物
北海道石

鉱物は6000種以上あると言われていますが、まだ新しい鉱物が発見され続けています。

2023年に北海道の「とかち鹿追ジオパーク」のエリア内から産出された鉱物が「北海道石 (ホッカイドウセキ) 」として国際鉱物学連合に承認・登録されました。

北海道石はオパールの中に含まれていて通常時はオレンジからベージュ、紫外線ライトを当てると黄色〜黄緑色や青色に蛍光するのが特徴です。

上の写真は紫外線ライトを当てた時の物ですが、紫外線によって蛍光する表層の緑色部と表層近くの黄色部が北海道石 です。

盗掘を防止するため具体的な産地は明かされていませんが、無許可での採掘は禁じられている場所にあります。

それでも盗掘をして書類送検された人がいます!

絶対に採石をしないようにしましょう。

北海道石について

上の写真で、北海道石は黄色や黄緑色に光った部分で、全体は (宝石質ではない) オパールです。

北海道石の名前の由来と英語名

北海道河東郡鹿追町と上川郡愛別町で発見されたことから「北海道石」と命名されました。

英語表記はそのまま「Hokkaidoite (ホッカイドウアイト)」です。

北海道石の成分

北海道石は炭素と水素のみから成る、とても珍しい有機鉱物です。

化学式は

C22H12

と表されます。

鉱物は「天然に産出する無機質で一定の化学組成結晶構造を有する固体物質」とされています。

しかし、天然には生物活動によらずに生成される有機物も存在し、これらを慣例的に有機鉱物として扱っています。

生物由来の有機物は分解されやすく、成分が集まって結晶化する(鉱物になる) のはめずらしいので

これまで見つかった鉱物の99%は無機鉱物です。

はる
ちなみに
真珠
琥珀
・サンゴ
・べっこう
などは有機生物起源の宝石ですが厳密には鉱物ではありません。
(地質学的な作用で生成された結晶ではないため)

有機鉱物の多くは海底や地下深部にある古生物の亡骸が変質して生じたものと考えられています。

北海道石も火山の熱や熱水により、古生物の亡骸が変質した鉱物と推測されています。

北海道石の種類

北海道石は現在までに2ヶ所で見つかっています。

鹿追町で見つかった物

北海道河東郡鹿追町


オパール中に含まれています。

上川郡愛別町で見つかった物

上川郡愛別町


石英(二酸化ケイ素)の鉱脈に含まれています。

まだ他の地域でも発見が期待されますね。

🪨

ただし、山や海などの自然公園・国立公園・県立公園は、「自然公園法」という法律があり、環境保護のために国や県によって管理されています。

また、保護されている地域でのストーンハンティングや、天然記念物として保護されている鉱物の採取は、その地域の法律・規制の遵守が必要です。

北海道石は許可を取らずに採取することはできません。

北海道石を含むオパールの産地は、町の指定文化財エリアや国立公園、保安林エリア内にありますので勝手に採らないようにしましょう!

北海道石の硬度

モース硬度 7

北海道石は紫外線ライトで蛍光する

紫外線ライトを当てた北海道石

上の写真の黄色や黄緑色の粒々が北海道石です。

蛍光しているのがわかりますね。

何故蛍光するかというと、、

通常は人の目には見えない紫外線が北海道石の結晶によってエネルギー変換され、可視光線として見えているということらしいです。

北海道石の石言葉

まだありません。

北海道石 誕生日石

現在の誕生日石には選ばれていません。


💎参考記事

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

北海道石から期待できること

北海道石は世界に10種類しかない炭化水素(炭素と水素の化合物)の有機鉱物の1つです。

北海道石は鉱物学と有機化学という2つの分野を橋渡しする存在になるかもしれません。

例えば有機鉱物である石油も炭化水素を主成分としています。

北海道石を研究することで有機化合物の変化のプロセスがわかってくれば、ゆくゆくは石油がどんな化学的プロセスを経て生成されているのかを解明することも期待できます。

北海道石の産地


今のところ

・北海道河東郡鹿追町

・北海道上川郡愛別町

のみで見つかっています。



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コメント一覧
  1. この度の鉱石の発見は昨年のいつ頃にメディアにて報道されましたのでしょうか…
    鉱石の発見はもとよりエネルギーの生成過程の新発見なのかも知れませんね。
    ブログの冒頭にて“水素、炭素”のフレーズを拝見し石油をひらめきました
    拝読に連れ“石油”の文字を確認し此れは大発見ではないかと思いました…
    ダイヤモンドは炭素。水素には計り知れない作用は潜んでいるやも知れません。

    • ありがとうございます♪
      2023年I月に登録されました。
      ジオパークで公開されたのは2023年10月で上野の科博でも展示されました。
      私が撮った写真は2024年9月の豊橋自然史博物館で展示されていた物です。
      水素と炭素で石油をすぐに連想できるのは凄いです。
      これから日本でも石油を生成できるようになるかもしれませんし、環境に配慮したエネルギー資源が生まれるかもしれませんね。
      有機鉱物の蛍光する様子は綺麗というより力強いという印象でした。

  2. 北海道石、蛍光ライトを当てると、中程のは、グラデーションがきれいですが、間近で見るとやはり力強いのでしょうね。
    用途は石油の研究の他、紫外線の強さの測定でしょうか。
    採取するときは、蛍光ライトを使用するのですね。

    • ありがとうございます♪
      北海道石はかなりはっきりした色に蛍光します。
      古代生物の死骸からの成分と聞くと納得します。
      蛍光ライトはハンディタイプの物があり、採石する人は大抵持っていると思います。

  3. 紫外線ライトを当てたら、これだけハッキリ蛍光するんですね。炭素と水素のみから成る有機鉱物は本当に珍しい物なんですね〜いつも不思議に思うんですが、最初に新鉱物を発見する人は、どういう点に着目してるのかな?紫外線ライトを持ち歩いてる訳ではないですよねー

    • ありがとうございます♪
      紫外線ライト、もちろん持ち歩いていると思いますよ!
      ちなみに私も田舎道を歩く時は時々持っていきます(笑)
      ただ、炭素と水素で構成されていたことを発見した時は驚いたでしょうね

  4. C22H12・・無機物っぽくない素性ですね。。こちらの分子の構成が、蛍光を発する原因となっている、と。。
    いっろいろと、不思議な事を含んだ石です。。なんだかクラシック音楽でいうところの現代音楽(というか、理解するのが難しいいろんなテーマを併せ持ったりしているクラシック音楽曲)という感じも受けました。。
    豊橋にあったのですか?!のんほいパークにはまた行きたいと思っていたところでしたので・・こんど行った時には再度、しっかり見てこようと思います!

    • ありがとうございます♪
      有機鉱物というのは私のブログで初めてです!
      クラシック音楽で言うと、、、時々鳴るトライアングルのような存在かと
      思いました。
      よく聞いていないとわからないみたいな。
      豊橋にありましたが、夏休みの特別展ですのでもうないと思います。

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