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『古事記』「オオクニヌシ」の系譜
これまでのあらすじ兄たち八十神のいじめに耐え、スサノオの試練に耐え、正妻「スセリヒメ」の他に「ヤガミヒメ」「ヌナカワヒメ」とも結婚した恋多き男「オオクニヌシ」。
前回は嫉妬した「スセリヒメ」と仲直りして仲良く暮らしました。
で終わりましたが、「古事記」の次の章は「オオクニヌシ」の系譜です。
不思議なことに系譜に「スセリヒメ」も「ヤガミヒメ」も「ヌナカワヒメ」も載っていません。
「オオクニヌシ」の系譜
この章に書かれている妻は3人。子供も180人(とても沢山という意味)いるということですがここに記されているのは
「タキリビメ」との間にできた「アジスキノタカヒコネ」と「シタテルヒメ」
「カンヤタテヒメ」との間にできた「コトシロヌシ」
「トットリヒメ」との間にできた「トリナルミ」
「カンヤタテヒメ」との間にできた「コトシロヌシ」
「トットリヒメ」との間にできた「トリナルミ」
系譜はその後「トットリヒメ」との子孫についてのみ記されています。
そして 「スサノオ」の息子「ヤシマジヌミ」から「オオクニヌシ」を含めた「トオツヤマサキタラシ」までの15柱を
「十七世の神(トオマリナナヨノカミ)」というと書かれています。
「十七世の神」について
「十七世の神」というのは「古事記」にのみ出てくる表現で「日本書紀」や「出雲風土記」には登場しません。15柱しかいないのに17と形容する理由は不明です。
意図的に2柱ほど歴史から抹殺されたのかもしれませんし、数え間違えただけかもしれません。
いずれにしても出雲系の神の系譜と天皇系の系譜をしっかり分けることが目的の一つであり、出雲系は神々から祝福されながらも人間に近づいた存在だと示したかったように思います。
はるさん的補足
「オオクニヌシ」に恋愛譚が多い理由
「オオクニヌシ」といえば男女問わずとにかくモテるイメージです。常に強力な誰かに恋愛抜きでも助けられ愛される男。
日本神話一の美男ですし優しく賢い。
行く先々の美女を虜にし、女性側が惚れることによって結婚し、そこの土地も平定してしまう(大きな仕事をする)、、、男性の理想なのではないでしょうか。
恐らく多くの国造りの神々の功績を「オオクニヌシ」一人にまとめたのだろうという説が有力です。
そして男性の夢を集約したような「オオクニヌシ」ですから各地で「うちの集落の祖はオオクニヌシの子孫だ」と言いたがる方々が多く、「オオクニヌシ」の子供は180人いた❣️という説が出来たのかもしれませんね。
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)
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