(54) 『日本神話タロット』勾玉ノ陸「スクナヒコナ」との国作り
勾玉ノ陸(ペンタクルス6)「国作り」

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『日本神話タロット』勾玉ノ陸「スクナヒコナ」との国作り

これまでのあらすじ

優しくて男前な「オオクニヌシ」はいじめ試練に耐え、多く女性と恋をし、子供をもうけました。

いよいよこれから国作りの始まりです。

『日本神話タロット』勾玉ノ陸「国作り」

カードの意味

正位置
救済、分け与える、寛大、親切

逆位置
偽善、強要、保身、自分本位

『日本神話タロット 極参』
勾玉ノ陸
「国作り」の解説文(写し)

スクナヒコナオオクニヌシの国作りを手伝います。

彼は小さい体のため力はありませんが、その代わりに知恵があるので、オオクニヌシにたくさんの知恵を与えます。

スクナヒコナは海を渡ってオオクニヌシの元に来たとされているので、海外の文化を取り入れたということなのかも知れません。

参考記事

「古事記」におけるこの場面

オオクニヌシスクナビコナが出会ったとされる美保の岬

オオクニヌシ」が美保の岬で海を見ていると、カガイモの実で作った船に乗り、蛾の皮で仕立てた服を着て近寄って来る神がいました。

オオクニヌシ」はその神はいったい誰なのか、 何人かの神々に聞いてみましたが、誰も知りませんでした。

すると蛙が

カエル
案山子(カカシ)の久延毘古(クエビコ)ならきっと知っています。
そこで「オオクニヌシ」が「クエビコ」に聞いてみると

カカシのクエビコ
この神は「カミムスビ」の御子の「スクナヒコナ」です。
そこで「オオクニヌシ」が「カミムスビ」に尋ねると

カミムスビ
この子は私の子です。
「スクナヒコナ」は「オオクニヌシ」と兄弟となって国を作り固めなさい。
こうして、2神は協力して国作りをしました。

「スクナヒコナ」はどんな神さまか

スクナヒコナが近寄ってくる場面
「日本国開闢由来記」

波の上にのっているのが「スクナヒコナ」です

名前から考える

古事記」での漢字表記は「少名毗古那神」です。

オオクニヌシ」の別名が「大名持(オオナムチ)」でしたね。

名前の由来説
・「大名」と対比で「少名

・「」は土地を表す
ということで、「スクナヒコナ」は「土地の神」として「オオクニヌシ」と共働してして国作りに尽力したことがわかります。

「古事記」に「スクナヒコナ」が何をしたか書かれていない理由

スクナヒコナ」は一寸法師のモデルと言われ、各地に伝承が残る神です。

しかし「古事記」には具体的な働きは何も書かれていません。

それは「スクナヒコナ」が「穀物の種の化身」であり「豊穣の神」だから特に何かをしたわけではないのではないからではないかと言う説もあります。

「穀物の種の化身」と言われる理由
・「スサノオ」が食物の神「オオゲツヒメ」を殺した時に遺体から五穀が生まれた

五穀を種にしたのは「カミムスビ

・「スクナヒコナ」は「カミムスビ」の子
スクナヒコナ」が乗ってきたというカガイモの実

「豊穣の神」と言われる理由
・この神話にカエルと案山子が出てくる

・カエルと案山子は田畑の象徴
土地の神」である「オオクニヌシ」と「穀物の種の化身」であり「豊穣の神」である「スクナヒコナ」が一緒に国作りを行ったということは、土地に種が蒔かれ作物が実り、豊かな国土が形成されたということを意味するのだという説です。

次の回で「スクナヒコナ」は突然土地から姿を消してしまうのですが、それは収穫されたことを表しているのかもしれません。

はるさん的補足
「古事記」以外に書かれた
「オオクニヌシ」と「スクナヒコナ」の国作り

道後温泉(愛媛県)

2神がどのように国作りを行ったか「古事記」には記述がありませんが、各地の風土記には出てきます。
一部を紹介しましょう。

・人々が若死してしまう光景を見て、2神が医療と温泉の方法を定めた
 これが伊豆と箱根の温泉の起源。
 (伊豆国風土記より)

・2神が国作りをして通った跡であるという伝承から、跡々という名前が生まれ、登々山の名前の由来となった。
 (尾張国風土記より)

・神前郡にやってきた2神が生野の峰に稲種を積んだため稲種山と呼ばれる。
 (播磨国風土記より)

・「スクナヒコナ」が病に伏した時「オオクニヌシ」が大分の速見湯を地下の水路を通して持ってきて湯を飲ませると回復した。
 これが道後温泉の起源。
 (伊予国風土記より)
スクナヒコナ」は「温泉の神」としても祀られています。

2神はとても仲が良かったようなのであちこちの温泉に入っていたら微笑ましいですね。

古事記の他の記事

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上巻(天地開闢から海幸彦山幸彦)

中巻(神武天皇から応神天皇)

下巻(仁徳天皇から推古天皇)

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