『マーカサイト』(白鉄鉱) アンティークでよく見かける黒いブツブツ
マーカサイトのブローチ

マーカサイトパイライトと同じ成分の硫化鉱物です。

空気中の水分と反応して黒ずむため、ブラックダイヤモンドの代用品装飾品としてビクトリア様式のアクセサリーなどによく使われています。

マーカサイトについて

マーカサイト

マーカサイトとは

マーカサイトは鉄の硫化鉱物です。

鉄や硫酸の原料として使われています。

アンティークのジュエリーで、「シルバーかな?」と思う物のいくつかはマーカサイトかもしれません。

アクセサリーに使われている場合の多くは「1ミリくらいのカボションカットを施されて黒く光っている物」です。

マーカサイトの名前の由来と和名

マーカサイトという名前はアラビア語で「火の石」を意味する「marqashith (マルカシータ)」に由来します。

ただしマーカサイトとパイライトは同じ鉱物だと思われていたため、「marqashith (マルカシータ)」はパイライトも含む鉱物を指していました。

18世紀になってマーカサイトとパイライトが別の鉱物だと判明し、区別されるようになりました。

ですからアンティークジュエリーで「マーカサイト」と書かれている場合、現在のマーカサイトよりも(手に入れやすい)パイライトのことが多いようです。

マーカサイトを「マルカジッタ」と(読む)言うこともあります。

マーカサイトの和名は白鉄鉱(ハクテッコウ)

ちなみにパイライトは黄鉄鉱です。

マーカサイトの成分

マーカサイトは硫化鉄鉱物です。

化学式は FeS2 (パイライトも同じです)

はる
マーカサイトは空気中の水分と反応して硫酸を作るので、単独で密閉保存しましょう。

マーカサイトとパイライトの違い

マーカサイトとパイライトは化学組織は同じFeS2ですが、結晶構造が違います。

パイライトとマーカサイトの構造 (この図は「はじめよう固体の科学」さんのページがらお借りしました)

このように化学組織が同じなのに結晶構造(原始の配列)が異なることを同質異像といいます

はる
同質異像の例としては

カイアナイトシリマナイトアンダリュサイト

・石墨とダイヤモンド

などがあります。

マーカサイト低温・アルカリ性の条件下で

パイライト高温・酸性の条件下で生成されます。

マーカサイトの方が産出量が少なく、黒くなりやすい性質です。

マーカサイトの硬度

モース硬度 6〜6.5

💎参考記事

石の硬度を表す「モース硬度」 

マーカサイトの光沢

金属光沢

💎参考記事 

金属や石の印象を左右する7つの「光沢」

マーカサイトの石言葉

思い出

憧憬

マーカサイト

マーカサイト 誕生日石

12/31

💎参考記事

12ヶ月の誕生石と366日の誕生日石

マーカサイトの主な産地

マーカサイトは日本を含む世界中で採ることができる鉱物です。

宝石質のマーカサイトは

・オーストリア 🇦🇹

・ボリビア 🇧🇴

・チェコ 🇨🇿

・イングランド 🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿

・フランス 🇫🇷

・ドイツ 🇩🇪

・ミャンマー 🇲🇲

・スロバキア 🇸🇰

・アメリカ 🇺🇸

日本では鹿児島県、青森県、岩手県などで採れます。

にほんブログ村

コメント一覧
  1. この度のマーカサーライトは鉱石時と宝飾時の大きな色彩の相違に驚きます。
    硫酸とは酸化を高める効用も…その酸化により黒ずむのでしょうか?
    カボションカットを用いる利点はマーカサーライトに関しては不透明な光沢を人工的に輝かせ宝飾として価値を高める為なのでしょうか?

    • ありがとうございます♪
      マーカサイトは硫黄が含まれていることから塩化(黒くなる)しやすいのです。
      でも、黒い膜のようなものですので、鉄が錆びているわけではないことから、古代のアクセサリーも残っているのですね。
      マーカサイトは柔らかいので大きなアクセサリーだと変形してしまうこともあるので、小さな細工があっているのでしょう。
      ブラックダイヤモンドの代わりとはいえ、柔らかい素材をカットする加工よりカボションの方が簡単だったのだとおもいます。
      マーカサイト自体にがありふれた物なのでアクセサリーとしての価値はあまり高くありません。
      なので加工に手間をかけても、、、という思いがあったと思います。
      でも、鉄や針金のアート作品もありますから、マーカサイトを丁寧に加工している方もいらっしゃるとは思います。

  2. マーカサイトは、産出されるときは、パイライトと同じ黄色なのですね。
    空気に触れると、銀色や黒っぽくなるのですね。
    パイライトは水と反応しないので色が変わらないと考えてよいでしょうか?
    同質異像の結晶構造の説明がわかりやすかったです。ありがとうございました。

    • ありがとうございます♪
      マーカサイトは空気に触れるとすぐに変色するようなので、掘り出したばかりはわかりませんが、マーカサイトとパイライトは長い間同じ鉱物だと思われていたのですから、見分けられないほど
      似ているのでしょう。
      ただし、結晶構造の形がマーカサイトの方が尖っていて、パイライトは立方体に近い形をしています。
      パイライトも硫化鉱物ですから、硫黄が反応して黒くなります。
      ただ、マーカサイトの方が直ぐに黒くなるようですね。
      石屋さんなどでマーカサイトはよく見かけますが、黒ずんでいる物もありますが金色を保っている物もあります。

  3. マーカサイトは黒光りしてても、“白”鉄鉱なんですねー
    カボションカット効果か?ブラックダイヤモンドのイメージにピッタリですね。パイライトと違って、空気に触れると変色してしまっても、いぶし銀の様な良さがあって、装飾品として魅力があるのでしょうね!

  4. あれ、以前に投稿させていただいたのがうまく出来てなかったかも知れませんm(_ _)m

    こちらは硫化鉄なんですね。ありふれたものでありながら銀と見紛ってくれるなら願ったりかなったりというか。カボションカットと同質違像というのを初めて知りました。組成は同じCでも黒鉛とダイヤモンド、硫黄Sが斜方イオンと単斜イオンあとゴム状イオン等いろいろある、みたいな「同素体」とも違うのですね。
    モース硬度はまずますあるけど、化学的に反応して硫酸になってしまったりするのですか!
    (名前に「硫化」が入ってくるとドキッと少し警戒してしまいます。)
    本当に勉強になります。ありがとうございます。

    • ありがとうございます♪
      パソコンの調子が悪いのでこちらで消えてしまったかもしれません。
      すみません。
      硫化鉄の黒くなる性質をこんなに魅力的に使うことを考えた方って凄いと思います!
      ダイヤモンドと黒鉛は同素体でもありますが、同素体は1種類の元素からなる物をさすそうなのでマラカイトとマーカサイトは同素体ではありませんね。
      マーカサイトは硫酸の原料なので、大きな塊は危険な感じがしますね。

コメントを残す

クリスタルの関連記事
おすすめの記事