(74)『日本神話タロット』鏡ノ伍「イワナガヒメ」
鏡ノ伍(カップ5)「イワナガヒメ」

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これまでのあらすじ

地上に降臨した「ニニギ(邇邇芸)」は美しい「コノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜比売)」と出会い、恋に落ちます。



コノハナサクヤヒメ」の父「オオヤマツミ(大山津見)」に結婚の許しを得ようとしたところ、許可はしてくれたものの、「コノハナサクヤヒメ」の姉「イワナガヒメ(石長比売)」も添えられて来ました。



ニニギ」は「イワナガヒメ」の容姿が気に入らないので返してしまい「コノハナサクヤヒメ」と一夜を共にしました。

『日本神話タロット』鏡ノ伍
「イワナガヒメ」

鏡ノ伍(カップ5)カードの意味

正位置
リセット、損失、台無し、破綻

逆位置
再出発、過去との決別

『日本神話タロット 極参』
鏡ノ伍
「イワナガヒメ」解説文(写し)

この記事に出てくる神々の系譜

頑ななニニギをよそに、オオヤマツミイワナガヒメも共に嫁がせましたが、美しくないイワナガヒメを、すぐにオオヤマツミの元へ送り返してしまいました。

イワナガヒメは自分はどうしてこんなにも醜く生まれてしまったのだろうと悔やみました。

鏡に自分を映しても醜い自分が映るため割ってしまいます。

三枚目の鏡を見た時、そこにはものすごい形相の般若が映っていました。

五枚持っていた鏡の残りの二枚は良い表情をした自分が映るはずでしたが、そのことにはまだ気づいていません。

参考記事

「古事記」におけるこの場面

なし

はるさん的補足
「イワナガヒメ」のその後を占ってみる

時間が経って、カップ8の心境に

古事記」には「イワナガヒメ」という名前では「送り返された」後の記述はありません。

ですのでたまにはタロット占い師らしく、カードから「イワナガヒメ」の心情を考えてみる事にしました。

この「カップの5」は悲しみや傷心のカードです。

イワナガヒメ」は期待した物が手に入らず、悲しい気持ちでいっぱいで周りが見えない状況でしょう。

また、何らかの後悔もあったのかもしれません。

まあ当然ですね。

そこで「カップの5」のアフタータロット(写真 左から2番目)を見てみましょう。

アフタータロットとは、タロットカードの少し後を見るカードです。

このカードを見る限り、悲しみが深いせいか、まだ周りは見えておらず自己嫌悪の状態だと思います。

そこで数ヶ月後の「イワナガヒメ」の心情をカップのカードの中から引いてみました。

カップの8」(写真 右から2番目)が出ました。

このカードは次の目的地へ向かう意思が固まったことを示すカードです。

まだまだ幸せにはなっていないけれど執着していた物から心が離れ、傷も癒えてきたようです。

カップの8」(写真 右端)のアフタータロットも見てみましょう。
女性がカップを覗いています。

恐らく、執着していた物がそれほどの物でもなかった事に気づいたのでしょう。

ニニギ」に送り返された時は傷付いて、自己嫌悪になったけど、考えてみたら大した男ではなかったわ!
っていう感じでしょうか。

きっと未練なく前を向けたことと思います。

次回は異伝として語られる「イワナガヒメ」=「コノハナチルヒメ」説の紹介です。

古事記」を読んで「イワナガヒメ」にも幸せになってもらいたいと思う人は多いでしょう。

そこで生まれた説です。

お楽しみに!

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コメント一覧
  1. よしちゃん より:

    カップは「鏡」だったんでした。三つを「壊してしまった」話、なるほどそう来るのか!と。

    その後がカップの8というのはも良いですね。
    アフターの方だと女性が残されたカップをのぞいて見ている、こぼれてしまったものの事ばかりを言うでなく、「残ったものに目を向ける」という事は本当に必要な事だと思います。むしろ「何故失ったものの事ばかり言う?残ったものに目を向けようとしない?」みたいに思う事を多々経験した&失った事ばかりを言うのは好きではない姿勢なので。

    というか、ある程度の年齢になるにつれ、「身体の丈夫さ」の大切さを痛切に実感させられたりもして。イワナガヒメがもしもこの時にはどれだけ傷ついたとしても・・・ですね。

    記紀には無いエピソードの補足・考察も含め、本当に見事な記事だと思います。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪

      イワナガヒメの伝説は少しあるんですが、いかにも後世の人が作ったフィクションなんですよね。

      タロットカードは前向きな姿勢を示してくれる所が好きなんです。
      傷ついたイワナガヒメが立ち直って幸せになったことを望みましょう!
      日本は農耕国家
      丈夫な嫁を返したニニギを反面教師にしたのかも知れませんね。

  2. さゆ より:

    前回はニニギにちょっと同情しましたが、イワナガヒメも可哀想だと思います。
    ニニギに嫁いでも、第二夫人。添えられて、送り返された、この一連の出来事に本人の意向は組み入れられなかったと思いますが、辛い気持ちだったのではないでしょうか。
    タロットで、登場人物の心情や未来も占えるのですね。タロットカードの対象はいろいろという発想が素敵です。イワナガヒメに関しては、はるさんの占いでほっとしました。
    全ての人がニニギと同じ考えではないので、イワナガヒメを認めてくれる人が出てきたらいいなと思います。
    次回、楽しみにしています。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      娘は家を繁栄させるの兵器のようですね。
      古事記編纂期、読者は主に男性だったのでしょう。
      酷いです。
      イワナガヒメはきっといい子だと思うのですが、この待遇を恨んでいたという説もあります。

  3. 久子 より:

    イワナガヒメの気づきにエールを贈ります。
    今、自分の手の内にあるものを大切にしようと心がけてはいるものの、こんな仕打ちを受けては自尊心がボロボロです。そこからまた、立ち上がって幸せをつかんでほしいです。
    イワナガヒメのエピソードは、これで終わりですか?
    それとも、幸せを手にする事が、できるのでしょうか?

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      イワナガヒメは記紀でのエピソードはもうありません。
      しかし、次の記事で書きますがコノハナチル姫と同一視されることがあり、そうすると結婚することになります。
      また、自分が映った鏡を割ったものの妹の幸せを祈ったという伝説もあります。

  4. 匿名 より:

    キヨさんコメント
    取るに足らないことや、頼りのないものに執着し縋って生きることの虚しさ、、、
    諸行無常を思い出します。
    それでも前を見て歩きましょう。
    これに気づけたイワナガヒメにエールを送りたい。

  5. 匿名 より:

    久美さんコメント
    女子みんなを味方につけるエピソードですね
    前を見て歩きましょう、という現代にも通じるメッセージですね

  6. 才色健躾 より:

    この度はアンデルセン物語の様ですね
    拝まない残りの鏡の存在は知りつつも”般若”の面持ちはよほど衝撃でしたのでしょうか
    カップ5-2と8は全く違う心情を表していますね
    はるさんの云われる「考えてみたら大した男ではない!」
    良い意味の”開き直り”の心情に8をみました。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      たしかに言われてみればアンデルセン童話のような話ですね。
      私も年齢を重ねてきたので、歯医者さんなどに行って鏡を近づけられると「うわー」となりますよ。笑
      カップの8は今あるものを見よう。という意味もあります。
      ニニギには失礼なことをされたけれど、実家はしっかりしているし、体は丈夫だし、、、これから開き直って幸せになるわ。という心情と占ってみました。
      コノハナサクヤヒメもニニギに愛想を尽かして戻ってくるので一緒に子育てをして仲良く助け合って生きたのだと思いたいです。

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