『エマイユ』(七宝焼)ツタンカーメンのマスクにも使われた芸術的技法

「エマイユ」(七宝焼)

「エマイユ」とは金や銅や銀にガラス釉(ユウ)を焼きつける複合工芸で、「七宝」に相当する仏語です。

ガラス釉とは

陶磁器の表面を覆うガラス質の薄い膜のことです。

英語では「エナメル」といいます。

古代エジプトではツタンカーメンのマスクなどの宝物にすでに使われており、11〜12世紀頃からはヨーロッパで装飾品、陶器などに焼き付けられるようになりました。

日本では安土桃山時代後期に技法が入ってきたと見られており、江戸時代に発達し

明治時代には輸出向けに多くの七宝焼が作られました。

「エマイユ」について

エマイユ

「エマイユ」の名前の由来と和名

エマイユ(Email)はフランス語で七宝という意味です。

美しいことから命名されたようです。

和名はそのまま「七宝焼」です。

※「七宝焼き」ではなく「七宝焼」が正しい表記です。

仏教において「七宝」とは
「金、銀、玻璃、クォーツ、しゃこ、珊瑚、メノウ
の7つを指します。
玻璃はガラスかラピスラズリクリソベリルのようです。

「エマイユ」の成分

金属素地は

金・銀・銅・青銅・鉄など

ガラス釉は

二酸化珪素を主成分とする鉱物資源から作成されたフリットを砂状、粉末状にしたものが多いです。

フリットとは

二酸化珪素を主成分とする鉱物資源から作成されたガラス質を砂状、粉末状にしたもので

600℃以下程度の低温で軟化・変形・流動するのが特徴です。

「エマイユ」の基本的な製法

エマイユの飾り絵

金属板の上に透明または不透明なガラス質の粉末をペースト状にした釉薬を置き800度前後で焼成し、それを冷やして金属に固着させるものです。

図柄は色ごとに釉薬を置きながら絵付けと窯入れを交互に繰り返し焼成し描きだします。

その技術は作品の目的や表現に応じてより多く高度なものとなりました。

「エマイユ」と「ホーロー」の違い

ホーローの鍋

「ホーロー」の鍋やコップを使ってらっしゃる方は多いと思います。

「ホーロー」は「エマイユ」とは違うのでしょうか?

「ホーロー」も鉄などの金属にガラス釉を焼き付けた物です。

ですから「エマイユ」とよく似ています。

しかし「エマイユ」が色ごとに釉薬を置きながら絵付けと窯入れを交互に繰り返し焼成し描き出すのに対し、

ホーロー」は下地の鉄とエナメル質をつなぐ役割の釉薬を焼きつける作業があり、 釉薬もホーロー用に調合されたものを使います。

つまり「エマイユ」は工芸品なのです。

はる
ちなみに
「ホーロー」は琺瑯と書きます。
「中国語で琺瑯という言葉は七宝質という意味で、梵語で七宝質のことを払菻嵌といい、 それが
「払菻嵌→払菻→発藍→仏郎嵌→法郎→琺瑯」
のように変わって行ったという説があります。(発音は不明です、、)
となると、「ホーロー」も七宝という意味なのですね!

「エマイユ」の硬度

モース硬度 7

💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度

「エマイユ」の光沢

ガラス光沢

💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」

エルメスのバングル「エマイユ」(友人私物)

「エマイユ」の石言葉

多面性

「エマイユ」誕生日石

エマイユは 3/18 の誕生日石です。

💎参考記事

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

エマイユ

「エマイユ」の主な生産地

フランス🇫🇷 リモージュ市が有名

日本🇯🇵 愛知県のあま市七宝町名古屋市が有名です。

にほんブログ村

おすすめの記事