(110)『古事記』日本神話タロット 剱ノ2 景行天皇②オオウスノミコト
剱ノ弐(ソード2)「オオウスノミコト

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これまでのあらすじ

第12代景行天皇が即位しました。

景行天皇には多くの后と御子がいます。

景行天皇の后を奪った大碓命(オオウス)

この記事に関係のある皇族の系譜

古事記におけるこの場面

景行天皇美濃の国造の祖先である「大根王(オオネノミコ)」の娘の「兄比売(エヒメ)」「弟比売(オトヒメ)」の顔立ちが美しいと聞き、お召しになろうと決めました。

そして皇子の「大碓命(オオウス)」を派遣しました。

けれども「大碓命」は自分自身でその2人の乙女と結婚し、その上で別の2人の女性を探し、偽って天皇がお求めになっている女性の名前を名乗らせて、景行天皇に差し出しました。

しかし景行天皇は2人の女性が求めていた女性ではないことにお気づきになり、その方々と結婚しませんでした。

そして長い間「大碓命」への恨みを自制し、悩まれていました。

そして「大碓命」が

・「兄比売」と結婚して産まれた子は「押黒兄日子王(オシクロノエヒコノミコ)」といい

美濃宇泥須和気(ウネスワケ)の祖先になります。

・「弟比売」と結婚して産まれた子は「押黒弟日子王(オシクロノオトヒコノミコ)」といい

牟冝都君(ムゲツノキミ)の祖先となります。

景行天皇は「小碓命(ヤマトタケル)」に

景行天皇
どうしてお前の兄「大碓命」は朝夕のお食事に出て来ないのか。
お前がたっぷりと「ねぎつること」(教え諭)しなさい。

と仰せになりました。

しかし5日経っても「大碓命」はやはり御前に出てきませんでした。

そこで景行天皇は「小碓命(ヤマトタケル)」に

景行天皇
どうしてお前の兄はいつまでも出て参らないのか。
まだ「ねぎつること」して(教え諭して)いないのか。

小碓命(ヤマトタケル)」は

ヤマトタケル
もう「ねぎつること」をしました。
景行天皇
どのように「ねぎつる」をしたのか。

と仰せになりました。

ヤマトタケル
明け方、兄が厠に入った時に、待ち構えて捕まえ握り潰して、手足をもぎ取る「ねぎつる」をして薦(コモ)にくるんで投げ棄てました。

と答えました。

薦(コモ)

日本神話タロット 極参剱ノ弐(ソード2)「オオウスノミコト」

剱ノ弐(ソード2)の意味

正位置

延期、先送り、バランスをとる、事実を見ない、否定

逆位置

迷いや不安、判断ミス、軽率な行動

解説文写し

父に嫁ぐはずだった大根王の娘の兄比売弟比売の姉妹を見に行った時に、あまりにも美人だったので、自分のものにし、父である天皇に別の娘を贈り、恨みをかいました。

そのために父の景行天皇がこらしめてくるようにと指示を出した弟のオウスノミコトに手足を潰されて殺されてしまいました。

参考記事

日本神話タロット「極参」

はるさん的補足 「ねぎつる」2つの意味

景行天皇は「ねぎつる」という言葉をよく教え諭しなさいという意味で使いました。

ねぎつる」は本来は労わる、ねぎらうという意味でしたが、

お相撲さんが言う「可愛がり」のように、シゴくという意味もありました。

なので「小碓命(ヤマトタケル)」は違うニュアンスで捉えてしまったようです。

大碓命」が代わりに連れてきた女性と景行天皇が結婚しない様子を見ていたので「小碓命(ヤマトタケル)」は殺して欲しいと頼まれたと思い込んでしまったのでしょう。

この勘違いが後々悲劇を生むこととなります。

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コメント一覧
  1. 才色健躾 より:

    何度、読みましても”どの様に意思疎通は出来なかったのか…”理解できません。
    景行天皇のお気持ちを汲み間違えていたことは分かります
    しかし”死に至らしめなさい。”と解釈することにヤマトタケルさまの何かしらの思惑は感じ取れます。
    此方の勘違いによる悲劇とは…。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      景行天皇はオオウスがした事にショックを受けたでしょうね。
      それを
      間近で見ていたヤマトタケルは誤解してしまったのでしょう。
      後継者が決まっていないこの時代、父親に気に入られたかったのだと思います。
      悲劇ですね。

  2. さゆ より:

    大碓命が連れてきた女性は、弟比売、兄比売ほどは綺麗ではなかったのでしょう。このお二人は、その後どうなったのでしょう。故郷へ帰ったのでしょうか?
    大碓命は、自分の務めを果たさなかったばかりか、嘘をついた罪は深いですが、その代償はあまりに大きかったですね。
    ここまでしなくても良かったのであれば、言葉を間違って解釈して、命令に従った小碓命が悪いことになってしまいそう。景行天皇は、優しいお方だと思うのですが、自分で美人を連れてきたり、自分で諭したりすれば、こんなことにはならなかったと思います。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      兄比売と弟比売は美しいだけでなく家柄も立派なので正妻候補にれますよね。
      オオウスは随分酷いことをしたと思います。
      代わりの女の子たちは妻にもしてもらえず、どうなったんでしょうね。
      さゆさんが仰るように、自分で迎えに行けばいいのに、、と思います。
      そして、子供たくさんいるのに、まだ結婚したいの?とも思います。

  3. ミカリン より:

    景行天皇は、尽きる事なく女性を所望されたのですね。美人を手に入れたいという欲望は、男性の本能ですね。ヤマトタケルは父親に気に入られたかったかった他にも、兄への羨望、嫉妬が多少あったのかもしれません。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      ミカリンさんの表現が的確かつ面白くて吹き出してしまいました。
      仰るとおり、私もヤマトタケルはただの誤解ではなく、兄に対して思うところがあったように思います。

  4. Yoshi より:

    「誰か異性を紹介するはずが、間に入った者がその人を気に入ってしまい・・・」ありそうな話ですが、代償大きすぎです(~_~;)
    確かに。正義感とか嫉妬とか(父親に気に入られたいという)下心とか、いろんな可能性が考えられます。もしかしたらそれら全部がごっちゃになっていたかもしれませんね。
    というか景行天皇としても「誰がそこまでやれと言った?!」だったかもしれません(^^;

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      この場合は既に后になることが決まった上での横取りですから、タチが悪いですね。
      しかも替え玉まで用意して天皇を騙した。
      言語道断ですね。
      景行天皇もさっさと自分で罰すればいいのに。
      古事記での景行天皇は面倒なことは全てヤマトタケルに任せ、美女を求め続けた方という印象です。
      日本書紀では全く違うんですけどね。

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