[隠者] AFTER TAROT『アフタータロット』
[隠者]のカード 左がウェイト版 右がアフタータロット

『アフタータロット』とは

「アフタータロット」は「ウェイト版タロットカード」の少し後を想像して描いたカードです。
(2016年 イタリア・LO SCARABEO社製)

詳しくはこちらをご覧ください

[隠者]の『アフタータロット』

添付の解説書

[隠者]の『アフタータロット』の解説書
*はるさん的和訳*

「隠者」は霊的な懸念を映す者です。

他の人々を導くための「知恵の火」の灯を運ぶのです。

彼は雪山に立っています。

片方の手で、ランタンを高く掲げています。

もう片方の手で彼は長いドクロへびを持っています。

彼の隣には暗い色の相棒が立っています。

それは巨大な黒い猟犬です。

参考記事

[隠者]の『アフタータロット』
*はるさん的見解*

背景の色

まず、背景が水色から、暗めの黄色になり、星が現れました。

単純に夜になったとも考えられますが、

・青 :宇宙の神秘、最も崇高なものの象徴色
   人が入る天国よりさらに上の神の領域

・黄色 :神の世界や永遠性
     青より人間世界に近い

という象徴としての色で考えることもできるでしょう。

つまり、ウェイト版の「隠者」はとても崇高で、1人で「真実の追求」をしていて全く人々を受け容れませんでした。

しかし、「アフタータロット」では「人々を導く」という彼の本来の役割を全うするために、一段降りてきてくれたのかもしれません

わずかですが、顔を上げ、山の下にいる人々を見ているようにも見えます。

杖がヘビに

モーゼと「アロンの杖」
宗教画でしばしば杖がヘビになっている物を見かけます。

代表的な物の一つは「十戒」のモーゼの「アロンの杖」でしょう。(アロンはモーゼのお兄さん)

「旧約聖書」に登場するこの杖は、モーゼが神から貰った物で、「エジプト王朝」を苦しめるために使ったり、ユダヤ人がエジプトを脱出する時に海の中に道をつくったりした「魔法の杖」です。

モーゼは進んで大衆を先導した人ですから、「隠者」ではありません。

しかし、ウェイト版の「隠者の杖」は「神に選ばれた人が、奇跡を起こすために神から授けられた物」だったかもしれません。

「アフタータロット」で隠者が人々の元に近寄って来た時、「隠者」は奇跡を起こす人ではなく、人々にもっと現実的な教えを説く人になっているのではないでしょうか。

黒い猟犬現れる

女神ヘカテー
「アフタータロット」ではしばしば突然動物が現れます。

犬は人間の友達ですから、「かわいい相棒ができた」と捉えることもできそうです。

しかし「黒い犬」を「ヘルハウンド」と考えることも自然です。

ヘルハウンドはシェイクスピアが「マクベス」の中で言及した「魔女の女王である地獄の女神ヘカテーの猟犬たち」がイメージの根源であるとされます。

ヘカテーは中世以降のヨーロッパで「松明を掲げて犬を従え、夜の三叉路に現れる」とされ、ヘルハウンドは「死の先触れ」として魔女が信仰していると考えられていました。

「隠者」は男性に見えるので、「女神ヘカテー」ではありません。

しかし、「隠者」が人々の前に現れたのは、「救いのため」とは限りません。

「隠者」は「真実を追求」した結果、「人はいつか死ぬのだ」と言いに来たのかもしれません。

[隠者]のカードの運勢とクリスタル

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コメント一覧
  1. harusan0112 より:

    小鳥遊さんコメント(はるさん代筆)

    モーゼが出て来たあたり、戦車の胸当てがアロンの祭服の胸当てをモデルにしていると言われているので、その関連に面白さを感じました。
    プラスαの考察としてウェイト版での蛇の象徴をピックアップしてもるのも面白いかもです。
    ヘビが現れるのは、恋人、運命の輪、カップの2
    これらの流れで蛇は
    恋人:邪悪なもの(サタンの化身)で地を這うものになり

