「創世神話」とは人類・地球・生命・宇宙の起源を説明する物語のことです。
「古事記」の中でも天地開闢の場面はフワッとしていて心で読むしかないのですが、他の国の神話の「創世神話」はどのようなものでしょうか。
幾つか紹介します。
日本の「創世神話」
日本の「創世神話」は「古事記」に記された「天地開闢」の場面です。
詳しくは「天地開闢」(世界)「天沼矛」 を見ていただきたいのですが、簡単に書くと
という流れです。
この記事では世界の創世神話を大別する5つの型を紹介し、その例を紹介します。
「創世神話」の5つの類型 日本は④
世界各地には数多くの創世神話が伝承されています。
それらは主に5つの型に大別することができます。
①宇宙卵型
卵から世界が生まれたというモデルです。
東南アジアやフィンランド、古代ギリシャのオルフェウス教の創世神話に見られます。
②潜水型
先に一面水浸しの世界があり、神や動物が水底の泥から世界を作るというモデルです。
ユーラシア北部から北アメリカに多く見られます。
③世界巨人型、死体化生型
神や巨人などの死体から、天体の運行などの自然現象や、食糧が生じたというモデルです。
中国、インド、アイスランドなど世界の広い範囲に見られます。
④世界両親型
神の両親から生まれてというモデルです。
イザナギとイザナミは兄妹という設定ですが、日本神話は世界両親型に含まれます。
⑤一神教型
造物神が原初の混沌から世界を創り出すというモデルです。
・プラトンが著した「ティマイオス」に登場する世界の創造者デミウルゴス
・ユダヤ教における唯一神のヤハウェ
などがあります。
①宇宙卵型の例
フィンランド神話
フィンランド神話は18世紀まで口伝によって継承された神話です。
フィン族は精霊を信仰し、原始宗教的な伝説を守っています。
フィンランド神話の創世
この世界は鳥の卵が破裂してできあがったものだとされている。
また空は卵の殻かテントのようで、北にある北極星まで届く大きな柱がそれを支えているのだと考えられていた。
フィンランド神話では鳥の存在が重要視されており、
・鳥が季節によって天の川とフィンランドを行き来している
・人が生まれる瞬間に鳥が魂を運んできて死の瞬間に運び去る
など、鳥が信仰の対象となっていました。
②潜水型の例
北米インディアンのナバホ族に口伝で伝わる「ナバホ族の創世神話」があります。
ナホバ族の創世
この世界は霧や水に浮かぶ小さい島の大きさでとても狭く、真っ暗だった。
このダークワールドから、ナバホ族は現在の世界への脱出の旅を始める。
最初、女性は黒い雲で男性が白い雲でした。
そして空で雲が出会い人間が生まれたのですが壮大な自然との共生と生命の誕生がかなり具体的に書かれています。
③世界巨人型、死体化生型の例
中国神話は主に漢民族に伝わるものを指します。
伝説や歴史や宗教の集合体で、口伝、寓話、儀式、戯曲、書物などの形で残されて、
長江文明、遼河文明、少数民族の神話も含まれています。
中国神話の創世
盤古(バンコ)が天地開闢の創世神とされています。
盤古は、混沌の中で生まれ
その後、身長が1日ごとに伸び、その成長と共に天地が分かれます。
別の伝説によれば、斧などで切り開いたという話もあります。
やがて盤古は死に、その死骸は山や海や川や太陽になりました。
人間は女媧(ジョカ)という女神が泥や黄土をこねて造ったのが始まりとされています。
④世界両親型の例
日本のイザナギとイザナミのように「世界はひと組の男女から生まれた」とする型です。
日本の神話はギリシャ神話の影響を受けているという説があるように、似ている所があります。
ギリシャ神話の創世
カオスだった世界に大地の女神ガイア、冥界の神タルタロス、愛の神エロスが生まれます。
ガイアは天空の神ウラノスを生みます。
ガイアとウラノスは親子ですが結ばれ
山や木・花、鳥や獣、星を産み出しました。
ガイアは海の神オケアノスや大地の神クロノス、豊穣の神レア、など12人のティタン神族を産みます。
しかしガイアが目が一つのキュクロプス族、100の手と50の頭を持つヘカトンケイル族を産むと
ウラノスはこれらの子供を嫌い、生まれるとすぐにタルタロス(冥界)に閉じ込めました。
ガイアはウラノスに腹を立て、息子のクロノスに斧を渡してウラノスの男根を切り落とさせて海に男根を投げ込みます。
この時、海にこぼれた精液からアフロディーテなど多くの神が生まれます。
日本神話はイザナギ・イザナミが誕生するまでに多くの観念的な神が誕生しますが、2人の男女が多くのものを造ったとするところは似ています。
また、一般的な夫婦ではなく「親子だけど結ばれる」ガイアとウラノスは「兄弟だけど創り出す」イザナギとイザナミやアマテラスとスサノオと共通した神秘性を感じます。
息子のキュクロプスやヘカトンケイルを嫌うウラノスはカグツチを殺したイザナギを連想させ、
精液から神が多くの神が生まれるというのはイザナミの排泄物からトヨウケビメなどの神が生まれたことに似ていますね。
⑤一神教型の例
イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の思想の基礎となっているのは「旧約聖書」と呼ばれる書物です。
イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の神は同じ一人の神ですが
呼び名がイスラム教の場合はアッラー、ユダヤ教はヤハウェ、キリスト教はゴッドになります。
旧約聖書の天地創造
- 1日目 神は天と地をつくられた(つまり、宇宙と地球を最初に創造した)。暗闇がある中、神は光をつくり、昼と夜ができられた。
- 2日目 神は空をつくられた。
- 3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物を生えさせた。
- 4日目 神は太陽と月と星をつくられた。
- 5日目 神は魚と鳥をつくられた。
- 6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくられた。
- 7日目 神はお休みになった。
というようにお一人の神が7日間で万物をお造りになったとされています。
世界各地に創世神話があり、面白く作られていますね。
興味があるものはありましたか?
ここではあらすじの紹介になってしまったので、じっくりと読んでみると面白そうですね。