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これまでのあらすじ
「オオクニヌシ(大国主命)」が平定した地上(葦原中国)を「アマテラス(天照大御神)」は「私の子に統治させたいわ」
と言い出します。
まず「ホヒ(天菩日神)」ついで「ワカヒコ(天若日子)」を地上に送りましたがいずれも失敗。
最後に「タケミカヅチ(建御雷神)⚡️」を送りました。
「タケミカヅチ((建御雷神)⚡️」は「オオクニヌシ」に国譲りを迫ります。
「オオクニヌシ」は息子「コトシロヌシ(事代主神)」と「タケミナカタ(建御名方神)」に聞くように言いました。
すると「コトシロヌシ」はあっさりと、「タケミナカタ」は抵抗したものの力負けして国譲りを承諾しました。
「オオクニヌシ」の国譲り 「古事記」におけるこの場面
「タケミナカタ🪨」に諏訪から出ないことを約束させると、「タケミカヅチ⚡️」は出雲に戻って来ました。そして「オオクニヌシ(大国主命)」に

タケミカヅチ
お前の子供「コトシロヌシ」と「タケミナカタ🪨」は天津神に従う(国を譲る)と誓ったが、お前はどうなのだ。

オオクニヌシ
二神の言う通り、私も背きません。
この葦原中国は全て差し上げます。
ただし一つお願いがあります。
天津神の御子が皇位につくような壮麗な高天原に届くほど高い、御殿のような神殿を建てていただけないでしょうか。
そうすれば私は遠い幽界に隠れております。
私には180人の子供がおりますが、息子の「コトシロヌシ」が天津神さまにお仕えする様子を見れば皆、従うでしょう。
この葦原中国は全て差し上げます。
ただし一つお願いがあります。
天津神の御子が皇位につくような壮麗な高天原に届くほど高い、御殿のような神殿を建てていただけないでしょうか。
そうすれば私は遠い幽界に隠れております。
私には180人の子供がおりますが、息子の「コトシロヌシ」が天津神さまにお仕えする様子を見れば皆、従うでしょう。
「オオクニヌシ(大国主命)」はとても人(神)徳があったことから、おそらく本当の子供も相当数いたのでしょう。
しかし、それ以外でも「オオクニヌシ」の子だと名乗る者も多かったと思われます。
また、180人の子というのは「オオクニヌシ」に従おうとする(朝廷に逆らおうとする)各地の部族や豪族の数とも考えられます。
しかし、それ以外でも「オオクニヌシ」の子だと名乗る者も多かったと思われます。
また、180人の子というのは「オオクニヌシ」に従おうとする(朝廷に逆らおうとする)各地の部族や豪族の数とも考えられます。
出雲の多芸志(タギシ)の浜は架空の場所のようですがこの神殿は出雲大社のことだと言われています。
「古事記」における「出雲大社」の創建

創建された当時の「出雲大社」
この説話は出雲大社の起源を語っています。現在は高さが24メートルの社殿で、「オオクニヌシ」が隠遁した場所にしては物足りないと思われていました。
ところが2000年に境内から太さ3メートルの巨大柱の遺構が発見されました。
これは現在の柱の5倍の太さで、当時94メートルあったという神殿の規模を伺わせるものであり、「オオクニヌシ」が鎮座した場所にふさわしい巨大神殿があったのは確実だと考えられます。
立派な神殿が建てられた理由

「オオクニヌシ」の国譲りはヤマト王朝に抵抗した勢力の敗退を意味していると言われています。
「オオクニヌシ」は各地で信仰されていたため、丁重に扱うことで各地の豪族や部族の反発を抑えたと考えられます。
はるさん的補足
「日本書紀」における「出雲大社」の創建理由

「古事記」と「日本書紀」は同じような物だと思われることがありますが、この場面はかなり違います。
「日本書紀」では「オオクニヌシ」が「幽界の神事を司る代わりに宮を建ててあげよう」と「タカミムスビ(高皇産霊尊)」が宣言します。
「幽界の神事」とは目に見えないありとあらゆることを意味します
天津神である「タカミムスビ(高皇産霊尊)」が「出雲大社を建ててあげる(から目に見えない事だけして大人しくしてろ)」と言っているのです。
「古事記」が「オオクニヌシ」に対して最大限に丁寧に扱っているのに対して、
「日本書紀」は勝者の敗者に対する扱いという感じです。
そうなると、膳夫を呼んでおもてなしをしたのも「古事記」では「タケミカヅチ」が「オオクニヌシ」をもてなしたと考えられますが、
「日本書紀」では「オオクニヌシ」が「タケミカヅチ」をおもてなししたと読むことになります。
「日本書紀」が「古事記」よりもヤマト王朝に気を遣って書かれたものだとわかる部分ですね。
古事記の他の記事
古事記の他の記事はこちらからご覧ください。
上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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