(59)『古事記』「アマテラス」による地上統治計画③「アメノワカヒコ」
恋に溺れ使命を放棄した「アメノワカヒコ」
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「アマテラス」による地上統治計画③「アメノワカヒコ」

これまでのあらすじ

オオクニヌシ」の国作りが終了するのを待っていたかのように「アマテラス」は
葦原中国は自分の子に治めさせたい。」
と言い出しました。

アマテラス」と「スサノオ」のウケイによって生まれた長男「アメノオシホミミ」を派遣しようとしましたが恐れて戻って来てしまいました。

オモイカネ」などと相談し、次に送った神は「ウケイ」によって生まれた次男「アメノホヒ」です。

しかし「アメノホヒ」は「オオクニヌシ」に取り込まれ、三年経っても音沙汰がありませんでした。

「アマテラス」による地上統治計画③「アメノワカヒコ」

「古事記」におけるこの部分

仕方がないので「アマテラス」は「タカミムスビ」と相談し高天原の神々に聞きました。

アマテラス
「アメノホヒ」は葦原中国に行ったけど、長い間報告もしてこないの!
次はどの神を使者に立てたらいいかしら。
すると「オモイカネ」が

オモイカネ
「アマツクニタマ」の子「アメノワカヒコ」に行かせましょう。
と申しました。

アマテラス」は天の使節として、麻迦古弓(マカコユミ)天の波々矢(アメノハハヤ)を「アメノワカヒコ」にお与えになりました。

麻迦古弓(マカコユミ)と天の波々矢(アメノハハヤ)は神の力が宿った弓矢(武器)だと考えられます。
こうして「アメノワカヒコ」は葦原中国に下りました。

しかし、すぐに「オオクニヌシ」の子「シタテルヒメ」と結婚し、葦原中国を自分のものにしようと企て、8年(とても長い間)も報告しませんでした。

この部分の解説

アメノホヒ」は「オオクニヌシ」に取り込まれ、何の報告もせず三年経ってしまったので、今度は「アマテラス」の子供ではなく「アマツクニタマ」の子「アメノワカヒコ」に行かせることになりました。

今回も交渉が目的であり、戦いに行くのではありません。

しかし「アメノホヒ」の時には持たせなかった武器を「アメノワカヒコ」には持たせます。

それは、強大な力を持つ「オオクニヌシ」や「荒ぶる神々」の前に出ても物怖じしないように持たせたのであろうと思われます。

「アマツクニタマノカミ」とはどんな神か

古事記」では「天津国玉神」と表記されています。

アメノワカヒコ」の父ということでしか出てきません。

国玉」とは国魂という意味なので「天の意志そのものの神」という意味になります。

ですからその御子を葦原中津国に差し向けるということは、葦原中津国を何がなんでも帰属させるという「アマテラス」や「タカミムスビ」の意志を感じます。

「アメノワカヒコ」とはどんな神か

古事記」では「天若日子」と表記されています。

ワカヒコ」は「若く秀でた男」という意味です。

若いというのは魅力でもありますが、反面、未熟で「シタテルヒメ」の誘惑に負けてしまいました。

シタテルヒメ」は「オオクニヌシ」と宗像三神の一柱である「タキリヒメ」の娘で、お名前の通り女性としての魅力がとてもあった姫だと思われます。
シタテルヒメ」と結婚することによって「アメノワカヒコ」は自分が強大な力を持つ出雲国を乗っとろうという野望まで持ってしまいました。

何もしなかった「アメノホヒ」と違い、「アマテラス」に対する完全な背信行為です。

はるさん的補足
民間に人気の「アメノワカヒコ」

この後「アメノワカヒコ」は反逆したということでウケイによって亡くなります。
(次回はこのお話です)

しかし、「アメノワカヒコ」は恋に溺れて使命を放棄し、悲劇的な亡くなり方をした男として民間に人気があります。

平安時代の「うつほ物語」「狭衣草子」や室町時代の「御伽草子」の日本版「七夕物語」の彦星に相当する男性として登場し、いずれも美男子として描かれています。

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コメント一覧
  1. 才色健躾 より:

    今回は特別に複雑ですね。3度読み返しました…
    読み解くには先ず以て漢字を分解し文字の意味を知り、組み合わせることですよね
    天若日子”若く秀でた男”。
    とても人間らしい結末に民間も受け入れやすいのですね。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      というか、わかりにくいですね。
      私の力不足です。すみません。
      このアメノワカヒコは特に謎が多いんです。
      名前も人間らしく、神も命もつきません。
      恋に溺れたのか、有力者の娘と結婚して出雲を我が物にしようとしたかわかりませんが、後世の方々はロマンチックな受け止め方をされたようですね。

  2. ひさこ より:

    彦星の原型の方が古事記に登場しているとは!
    アメノ何とかという名前が多く、ちょっと混乱気味です。
    はるさんは、さすが、頭が整理されてますね。
    素晴らしい!
    国玉が国魂と言うことは、
    府中の大國魂神社って、名前が迫力ありますね。
    今更気付いた!

    • harusan0112 より:

      ストーリーとしての彦星の原型は中国の民話です。御伽草子に入っている「天稚彦草子(アメノワカヒコ草子)」が日本の七夕のストーリーで、アメノワカヒコは恋に溺れて働かない美男子として出てきます。
      アメノが付くとわかりにくいですね。
      次回はワカヒコで書きます。
      大国魂神社はど迫力ですよね。笑笑
      本家の出雲に負けない力を感じます。

  3. さゆ より:

    アマテラスとタカミムスビは、使者選び苦戦していますね。シタテルヒメも魅力があったのですね。
    その後、アメノワカヒコは、オオクニヌシとアマテラスに背を向けて、自分が独断で支配者になろうとしなければ、お咎めはなかったでしょうと、ちょっと残念で可哀想です。
    アメノワカヒコは3つの書物にでてくるとのことですが、この方でいいのか教えてください。
    秘琴が伝わったので、まあまあな結末のうつほ物語では、仲忠です?
    心の晴れないお話の狭衣物語では狭衣?
    一年に一度会えるので、まあいい終わりかたの七夕物語では、アメノワカヒコが登場するのでわかりました。

    • harusan0112 より:

      アマテラスとタカミムスビはオモイカネに助言を求めたにも関わらず、大苦戦です。
      出雲を力づくで奪おうとしたわけではなかったという言い訳と出雲が手強い(男女とも魅力的)相手だったという敬意が込められているように思います。
      私は「うつほ物語」「狭衣草子」共に読んでおりませんが、いずれも「天若御子」の名前で登場するようです。

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