これまでのあらすじ
「コノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜比売)」は地上を治めるために降臨した「ニニギ(邇邇芸)」と結婚しましたが、一夜だけの交わりで妊娠したため「ニニギ」に不貞を疑われます。
妊娠した子たちが「ニニギ」の子であることを証明するために、火を放った産殿で出産し、
無事に3人の男児を産み、男児たちが天津神であることを証明しました。
「日本神話タロット 極参」 鏡ノ捌(カップの8)
鏡ノ捌 (カップの8)の意味
・正位置
価値観の変化、真の幸福、冷める、飽きる、見切り
・逆位置
継続、不屈、理想の実現
『日本神話タロット 極参』
鏡ノ捌 (カップの8)
の解説文(写し)
火中出産をして「ニニギ」の子だと証明してみせた「コノハナサクヤヒメ」ですが、「ニニギ」は頑なに信じませんまでした。
そのため「コノハナサクヤヒメ」は「ニニギ」に愛想をつかしてしまい、(父の)「オオヤマツミ(大山津見) 」の元へ
帰ります。
参考記事
「古事記」におけるこの場面
出産後の「ニニギ」や「コノハナサクヤヒメ」については「古事記」には記述はありません。
「薩摩風土記」によると「ニニギ」は「竹屋守の女」との間にも男児を2人授かったとのことです。
「コノハナノサクヤヒメ」のその後
各地の言い伝えを紹介します。
子供たちは「コノハナノサクヤヒメ」が育てた
産んだ三柱の子は、「コノハナサクヤヒメ」が「オオヤマツミ」の元で育てたようです。
宮崎県の青島は、「ホデリ」「ホスセリ」「ホオリ」の遊び場だったとされています。
お乳の代わり甘酒をあげていた
「日本書紀」によると、「コノハナサクヤヒメ」は子供たちに、甘酒の原型である「天甜酒(アマノタムサケ)」をあげたそうです。
「コノハナノサクヤヒメ」にしてみれば
・姉は酷いことを言われて帰される
・夫には浮気を疑われる
・火中出産をする
・それでも「オレの子じゃない」と言われる
・しかも、産んだのは男の子3人
・夫には別の妻子もいる
となれば、お乳は足りなさそうですね。
「天甜酒」をあげたというのも納得です。
そのため「コノハナサクヤヒメ」は「酒造業の神様」と祀られるようになります。
木花神社(コノハナジンジャ)に
「ホオリ(山幸彦 神武天皇の祖父)」が来たという記述
「コノハナサクヤヒメ」は、現在の宮崎市に居を構えていたとされており、跡地は木花神社となっています。
そしてそこに、成長した「ホオリ」が訪れたと伝えられています。
子供に慕われた幸せな生活だったのでしょう。
はるさん的補足
江戸時代に「コノハナサクヤヒメ」は
浅間大神と結びつけられた
「コノハナサクヤヒメ」は火中出産を成功したということで「火の神」「安産の神」であり、
火に強いということで「水の神」にもなりました。
江戸時代には浅間大神として崇拝されていた富士山と結びつけられ、富士山本宮浅間大社の主祭神として祀られるようになります。
富士山の峻険さと秀美に対する畏敬と噴火への畏怖が、美しい容姿を持ち火を恐れない「コノハナサクヤヒメ」と結びついたのでしょう。
浅間神社は全国に1300社以上あると言われ、それぞれで祀られています。
古事記の他の記事
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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)
中巻(神武天皇から応神天皇)
下巻(仁徳天皇から推古天皇)