    運命の輪:進化して蠍になり昇華、世界でワシになる。

    カップの2:2匹の蛇が上りワシとなる杖
    ⇨知恵の神ヘルメスの杖
    という錬金術の流れを汲んでいます。
    (ヘルメスと錬金術には密接な関係があります)
    なので隠者が真実を追求する中で蛇をつかんでいるのはこの背景を考えると知恵の元を掴んでいるという象徴かもしれませんね。
    知恵の実を食べさせ、罪を犯すことを唆したへびを知恵のシンボルと見せるところがウィットに富んでいるように感じました。

    • harusan0112 より:

      丁寧に教えてくださりありがとうございます。
      タロットカードのヘビについて記事を書いてみるのも面白そうですね。
      古代から蛇は色々なものの象徴ですものね。
      聖書でも邪悪になったり、知恵の象徴になったり。

      錬金術も広義では
      人間の肉体や魂を完全な存在に錬成するもの
      らしいですね。
      その知恵を探究し、人々に伝えてくれたというのは素敵ですね。

      ヘルメスの杖説、考えたんですよ。笑
      クィーンのフレディマーキュリーのシンボルがヘルメス(マーキュリー)の杖、Zepにブラックドッグという曲があって、記事のヘカデーの絵の左下にあるマークが、メンバーのjpjのシンボルマークで。
      だからアフターでウィットを効かせたとか。

      ヘビを邪悪と取るか。知恵と取るかで隠者のイメージが激変しますね。

      • harusan0112 より:

        (小鳥遊さんから)
        そのブリティッシュロックの絡んだ考察もとても面白いです!
        アフターの制作された時期的にも、そういったカルチャーが下敷きになっていても全くおかしくないですから。
        そうした自由さが素敵ですね。

        • harusan0112 より:

          今回も大変丁寧にありがとうございました。勉強になりました。
          アフターが一通り終わったら、動物シリーズをやってみようかなと思いました。
          面白そうですね。

  2. さゆ より:

    アフタータロットでは、背景が灰色から黄緑色っぽくなったり、星があったり、隠者がやや前を見たりとちょっと明るい雰囲気。
    孤独な、神に近い者から、民を受け入れ導く務めをより意識した隠者の心の変化を示しているよう。
    このカードの蛇は、青銅の蛇と同じ、善の蛇だと思います。隠者の務めをそばで支えるために、杖からより力のある蛇になったのだと思います。
    犬もキリッと堂々と見えるけど、西洋では、いい象徴ではないんですね。残念!限りある命を感じさせるけど、人々が悪いことをしないように、監視する立場で一緒に頂上に立ってくれているのではと思います。
    動物の表現することは、蛇が知恵を示すなど、背景を熟知しているほど、いろいろな推測ができるんですね。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      隠者の心の動きを感じますよね。
      知恵の象徴であるヘビが隠者を側で支えるという考え方、いいですね。
      隠者も孤独でない方が「真実の追求」をしやすいかもしれません。
      そうすると犬も(深読みしないで、)友達、仲間と捉えても良さそうですね。
      動物の象徴を知ることは、絵画や彫刻を理解する上で大切なことだと思いました。

  3. 匿名 より:

    いっちコメント (はるさん代筆)

    ヘカテーの絵、引きつけられました。
    ウロボロスについてのリンク先、すごく面白かったです。
    個人的には性的な意味合いがあるのではないかと考えています。
    そして
    オーディン‼️
    言わずと知れたワーグナーのウォータンのモデルですね。
    こちらは無茶苦茶親近感があります。
    とても楽しませていただきました。

    • harusan0112 より:

      ありがとうございます♪
      ヘカテー、おっかないけど魅力的ですよね。
      ワーグナーのリング、しばらく聴いていないので、久しぶりに聴いてみたくなりました。

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